レトロショップ成穂堂ケンの苦悩と爆笑の日々 -111ページ目

歌のタイトルのように

学生時代の友人の訃報を知らせるハガキが届いた。

いくら目を凝らしてみても、そのハガキは友の死を知らせるものだった。

あまりに唐突な知らせに、状況がうまく整理できないまま、僕はしばらくそのハガキを眺めていた。

普段なら、皆駆けつける事が出来る距離にいるのに。

何も知らせて来ず、全てが終わってから、このハガキが届いた。

丁寧に手書きで書かれた筆字から、奥さんの思いが伝わって来る。

何も知らせて来なかったのは、何かしら信念があっての事なのだろう。

一瞬、電話をしようかと思ったが、思いとどまった。

何事もなかったかのように淡々と過ごすのが良いような気がした。

僕たちが出会ったのは、十九歳の時だった。

それから随分時が流れたといえば流れた。

大学を卒業してからも、僕たちは定期的に集まった。

やがて、それなりに皆結婚し、子を成し、集まる事も少なくなっていった。

そんな中、大親友が急逝した。

二十年前の事だ。

それを機に僕たちは、集まる事がなくなった。

「集まるか」と声は掛け合うが、それだけにとどまった。

何故そうなったのかは分からない。



「おい、皆んな、なるべくやりたい事をやっておこうや」

きっとこのハガキを受取った連中は、独り言のようにそう言っているだろう。

少し手を止めると、いつも笑い顔で話しかけてきた奴の顔が浮かぶ。

しばらくの間、少しもの悲しい日が続くのだろう。

こうして人の心には、雪のような悲しみが、静かに降り積もっていくのだろうか。

いつか見たあの眩いような光を、僕たちはまた見ることがあるのだろうか。