こんにちは、おっさんです。

今朝は、なぜかなかなか起きることができず

普段より1時間も寝過ごしました。

それでも昨日やっていた分の貯金があったので

少し気は楽でした。

今日も勉強頑張るぞー

 

セレクト過去問集-民法4

の結果は、13門中、9問正解でした。

 

 連帯債務および連帯保証に関する次のア~オの記述のうち、正しいものはいくつあるか。

 

ア 連帯債務において、連帯債務者の1人が債権者に対して債権を有する場合には、その連帯債務者が相殺を援用しない間は、その連帯債務者の負担部分の限度において他の連帯債務者は、債権者に対して債務の履行を拒むことができる。これに対し、連帯保証において、主たる債務者が債権者に対して相殺権を有する場合には、連帯保証人は、相殺権の行使によって主たる債務者がその債務を免れるべき限度において、債権者に対して債務の履行を拒むことができる。

イ 連帯債務において、債権者が連帯債務者の1人に対して債務を免除した場合には、その連帯債務者の負担部分についてのみ、他の連帯債務者は債務を免れる。これに対し、連帯保証において、債権者が連帯保証人に対して債務を免除した場合には、主たる債務者はその債務の全額について免れることはない。

ウ 連帯債務において、連帯債務者の1人のために消滅時効が完成した場合には、他の連帯債務者はこれを援用して時効が完成した債務の全額について自己の債務を免れることができる。これに対し、連帯保証において、連帯保証人のために時効が完成した場合には、主たる債務者はこれを援用して債務を免れることはできない。

エ 連帯債務において、債権者が連帯債務者の1人に対してした債務の履行の請求は、他の債務者にも効力を生じる。これに対し、連帯保証において、債権者が連帯保証人に対してした債務の履行の請求は、主たる債務者に対して効力が生じることはなく、主たる債務の時効の完成猶予の効力は生じない。

オ 連帯債務において、連帯債務者の1人が債務の全額を弁済した場合には、その連帯債務者は、他の連帯債務者に対し、各自の負担部分について求償することができる。これに対し、連帯保証において、連帯保証人の1人が債務の全額を弁済した場合には、その連帯保証人は、他の連帯保証人に対し、求償することはできない。

1  一つ

2  二つ

3  三つ

4  四つ

5  なし

 

正解1

ア 正しい。連帯債務者の1人が債権者に対して債権を有する場合において、その債権を有する連帯債務者が相殺を援用しない間は、その連帯債務者の負担部分の限度において、他の連帯債務者は、債権者に対して債務の履行を拒むことができます(439条2項)。これに対し、(連帯)保証人は、主たる債務者が債権者に対して相殺権、取消権又は解除権を有するときは、これらの権利の行使によって主たる債務者がその債務を免れるべき限度において、債権者に対して債務の履行を拒むことができます(457条3項)。

イ 誤り。連帯債務者の1人に対してした債務の免除は、他の連帯債務者についてその効力は及びません(441条本文)。また、連帯保証人に対してした債務の免除も、主たる債務者にはその効力が及びません(458条、441条)。

ウ 誤り。連帯債務者の1人のために時効が完成しても、他の連帯債務者についてその効力は及びません(441条本文)。また、連帯保証人ついて時効が完成しても、主たる債務者にはその効力は及びません(458条、441条)。

エ 誤り。債権者が連帯債務者の1人に対して債務の履行の請求をしても、他の連帯債務者についてその効力は及びません(441条本文)。また、連帯保証人に対してした債務の履行の請求も、主たる債務者に対してその効力は及びません(458条、441条)。したがって、時効の完成猶予の効力は生じません。

オ 誤り。連帯債務者の1人が弁済をし、その他自己の財産をもって共同の免責を得たときは、その連帯債務者は、その免責を得た額が自己の負担部分を超えるかどうかにかかわらず、他の連帯債務者に対し、その免責を得るために支出した財産の額(その財産の額が共同の免責を得た額を超える場合にあっては、その免責を得た額)のうち各自の負担部分に応じた額の求償権を有します(442条1項)。また、連帯保証人の1人が債務の全額を弁済した場合には、その連帯保証人は、他の連帯保証人に対し、自己の負担部分(連帯保証人間の負担部分)を超える額を弁済したときは、他の連帯保証人に対して自己の負担部分を超える額について求償権を有します(465条1項、442条1項)。

 以上により、正しいものは、アとなり、一つとする1が正解となります。

 

 

 債権者代位権または詐害行為取消権に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、正しいものはどれか。

 

1 債権者は、債権の弁済期前であっても、債務者の未登記の権利について登記の申請をすることについて、裁判所の許可を得た場合に限って、代位行使することができる。

2 債権者は、債務者に属する物権的請求権のような請求権だけでなく、債務者に属する取消権や解除権のような形成権についても代位行使することができる。

3 債権者は、債務者に属する権利を、債権者自身の権利として行使するのではなく、債務者の代理人として行使することができる。

4 甲不動産がAからB、AからCに二重に譲渡され、Cが先に登記を備えた場合には、AからCへの甲不動産の譲渡によりAが無資力になったときでも、Bは、AからCへの譲渡を詐害行為として取り消すことはできない。

5 詐害行為取消権の立証責任に関しては、債務者の悪意と同様に、受益者および転得者側の悪意についても債権者側にある。

 

