いよいよ、ワールドカップ南アフリカ大会は、11日午後8時半(日本時間12日午前3時半)から、当地でオランダとスペインによる決勝が行われます。欧州勢同士の決勝は2大会連続8回目で、ともに初優勝が懸かっています。試合前には両国の国家斉唱があります。
オランダの国歌は『ウィルヘルムス・ファン・ナッソウエ』。
16世紀頃から歌われてきた古い歌で旋律は世界の国歌のうちで最も古いといわれてます(正式に国歌になったのは1932年)。
題名になっているウィルヘルムス・ファン・ナッソウエとは、16世紀中期から
100年近く続いたスペインからの独立戦争の指導者で現オランダ王家オラニエ=ナッサウ家の始祖でもあるオラニエ公ウィレム1世のことです。
スペインが派遣したアルバ公の追及を逃れ、ドイツに亡命していたウィレムは、1568年に弟たちと連携してネーデルラント(今日のベネルクス諸国)へ侵攻しました。ウィレムらの軍勢は緒戦では勝利したものの、結局はアルバ公に撃退されて再度亡命しました。
『ウィルヘルムス』はこのウィレムの2度目の亡命の時期に、ウィレムの腹心シント・アルデホンデ領主フィリップス・ファン・マルニクスが作詞したと伝えられています。旋律は1569年頃によく歌われていたフランスの従軍歌が元になっていて、最古の楽譜は1574年のものだそうです。
『ウィルヘルムス』は古くから歌い継がれてきたものの、1815年にオランダ王国が成立した際には“Wien Nederlands Bloed”が国歌に選ばれました。
しかし『ウィルヘルムス』の人気が上回り、公式行事で使われることも多くなったため、1932年に正式に国歌に定められました。
歌詞は全部で15番までありますが、今日唱われるのは1番と6番だけです。
1番の歌詞には「スペイン国王には忠誠を誓い続けてきた」というくだりがあります。この歌詞は、ウィレム1世の闘志を歌ったものなので、この部分は、これまで忠義を尽くしてきたが、ついにスペイン国王の横暴に堪えきれなくなったという意味がこめられているといいます。
長きにわたる闘争を経て、オランダは1648年のウエストファリア条約によってスペインからの独立が国際的に認められました。それから約360年、いまだに歌詞にスペインの名が残るのは、当時の戦いを忘れないよう語りついできたことの表れと言われてます。
平和的なスポーツの祭典であるサッカーのワールドカップで世界の頂点を争う両国を、天国にいるウィレム1世をはじめとする志士たちはどのような心境で眺めているのでしょうか。
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