湯本 香樹実
ポプラの秋

この作家は、老人好きなんだろうか?

私も老人好きなので、嬉しい。

この作品は、おばあちゃんなので、特に嬉しかった。


ストーリーを簡単にまとめると、小学校一年生の女の子が、父を亡くし、引っ越した先の大家のおばあちゃんと触れ合うことで、父を亡くした不安定な状態を脱していくという感じかな?

って書くと、薄っぺらいけど・・・


私のことになりますが、小学校2年の時に、最愛の祖母を亡くしました。

しかし、幼かったので、死を受け止め、そのショックから抜け出すのに、ものすごく時間がかかりました。

祖母は、癌で入院して逝ったのですが、弱っているところを見せたくないと言っていたらしく(大人になってから教えられた)、一度もお見舞いに行っていません。

私が祖母と最後に交わしたのは「すぐに良くなって帰ってくるから良い子で待っててね」と言うような言葉で、その言葉は嘘になってしまいました。

最初は、死よりも、祖母が嘘をついたということの方がショックだったかな?


なんか、前置きが長くなったけど、この作品を読んでいたら、すごくその頃のことを思い出した。


幼い主人公が死んでしまった父に手紙を書く・・・その無邪気な手紙の内容に、

何気ないおばあさんと主人公のやりとりに、涙。

どうにもならない死に、こんな風に向き合うことをさせてくれる人が、もしもそばにいたなら、どんなに素晴らしいだろう?



もうひとつ、どうでも良いことですが、

老人と接する機会の多い職場を辞めて、数年。

老人との会話で、どれほど私が癒されていたか、思い出しちゃって、困りました。