わが師匠
師匠とも呼ぶべき方が店に寄ってくださった。
わが師匠は去年の初頭、商売を引退された。
突然の訪問に、僕は飛び上がるほど驚きもしうれしかった。
この方がいなかったら、僕は今頃どうなっていただろう?と思う。
本屋の仕事しか知らなかった僕に、その方は色々な商売の可能性を教えてくれた。
実際に、5年間ほどその方の仕事を手伝わせてもらった。
骨董品、古道具から美術品、はたまた流行のブランド品などを扱うその方の仕事は、驚きの日々だった。
ぽつぽつとされるお話から、その方の人生は想像もできないような波乱と試練に満ちたもののように思える。
その方に「道は必ずある。あきらめない限り、いきづまりはないんや。人間、死ぬ覚悟ができた時、たいがいのことは乗り越えられる」と教えられた。
どんなに苦しくても、歯をくいしばり、前をにらみすえ、歩もうとするときに、神様はそっと救いの手を差しのべてくれるのだろう。