サッカーと民族と言葉
指揮官デルボスケの故郷でもある
カスティージャ・レオン州サラマンカにて
欧州選手権予選に備えるスペイン代表。
昨日、バルサのピケとマドリーのセルヒオ・ラモスが
選手代表で臨んだ合同記者会見にてこんな一幕が・・・
TV3(カタルーニャTV)のセバス記者が、
ピケへの「ビジャとラウルの代表得点数記録」についての質問に対して
カタルーニャ語での返答を求めたときのこと 。
カタランで返答を終えたピケが
『castellano(スペイン語)で繰り返そうか?』
と周囲の反応を窺っていると、黙っていなかったのが
アンダルシア自治州出身のセルヒオ・ラモス。
『いやいや。アンダルシア語で、ぜひ頼む。』
会場は爆笑に包まれたのでした。
スペインでは、公用語であるスペイン語の他、
州あるいは地方によって独自の言語を持ち合わせているのは
良く知られた事実ですよね。
そんな背景がある文化体系とナショナリズムに囲まれる国だけに
セルヒオ・ラモスの発言を”良からぬ方向”で理解した
スペイン人がいるのも確かです。
これに対しセルヒオ・ラモスはTwitterにて
『僕自身、カタルーニャにもカタルーニャ語にも偏見は持っていない。
真面目な顔つきで放った言葉であるが、単なる冗談だった。
このやりとりを間違った方向で解釈して欲しくはない。』
と自身の発言の真意をフォロー。
スペインにおいて、地方の民族や言語を扱うテーマは
とてもデリケートであるだけに、その関与を回避した形でしょうか。
通常、スペイン代表の会見で使用されるのはスペイン語のみ。
今回のように、カタルーニャの地元放送が、自己中心的な
取材を行うのは稀とはいうものの、過去にも、
記者の質問がカタルーニャ語でされ、
選手がスペイン語で返答したという事例もあるそうです。
普段はカタルーニャ語で会話しているバルサの選手同士でも、
代表招集されれば、スペイン語のみのコミュニケーションを図っているのは
スペイン代表選手としての自覚の表れであり、
この国の団結を示すひとつの要因といえるはず。
そんな考え方をしてみると、今回、
”冗談だった”と交わしたセルヒオ・ラモスが
実は「腹を立てていた」といわれても何ら不思議ではありません。
W杯優勝したサッカー・スペイン代表は、
地方の言語も民族をも超越した存在であることを証明したばかり。
スペイン全体を見渡せないような
視野の狭い記者の言動のせいで『サッカーにおける団結』
の素晴らしさを知ったこの国に、つまらない議論が沸き起こるのは、
まっぴらごめんであります。


