年間スケジュールを立てて、ピアノの練習をしようと考えました。一年分の予定を最初に決めておけば、迷わず行動できて、上達も早いのだと思います。実際、計画通りに物事を進められる人を見ると、少しうらやましく感じることもありますし、自分自身もどちらかといえば、臨機応変に動くのはあまり得意ではありません。その場の判断に任せるよりも、計画を立てたり、段取りを考えたり、決めたことをコツコツ続けたりする方が性に合っています。


だからこそ、最初は「きちんとした年間計画を立てるべきだ」と思っていました。しかし、十二か月分の練習内容を細かく決めてしまうと、その計画を守ること自体が目的になってしまいそうで、どこか息苦しさも感じました。一年は長く、その間に気分や興味が変わるのは自然なことです。それなのに、最初に決めた予定に縛られ続けるのは、やはり少しつまらない気がしたのです。


ピアノの練習といっても、ただ曲を弾くだけではありません。音楽理論を学んで理解を深めたい気持ちもありますし、指の動かし方や表現力といった演奏テクニックも身につけたいです。さらに、家族や友達の前で弾くことを考えると、どうすれば楽しんでもらえるのか、選曲や弾き方にも工夫が必要だと思います。やりたいことはたくさんあるのに、限られた時間の中でそれらをバランスよくこなすのは、とても難しいと感じています。


ピアノは特に、その日の気持ちが音に表れやすい楽器です。落ち着いた曲を弾きたい日もあれば、基礎練習に集中したい日もあります。そうした変化を無視して計画だけを優先するのは、音楽を楽しむという点では本末転倒なのではないか、と思うようになりました。


一方で、計画や目標がまったくない状態は、それ以上に危険です。「今日はやる気が出ないから」と先延ばしにしているうちに、気づけば何日もピアノに触れていない、ということが起こります。臨機応変が苦手な自分にとって、明確な指針がない状況は、行動しない理由を増やしてしまうのです。その結果、何もしないまま一年が過ぎてしまうこともあります。


そこで思いついたのが、「やる気がない場合のスケジュール」を用意することでした。完璧な年間計画ではなく、最低限の練習内容だけを決めておきます。たとえば、指のウォームアップ、短い基礎練習、簡単な理論の復習など、「迷ったらこれをやる」という型を作ります。コツコツ続けることは得意なので、この程度の決まりがあれば、自然と鍵盤に向かえる気がしました。


そして、衝動的に「この曲が弾きたい」「今日は表現を工夫してみたい」と思ったときは、その気持ちを最優先にします。計画を崩すことに罪悪感を持たず、むしろ予定外を楽しむ余白として受け入れます。特に衝動がない日だけ、静かにスケジュールをこなします。


この方法なら、音楽理論、演奏テクニック、そして人を楽しませる工夫といった複数の要素にも、少しずつ触れていけそうです。計画や段取りが好きな自分の強みを活かしつつ、気分の変化にも対応できます。来年はこの「やる気がない前提のスケジュール」で、無理をせず、それでも確実にピアノと向き合う一年にしてみようと思います。自分なりのバランスを探しながら、音楽の幅を広げていきたいです。