Jungの初期の仕事と晩年の著作の共通点
精神衛生が人格の調和によってもたらされ、精神疾患がその不調和によって特徴付けられるというテーマ。
・初期の研究:霊媒を自称する15歳半ばの少女に関する研究。
この少女は種々の人格に支配されていた。・・・・Jungはこれを「無意識部分の人格化」と解釈。
(Freudの抑圧の概念が広く用いられる以前には、これを「解離」という語で記述されていた)
Freud派は、受け入れられないものを無意識にし、意識化不能にするという「抑圧」という考えを持っていた。
Jungは「抑圧」に同意していたが、さらに人格について、代理人格へと解離しうるものであると考えて続けていた。
・言語連想検査を基盤とする
測定可能な方法の中でも、無意識内容の力動的効果を客観的に実証できる手法という点で重要だった。
100語のリストが読み上げられ、被験者は覚悟を聞いて最初に思い浮かぶ言葉を順に答えるように求められる。
遅延反応のあった一群の言葉の関連に対して「コンプレックス」という名前をつけた。
Jungはコンプレックスを代理的人格と幾分類似するものと考えていた。
しかし、のちにJungは科学的方法が容易に適用されない領域へと関心を深めていく。
・精神分析的治療
ブルクヘルツリ州立病院で勤務していた当時、Freudの著書が若い世代に熱心によまれ議論されていた。
一方、ドイツの現象学が主流で、患者を一人の人間と理解しようとせずに、
症状や行動を記述して、診断範疇に当てはめることで満足していた。
そんな中、Jungは妄想、幻覚の研究に精神分析的観点を導入。
従来理解不能と誤解されていた現象には、心理的起源と意味が示唆されていることを論証した。
・精神分裂病の治療
Jungは精神分裂病は治療よりも部分的回復がより一般的であること、
精神病的エピソードが分析によって増幅されうることを認識していた最初の人物。
場合によっては心理療法をせずに帰したりもしていた。
・集合的無意識
精神分裂病の現象に対する深い造詣により発見。
妄想と幻覚を患者個人の生活史の所産として説明し尽くすことができない事を見出す。
それらはしばしば類似のテーマの変形であると感じた。
比較宗教学及び神話学における広範な知識を通して、Jungは精神病を説明する一般的源を見出した。
=全ての人間に共通する神話を生み出す心の領域。
集合的無意識:神話的モチーフないし、原初的なイメージから形成
元型:神話的モチーフや原初的なイメージ
元型は生得的観念ではない。元型が意識的になる場合は、他の全ての事柄が意識内容になる場合と同様に
「観念やイメージとして」とれ自体、自ずと現れる典型的な行動の型である。
元型はイメージと観念を秩序化する影響力を持っているが、元型自体は意識されることはない。
元型が意識に顕現してくるときは、元型は基底主題のごとき物を強調する。
その現前は「ヌミノース」として感じられ、深遠な精神的意義がある。
(ヌミノース:ドイツの神学者ルドルフ・オットーによって聖なるものの顕現に伴う情動に対して名付けられた)
続く
感想:この素晴らしい本を監修した山中康裕先生、訳者の菅野信夫氏、海藤章先生、濱野清志先生、川嵜克哲先生って凄いなぁ。
