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「何もかも憂鬱な夜に」中村文則 (集英社文庫)
(ストーリー)死刑囚・山井を担当していた。一週間後に迫った控訴期限を前にしても、山井はまだ語られていない何かを隠している―。芥川賞作家が、重大犯罪と死刑制度に真摯に向き合い、生きる者と死にゆく者をつなぐ最後の希望を描き出す。

この本を読んで2日経過したが、
感銘の余韻にまだまだ浸っているので、
ぜひ紹介したいと思う。
先週読んだ、又吉くんの「第2図書係補佐」の中の
オススメの本の中で一番気になって、
即購入し3日間で一気に読んでしまった本。
「何もかも憂鬱な夜に」中村文則

「命は全て等しく尊い」ということを、
自殺や殺人などが毎日テレビで報道される今、
コメンテーターなんかがコメントを求められる度に、
したり顔で言ってるのを耳にして、
私もなんとなく分かったような気になっていた言葉。
この本は、生きること、死ぬこと、その命について、
心を激しく揺さぶるように、私たちに教えてくれる。
とても重く難しいテーマだけど、すさまじいリアリティを伴っていて
最後には希望の光が射しこむ。
この本の中に出てくる登場事物の言葉は、どれも深く心に迫る。

(何もかも憂鬱な夜に」のあとがきより)
児童施設で育った主人公に施設長の恩師が言った言葉
「現在というのは、どんな過去にも勝る。そのアメーバーとお前をつなぐ無数の生き物の連続は、その何億年の線という、途方もない奇跡の連続は、いいか?全て、今のお前のためだけにあった、と考えていい」

主人公の自殺した親友が悩みを書き連ねたノートの一節
「こんなことを、こんな混沌を、感じない人がいるのだろうか。善良で明るく、朗らかに生きている人がいるんだろうか。たとえばこんなノートを読んで、なんだ汚い、暗い、気持ち悪い、とだけ、そういう風にだけ、思う人がいるのだろうか。僕は、そういう人になりたい。本当に、本当に、そういう人になりたい。これを読んで馬鹿正直だとか、気持ち悪いとか思える人に・・・僕は幸福になりたい」

成長した主人公は刑務官になり、死刑囚・山井に言った言葉
「人間と、その人間の命は、別のように思うから。・・・殺したお前に全部責任はあるけど、そのお前の命には責任はないと思っているから。お前の命というのは、本当はお前とは別のものだから。」

この著者の中村文則さんは、まだ30代半ば。
すごい才能だなあと感動した。
他の作品もぜひ読みたい。