案内してくれた助産師さんは、今まで見かけたことのない方でした。
おそらく電話口の女性はこの人でしょう。
服も今まで見てきた人たちと色が違う…。
(よく見るのは青、ピンクなんですがこの人は濃い紫でした🟣)
ショートカットでスラッと背が高く、サバサバした口調と気の強そうなキリッとした目元。
ドクターXの大門未知子に似てました。
以下大門さんと呼びます。
LDRに着くと、まずは荷物を置いて入院着に着替えるように言われました。
そしていつお産になってもいいように、ショーツも前開きタイプで分厚いパッドをつけたものに履き替え、分娩台に横になります。
ちょっと見てみるねーと大門さんが内診すると…
なんとも言えない顔をして「あー…」と一言。
な、なんかあまり芳しくない感じ?
これだけ我慢したけどお産進んでないのか??
不安になり、どうですか?と聞いてみると。
子宮口は7cm開いてる。
でも、赤ちゃんがまだ下がってきてない。
全然下がってないってほどではないんだけど…
とのこと。
おそらく前駆陣痛で徐々に子宮口だけ開いてきてしまい、赤ちゃんが下りるスピードが伴っていないのだろうと言われました
ここにきてコロナの弊害が。
臨月にして2週間の行動制限により運動量が減ってしまったので、赤ちゃんが全然下りてきてない事態に
ちょっと先生に相談してくるねと出ていった大門さんを見送り、絶望する私。
この痛みといつまで戦えばいいんだ…大門さん早く帰ってきて…
少ししてから帰ってきた大門さん。
そして提案されました。
大門さん「院長からね、選択はあなたに任せるって。
促進剤使って産むか、自然に待つか。
院長は8時になったら帰っちゃいます。そこから先は当直の先生。
そしてこれは私個人の考えなんだけど、多分自然に待っても8時には産まれないと思う。
どうしたい?」
今の時点で朝の5時。これから3時間以内に産む為には…。そんなの一択しかありません。
私「促進剤を使います…」
大門さん「了解。すぐ用意するね」
そして赤ちゃんの心拍を見るモニターをつけ、血管を探し…迷った末に左腕の内側にプツッと入れました。
一瞬鋭い痛みが走りますが、陣痛に比べたら全然まし。
頼む、早く効いてさっさとこの痛みから解放させてくれ…
大門さん「あとは効くのを待つだけ。多分お産は早いよ。痛みの種類が一気に変わるはずだから、そしたらナースコールで知らせてね」
そう言って枕元に受話器を置き、少し待っててねと言い残して出ていきました。
そして30分少し経った頃…なんだかより痛みが増してきたような感覚。時計を見るとさっき痛みがきてから5分しか経ってない…。
促進剤が効いてきたのだろうか?
あまりの痛さに、思わず弱音が。
痛い痛い痛い…大門さん早く戻ってきて…赤ちゃん早く産まれてきて…
黙って耐えてるよりも少しだけマシになったような気がしたので、痛みが走る度に手すりを握りしめて体を丸めて呟いてました。
そうして痛みに耐えていると大門さん帰還。
大門さん「痛みが強くなってきたかな?もう大丈夫。今全部終わらせてきたから。私ずっとここにいるよ」
だ、大門さん…いや大門様!!!!!!!!
今日が初対面だと思うけど、なんだかすごくベテラン感強くて頼れる人だ…!
その言葉通り、大門様はずっと側にいて様子を見ていてくれました。
弱音を吐く度に「うんうん、痛いよね。大丈夫だよ」「全然落ち着いててえらいよー」と励ましてくれる大門様。
途中痛すぎて「痛み止め的なものが欲しい…つらい…」と言うと「大丈夫でしょ。私がいるし」と返されて余計に大門未知子がチラつきました。
そうしていると、なんだか💩がしたいような、いきみたくなる感覚が。
もうめちゃくちゃ痛いし、いきめば赤ちゃんもグッと下りてくるのでは??
そう思って、息も絶え絶えに大門様に話しかけました。
私「あの…まだいきんじゃダメですか?なんかすごく💩が出そうな感じがしてきて…」
大門様「ん、もういきみたい?うーん、どれどれ…あー。骨盤がまだ開ききってないかなぁ。でもまぁ、無理ない程度にいきみたいタイミングでやってみていいよ」
OKが出たので、次の痛みで試しにいきんでみました。頼む、一気に下りてきてくれ…!
