少子化が進む中で、全国的に廃校が増加している。
しかしそれと同時に、その廃校を有効活用する動きも活発化してきており、それによって地域活性化へつなげている地域も増えてきている。
以前の記事でもいくつか事例を紹介したが、その他にも新たな取り組みも続々と誕生しているので、今回はいくつか振り返ってみる。
そこで今回は、
1.廃校活用方法(1)校内を自転車で走る?!
2.廃校活用方法(2)農業体験をしてみる
3.廃校活用方法(3)ドローンパイロット不足を解消!
4.再び学校が子供の居場所へ
以上4点についてお話ししてみたい。
1.廃校活用方法(1)校内を自転車で走る?!
学校の廊下を自転車で走るというと、普通は必ず禁止されることの一つであるが、禁止されるからこそやってみたいと思ってしまう人もいるだろう。
以前の記事で、私は廃校活用は何よりも「ワクワク感が大切」とお話しした通り、この取り組みでは、まさに大人から子供まですべての人がワクワクする体験が出来る。
その取り組みというのは、校舎内も含め、学校内やその周辺などをコースとした自転車レースを行うというものだ。
普通ではなかなかできない体験であることから、人気のあるイベントになっている。
実際に行われた事例をいくつか紹介してみよう。
スクールクロス(愛知県新城市/旧鳳来寺高校:2016年開催)
・SNS告知により250名以上が参加
・600mのショートコースで展開
・かつての制服を着て参加する人や制服姿で参加する現役学生も
・多くの集客が出来たことで周辺店舗が活気づく
*参照:「校舎内を駆け抜けた「スクールクロス」 廃校に笑顔が溢れた1日」(シクロワイアード)
スクールライダー2018(岐阜県美濃市/旧洲原小学校:2018年開催)
・地域の活性化と住民相互の親睦が目的
・約300メートルの特設コース
・小学生を中心に約40人が参加
*参照:「校舎廊下を自転車疾走 美濃市・旧洲原小に特設コース」(岐阜新聞web)
2.廃校活用方法(2)農業体験をしてみる
廃校を宿として活用する事例はこれまでも多く存在してきたが、宿泊するだけにとどまらず、さらにプラスアルファの経験が出来る取り組みが注目されている。
それが、「農業体験」である。
宿泊も楽しみつつ、そこでしか経験できないことが出来るという魅力で人気を集めている。
こちらもいくつか事例を挙げてみたい。
ビレッジハウス仁吾川(広島県/旧有木小学校)
・明治時代の建築状態のまま利用
・手作りこんにゃく、そば手打ち体験、豆腐作りなどの体験が楽しめる
・「農のあるライフスタイル」の体験学習
・訪れた人とのふれあいをおこなう「あるぎ倶楽部」も存在
*参照:「めくりめく自然の豊かさ、ここの素晴らしさは何と言っても自然の多さです ビレッジハウス仁吾川」(地方で「農」を楽しもう 星の物語)
世羅の宿ひがし(I広島県/旧東小学校)
・滞在型宿泊施設(自治センター併設)の誕生
・研修室や体育館などが完備されていて様々なイベントが可能
・田植え体験や稲刈り体験など年間を通した体験イベントがある
*参照:「地恵の学び舎 世羅の宿ひがし」(地方で「農」を楽しもう 星の物語)
*参照:「世羅の宿ひがし」ウェブサイト
3.廃校活用方法(3)ドローンパイロット不足を解消!
そして最後は、実に現代らしい活用方法である。
それは、ドローンの操縦練習場、学校としての利用だ。
ドローンはもはや、災害対策や農業作業での活用など、幅広い分野で活用が期待されるツールにになっている。
しかし、それが実際になかなかつながらない理由は、ドローンを操作するパイロットが圧倒的にする少ないからである。
今、様々な分野で活用方法を考えられているドローン事業の急務は、そのドローンの操縦者を増やすことである。
しかし、どのようなところでも飛ばすことが出来ないのがドローンである。そう考えれば、訓練をしたり練習をしたりする場所が必然的に必要となってくるだろう。
越後屋ドローンスクール
・検定取得を目指して3つのコースあり
・講座過程が終わったら修了試験
・JUIDA認定の資格取得が可能
あきる野市/戸倉小学校
・宿泊施設を兼ねているため、3日間ほどの日程で合宿での訓練が行われる。
・訓練では最低10時間以上の操縦経験を積み、座学教育と技能指導による研修プログラム
山林の野生動物による被害をドローンを使って調査するなど、市民生活に役立てたい考え
*参照:「あきる野市 廃校を活用しドローンの操縦を訓練」(TOKYO MX TOKYO)
4.再び学校が子供の居場所へ
少子化に伴い増加したのが「廃校」であるが、その廃校を地域活性化のきっかけや拠点として活用することで、再び学校という場に子どもの声が響くようになった。
不思議なサイクルではあるが、それが意外に「地域活性化」のヒントと言えるかもしれない。
子どもがいた場所や子どもが好む場所は、時代が流れても変わらず子どもにとっての居場所になり得る。
そして、その場所だからこそ学べることや感じ取れることがあると思う。
子どもが学ぶ場所としての認識が強い「学校」だが、子どもが「生活する場所」としての役割を担ってきたのが学校である。
その環境の中で、子どもにとってよりストレスの少ない環境で新しいことを学んだり経験したり出来るということは、その「新しいこと」に子どもがより集中して向き合えることにもつながるのではないだろうか。
学校は地域の中心となりうるし、子どもを介した交流をする場としても有効的である。
その環境を活かし、もう一度子どもの集まりやすいきっかけを多く作ることで、学校が再びその役割を担う場所として輝きを取り戻すことが出来る。