武術にしても、スポーツにしても基本は大事ですよね。

きちんとした姿勢や体の使い方が身につかないと、合理的な力の出し方や本来の動作の目的が達成できないし、何よりも自分の限界が早い段階で見えてきます。

 

特に武術の場合は「型(基本)」が正しい動作や姿勢を学ぶ上で重要です。

詠春拳ですと、身法(体の操作方法)と功力(武術的な力)の養成が主な型の目的かと思います。そう考えると、型はその流派のエッセンスを詰め込んだ宝箱と言えます。

 

でも一方で、「型や基本稽古だけでは、自由組手やスパーリング(スポーツだと実際の試合)に対応できないのでは?」という疑問が出てきます。 当然、基本ばかりだと練習も退屈ですし、相手も自由に動く状況では「型」だけでは対応も出来ないでしょう。

 

では型から得られる物とは何か。

その一つが以前書いた「自分の体に聞く」というプロセスや能力だと僕は考えています。

 

私の専門は詠春拳という中国武術ですので、詠春拳を例に書きます。

香港に初めて行ったときに武館(道場)で高手(師範レベル)の方々の動きを見て気づいたのですが、チーサオ(詠春拳のスパーリング)をしている時に上級者は体を瞬間的に調整(修正)しています。(素人目に気づく程、目立つ大きな動きではありませんが)
 

これが出来るようになる為には「正しい姿勢」を感覚的に自分の体に染み込ませて、本来あるべき体制、姿勢に戻すためのお手本を「体の記憶」に刻み込む必要があります。

これを僕の道場ではReferenceを体に作れと言っていました。(あくまで感覚としての話です)

 

それぞれの姿勢や動作には「なぜそうするのか」といった目的があります、そしてそれを念頭に置きながら体を動かす事が重要です。 僕の師父が「ごはんを食べるように練習しろ」と言っていました。 これは「練習を習慣化する」だけではなく、食事内容(体に必要なモノ、つまり目的)に気を付けながら食べる(練習する)という事だと思います。

 

勿論、すぐに色々な事が出来るようになる訳ではないですが、目的を理解しながら練習すれば理論と身体感覚を一致させられるようになるはずです。

継続は力なり、僕らが親から頂いた体は、我々が思う以上に優秀なんです。


まあ、中には手合せをする前に相手の心身を封じてしまうような名人が居るのも事実です。

ただそれは相手との実力差が相当ある場合で、実際には自由に打ち合えば不覚を取る事は当然あります。 だからこそ、本来あるべき形(Reference)に身も心も自然に戻れる事は重要です。

※ちなみにリカバー出来ない状況になる場合は素直に「まいりました」ですよね(笑)

 

僕なりの考えを書けば、型から自由になるという事は、意識せずとも「その型の目的」を感覚として体現できる状態ではないかと思います。そうする事で無意識に自由に動く中でも身体能力を最大限に活かせるようになるのではないでしょうか。

※型に加えて対人練習も当然必要ですが、それは別の機会に。

 

焦りは禁物です。 体に無理をさせない様に皆さまの追及されているもの(フィットネスでも武道・武術でも)を続けられるのが理想です。

色々な事がある今日この頃ですが、お互いに体に気を付けて、明るく楽しく健康に体と心をメンテナンスしていきましょう。

 

最後に画像は家のベランダにぶら下げた砂袋です。

大家さんやご近所に迷惑をかけないように、気を付けて練習しています(笑)