昔の中国武術や武術の本を読んでいるとウェイトトレーニングや筋トレはしない方が良いという事が書いてある事がありますが、今回はその事について書きます。

 

昔の達人の写真を見ると痩せた小柄な人が多いですよね。 勿論、中には体つきの良い人もいますが、全体的には筋骨隆々というよりも普通の体格と言うか、痩せた人が多いような気がします。 僕が高校生の頃に読んだ本には、「小柄な相手に『こんなこんなバカな事があるか!』と大きな人間が倒されるのが本物の功夫だ」といった内容が書かれていました。

「柔よく剛を制す」、武術や武道のロマンですよね(笑)

 

さて、ここからは僕の経験やお会いした方々に基づいた話になります。

NYで詠春拳を習い始めた時に僕の師父(先生)は「一番大切なのは座馬(姿勢)、そして正しい姿勢から出される技、さらに『パワー』だ」と言っていました。 その時にクラスには大柄でムキムキの生徒が多数いましたが、先生は「彼らは強いぞ~」と言っていました。

 

それでも当時の僕は師父や先生の兄弟弟子、さらに師公(先生の先生)が、巨漢の人たち相手に力で圧倒されていない姿を見て、「ウェイトトレーニングは不要」と信じていました。 一方で詠春門では師伯にあたるブルース・リー師傳はフィジカルなトレーニングを重視していたようですし、そんな感じで本当はどうなんだろうと考えるようになりました。

 

で、結論ですが、今では健康維持や強くなりたければ、無理のないウェイトトレーニングは必要だと思います。

 

ただし、僕の師父が言っていた座馬と基本的な動きが出来るようになるまでの、少なくとも半年から1年位はやらない方が良いでしょう。 正しい姿勢と力の流れがイメージできるようになるまでは、ウェイトトレーニングは不要な「力み」を取り除くのに邪魔になるからです。

※武術を練習すると、とにかく身体をリラックスさせる事が要求されます。

 

全身をリラックスさせるとは、「力を入れる場所には入れて、無駄なところには入れない」という意味ですが、初心の頃はこれが難しいんですよ。 どうしても、背中全体や足腰がカチカチに固まったりします。 これを徐々に師父や師兄たちの指導で、流派の動きに身体を馴染ませていく訳ですが、この段階で力みが抜けないと武術自体が上達しません。

 

僕は軽めのダンベルで、詠春拳の姿勢を維持して全身で持ち上げるイメージでのウェイトトレーニングを週二回はしています。(勿論、武術の練習がメインで、ウェイトは補助です)

内容は普通の項目(カールやスクワット)ですが、必ず頭頂から両足に力が抜けていくイメージと、関節(特に股関節と肩)のリラックスを意識してやるようにしています。 

 

僕にはこの方法が非常に身体に合っているようです。 地面に身体の重みが流れるようにウェイトトレーニングをすると、姿勢のコツの体得や自分自身の姿勢のチェックに役立ちます。 また、正しく練習すれば足裏に体重が乗り、股関節周辺が独特な弾力性を持つようになる上に、詠春拳で重要な尾てい骨から頭頂への繋がり(体軸?)の体得にも繋がります。

 

なお、既にウェイトをやっている人はウェイトトレーニングを継続しても大丈夫ですが、武術の練習時間の比率はウェイトトレーニングの練習時間よりも高くする事をお勧めします。

ちなみに重さは片方が10キロです。 「軽っ!」って思うかもしれませんが、僕には無理のないちょうど良い重さです。(それ以上の重さだと無駄に体が力んでしまうんで駄目です)

 

最後になりますが、高度な境地にたどり着けば武術に力が不要である事は間違いないと思います。 あくまで補助運動として武術的な「パワー」を得るための参考として下さい。それに健康目的であれば、筋力・体力維持にもなりますし、ただでさえ我々現代人は昔の人のように力仕事、歩くことさえしませんから。

 

久しぶりに外食しました。アメリカといえばハンバーガーですよね(笑)

写真はウォーキングデッドでダリル役の俳優さんがオーナーのレストランで食べたメキシカンバーガーwith地ビールです。 「肉っ!」って感じで本当に美味しかったです。

 

無理なく、健康第一に、自分の体力や体質にあった練習をしましょう!