その一回ではあまり下りてきた感覚はありませんでしたが、とりあえず大きな一歩を踏み出せた感じがしました。
しかしそこから30分…めちゃくちゃ痛いけどいきみたい感覚がなくなってきたような…。
おい、ちゃんとお産進んでる????
内心そう思っていると、大門様も見ていて気づいたようで。
大門様「もしかして、いきみたい感じがまだあまりしないんじゃない?無理にしても赤ちゃん出てこれないから、痛い時は呼吸法で耐えてみようか。大きく息を吸って…そこでゆっくり吐いて~」
とりあえず言う通りに呼吸法を試してみますが…痛いもんは痛い。
でも何もやらないよりは気分が紛れるのでマシだな…。
頑張って呼吸法で耐えること更に30分、また痛みが強くなって…いやなんか今いきみたい感覚があるような…!?
おっしゃ出てこいやぁぁぁぁぁぁ!!!!
一瞬いきみたい感覚が戻ってきたので、そのタイミングでフンッと力一杯いきみました。
するとお尻の方になんだか異物感。
こ、これってもしかして…!
股側で様子を見ていた大門様も、驚いた様子。
急に来たね!赤ちゃんもうここにいるよ!!と教えてくれました
あともう一息…!!
そのあとはもうがむしゃらでした。
いきんじゃだめ、赤ちゃんが飛び出ちゃうから!
と大門様に時折言われながらも、痛いしいきみたいしでぐぬぅとなりながら、呼吸法で痛みを我慢していると院長登場。
院長「間に合ったね。あともう一息だよ」
い、院長ーーーーーー
この安心感よ。
真打ち登場!って感じなんだよな、この人が来ると。
3回とも院長がいてくれて、なんて自分は幸運なんだ…
そうして大門様と他の駆けつけた助産師さんによって赤ちゃんは取り出され、へその緒が切られました。
赤ちゃんが出てくる瞬間、陣痛とは違う股のヒリヒリした鋭い痛み
股が燃えるように熱く感じました🔥
そして、赤ちゃん産まれましたよー!と足の間から赤ちゃんの顔が覗きます
その後助産師さんたちにより手早く行われる赤ちゃんの処置をボーッと眺めていると、院長が私の処置をささっとしてくれました。
これでだいぶ楽になるよーとズルリと胎盤を出されると、ズンと重かった腰がどこか楽になりました。
そしてちょっと染みるからねーとスプレー消毒。
全てが終わり、大きく分厚いパッドをつけたパンツを閉じました。
終わった…
会陰切開も今回はなく、擦り傷程度で出てきてくれました。
出血も少なく、安産でした。
ホッとしながら、大門様に聞いてみました。
私「何時に産まれたんでしょうか…」
大門様「えーっとね、7時24分だね」
私「昨日💩出てなかったんですけど、出ました?」
大門様「出てなかったよ。
あ、促進剤効いたの何時くらいだったっけ?」
私「えーっと、6時前くらいですかね」
大門様「じゃあキリ良く6時ってことにして…分娩時間は1時間半くらいって書いとくね」
私「えっっっ、それまで痛かったのは換算しないんですか?」
大門様「あれは前駆陣痛の扱いかなぁ。赤ちゃん下りてくるレベルで子宮収縮してなかったから」
私「そ、そうなんですね…(納得いかない顔)」
そんなことある????????
2時過ぎからずっと苦しんでたのに、あれ含まれないってよ?????
1時間半で産まれたなんて書いてあったら、
「あら~、流石3人目!早かったのね!ツルンスポンと産まれたんでしょう」
なーんて思われちゃうじゃないの
違うんです!!
2人目は陣痛始まってからあれよあれよと3時間で産まれましたよ!?
でも3人目は夜中からずっと痛みにのたうち回って、5時間経ってからようやく産まれてきたんです
しかも縋る思いで産院に電話したら「様子見で」って切られるし、不安で一杯の中で必死で痛みに耐えてたのにさぁ
えー???と思いましたが、まぁプロが言うんなら仕方ない…。
そもそも母子手帳見る人なんて限られるしな…。
なんだか腑に落ちないところもありましたが、院長がいる間にお産が終わって本当に良かったです
3人目にして夫の立ち会い出産なし、促進剤使用と初めての経験でしたが、無事に私のお産は終わりました