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☆~湧き水の里の家から~☆

きくさんとまなピー☆
2人で気の向いた時にブログを書いていきます。
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フツ達はアサクマの地から更に東へと向かった。


対岸にあるアツミやホの地にも三神山があると聞いたが、今はアサクマの山で見た白い大きな山が気になるので、仲間にホの三神山を調べてほしいと別動を頼み、自らはそのまま船で東に向かったのだった。


そしてある岬に差し掛かった時、案内人が言った。


「この岬を回るとアサクマの山から見えた白い大きな山が、更に大きく美しい姿を見せてくれますよ」


フツ達は案内人の話に、少なからず緊張した面持ちで、白い山が見える瞬間を待った。


そして白い山は現れた。


「おお~ビックリマーク


フツ達は山の姿に興奮した。


「何故たろうか。僕達の国にも大きな山はあるし、雄大なのに、この白い山は何かが違う。何故か興奮してしまうんだ」


「私もです。感動しています」


白い大きな山は、山の上の方が白く、下の大半は青い。
青くて裾野は両手を広げてフツ達を出迎えてくれているように見える。


その姿は見る者を包み込むかのようでもあった。


「あの山のことをよく知る人達が住む地域が、もう少し行ったところにあります。そこに立ち寄りましょう」


案内人は白い山が最も大きく見えるところに船を停泊させて、フツ達を白い山のことをよく知る人々が住む集落へと案内した。


そこはアシタカと呼ばれる地域で、白い山の手前にも、海に迫るように山がある。


アシタカの集落の人々はフツ達を歓迎してくれた。


「ほう、不老長寿の霊薬があるという三神山をお探しですか。あなた方の言う三神山が如何なるものを指しているのかわかりませんが、あの白い山が気になるのでしたら、この地に伝わる話をしましょうかね」


「どのようなお話でしょうか?是非教えて下さい」


「わかりました。遥か大昔のことです。あの白い山の手前、海に面して見えるアシタカの山と、更に東に見えるアシの山は白い山と同じ形をした山でした。白い山はまだ地上に現れて間もない頃でしたが、同じ形をした3つの山が共に並んでいた時代があったのです」


「3つの山は同じ形をしていたのですか!? 何と。まるで西の彼方にある石の三神山のようだ・・・」


フツは驚きつつも、彼らの国に伝わる西の彼方にあるという石の三神山のことを思い出していた。


「同じ形をしていたのは一時だけです。3つの山は火の山なので、アシの山は火の勢いが強く、その形は残されていません。アシタカの山も同様に頭の方が崩れてしまいましたが、私達にとっては今も変わらずに同じ形の三位一体の姿なのです」


「すごいですね。三位一体の山ですか。三神山とは三位一体を表すのでしょうか?」


「私達はそう思っています」


アシタカの集落での話は、フツ達にとって大きな収穫だった。


「あの、不老長寿の霊薬はあの白い山にあるのでしょうか?」


「不老長寿? 私達人がいつまでも健康で長生きできるものでしたら、この国にはどこにでもありますよ。もちろん毒のあるものもありますが、根の生えた草々や花や木の実、火の山より湧き出る熱いお湯、大地の栄養たっぷりな水、大地に生まれし石達、太陽や月の光など、いくらでもあります」


「そんなにあるのですか?」


「そうですね。すべては私達のすぐそばにあるのです」


フツはここに来る前に聞いた話と同じだと感じていた。
それは求めないから得られるのではないかとも。


「あの、ちょっとお聞きしたいのですが。白いお山を見た時、私はシャンバラみたいだなと思ったのですが、何か関係はありますか?」


「シャンバラ?」


「はい、私達の国では西の山を越えたところにその入口があるとされている、地底の国のことです」


「地底の国・・・ああ、そういえば白い山には地底に繋がる洞穴があると言われていますよ」


フツとアーシャは顔を見合わせて頷きあった。


「白い山に行くにはどうしたらいいのですか?」


「行きたいのかね? 道なき道を背丈程もある草々をかき分けながら行くようなところだよ」


「それでも行きたいのです」


「それならここから行くより、船で東へ回って、川を遡っていく方がいいでしょう。川の上流には古い都があるので、そこに行けばあなた方の知りたいことがわかるかもしれませんね」


「古い都?」


「ええ、遥か昔に栄えた都です。たしかそこに住む人達は私達より長生きだと聞いたことがあります」


フツは求めていたものが、目の前にあるように思えた。


「アーシャ、船で行こうと思う。古い都に行ってみたいんだ」


「ええ」


フツ達は次なる目標に向かってまた船に乗った。






~続く~