「スピル!メル!」


彼等の入っていた檻に向かう。

すると、鉄格子が妙な形に歪んで、人が出入りできるようになっていた。


「二人とも、大丈夫か!」


檻に入って二人を起こす。

幸い二人とも生きていた。


「ディルク…?スピル?どうして…ここに?」


メルはオレ達が来た事を知らなかったらしい。

きょとんとした目できいてきた。


「…メルを助けに…来たんですよ。私は捕まってしまいましたが。」


「…ああ。まぁ、話すより先に治療だ。ほら、スピルはメルの傷を治してやれ。」


「分かりました。ありがとう、ディル。」


オレがスピルの傷を治すと同時に、スピルはメルの傷を治す。

何でこうしたのかはきかないでくれ。


「…動けるか?」


「はい。私は大丈夫です。」


「私もです。」


「…そうか。…うん、それなら…良いんだ。」


ああ、くそ。

ここはカッコよく決めたいのにさ。

なんで目に水が溜まるんだよ。


「…ディル?」


「…るさい。少し…だまってろ。」


涙は止まらない。

嬉しいからなのか、悲しいからなのか。


…いや、きっとどっちもなんだろうな。


「…あっ、そういえば…その…」


メルがエプロンドレスのポケットをあさる。


「…あった!これ…バレンタインに渡したかったんですけれど。こっちがディルクで、こっちがスピル。」


「ありがとうございます、メル。」


「…」


無言のまま小さなプレゼントを開ける。

中に入ってたのは…


「指輪…ですか?チョコではなく?」


そう、指輪。

銀色の輝くソレには、オレの名前が彫ってあった。

スピルも同じ形状の指輪を持っている。


「…なんで…指輪なんだ?っつか、こんな高い物よく買えたな…」


「全財産つかってちょっと贅沢してみたんです。どうせお金なんて持っていても使いませんから…。で、なんで指輪なのかという…と…」


少し口ごもってから、決心したように言った。


「お二人とも、結婚しましょう。三人で。」


「えっ…えーっ!ハァ?マジ?」


「はい。マジですよ」


天使のような笑みで返される。


「…メル。結婚は二人でしか出来ないんですよ?分かって…ますよね?」


「だから、私とスピルで結婚して、私とディルクも結婚して、スピルとディルクが結婚すればいいんですよっ」


「…ハハッ。」


思わず苦笑する。

何処に居ようといつになろうと、メルはメルだった。