正解2

1 誤り。債権者が債権者代位権を行使するための要件の一つとして、債権者の債権の弁済期が到来していることがあります。ただし、保存行為を行う場合には弁済期が未到来でもよいこととされています(423条2項)。本肢の「未登記の権利についての登記」は、保存行為に該当するため、債権弁済期前に行使することができ、その場合、裁判所の許可を得る必要はないので、本肢は誤りです。

2 正しい。債権者代位権の代位される債務者の権利は、一身専属権や差押えを禁じられた権利については、対象とすることができませんが、それ以外の債権や物権的請求権などの「請求権」や取消権や解除権などの「形成権」も代位行使することができます。

3 誤り。債権者代位権や詐害行為取消権を行使する債権者は、債務者の代理人として権利を行使するのではなく、自己の名において債務者の権利を行使します。したがって、「代理権として行使することができる」とする本肢は誤りです。

4 誤り。判例は、本肢のような特定物債権(特定物引渡請求権)も、窮極において損害賠償債権(金銭債権)に変じ得るものであり、金銭債権と同様なので、債権者は、債務者の詐害行為を取り消すことができるとしています(最大判昭36・7・19)。したがって、「Bは、AからCへの譲渡を詐害行為として取り消すことはできない」とする本肢は誤りです。

5 誤り。詐害行為取消権の立証責任については、「債務者・転得者の悪意」は債権者に立証責任がありますが、「受益者の悪意」については、受益者に善意であったことの立証責任があります。

 

 

 受領権者としての外観を有する者に対する弁済等に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当なものはいくつあるか。

 

ア 他人名義の預金通帳と届出印を盗んだ者が銀行の窓口でその代理人と称して銀行から払戻しを受けた場合に、銀行が、そのことにつき善意であり、かつ過失がなければ、当該払戻しは、受領権者としての外観を有する者への弁済として有効な弁済となる。

イ 他人名義の定期預金通帳と届出印を盗んだ者が銀行の窓口で本人と称して、定期預金契約時になされた定期預金の期限前払戻特約に基づいて払戻しを受けた場合に、銀行が、そのことにつき善意であり、かつ過失がなければ、当該払戻しは、受領権者としての外観を有する者への弁済として有効な弁済となる。

ウ 他人名義の定期預金通帳と届出印を盗んだ者が銀行の窓口で本人と称して銀行から定期預金を担保に融資を受けたが、弁済がなされなかったため、銀行が当該貸金債権と定期預金債権とを相殺した場合に、銀行が、上記の事実につき善意であり、かつ過失がなければ、当該相殺は、受領権者としての外観を有する者への弁済の規定の類推適用により有効な相殺となる。

エ 債権者の被用者が債権者に無断でその印鑑を利用して受取証書を偽造して弁済を受けた場合であっても、他の事情と総合して当該被用者が受領権者としての外観を有する者と認められるときには、債務者が、上記の事実につき善意であり、かつ過失がなければ、当該弁済は、受領権者としての外観を有する者への弁済として有効な弁済となる。

オ 債権が二重に譲渡され、一方の譲受人が第三者対抗要件を先に具備した場合に、債務者が、その譲受人に対する弁済の有効性について疑いを抱いてもやむをえない事情があるなど、対抗要件で劣後する譲受人を真の債権者であると信ずるにつき相当の理由があるときに、その劣後する譲受人に弁済すれば、当該弁済は、受領権者としての外観を有する者への弁済として有効な弁済となる。

 

1 一つ

2 二つ

3 三つ

4 四つ

5 五つ

 

正解5

ア 妥当である。「受領権者としての外観を有する者」とは、受領権者(債権者及び法令の規定又は当事者の意思表示によって弁済を受領する権限を付与された第三者をいう)以外の者であって取引上の社会通念に照らして受領権者としての外観を有するものをいいます(478条)。他人名義の預金通帳と届出印を盗んで代理人と称する者も「受領権者としての外観を有する者」に当たり(最判昭37・8・21)、受領権者としての外観を有する者に対して、善意・無過失でした弁済は有効な弁済となります。

イ 妥当である。定期預金契約の締結に際し、期限前払戻の場合の弁済の具体的内容が契約当事者の合意により確定されているときは、期限前の払戻しであっても、民法478条が適用されます(最判昭41・10・4)。したがって、銀行が善意・無過失であれば、有効な弁済となります(478条)。

ウ 妥当である。金融機関が、定期預金につき真実の預金者と異なる第三者を預金者と認定して貸付をしたのち、貸付債権を自働債権とし預金債権を受働債権として相殺した場合、民法478条が類推適用されます(最判昭48・3・27)。したがって、銀行が善意・無過失であるときは、当該相殺は有効な相殺となります。

エ 妥当である。受取証書が偽造された場合でも、他の事情と総合して、「受領権者としての外観を有する者」と認められるときは、民法478条の適用を受け(大判昭2・6・22)、債務者が善意・無過失で弁済したときは、「受領権者としての外観を有する者」への弁済として有効な弁済となります。

オ 妥当である。二重に譲渡された指名債権の債務者が、債権譲渡の対抗要件を具備した他の譲受人よりのちにこれを具備した譲受人に対してした弁済についても民法478条の適用があり(最判昭61・4・11)、対抗要件で劣後する譲受人を真の債権者であると信ずるにつき相当の理由があるときに、その劣後する譲受人に弁済すれば、当該弁済は、受領権者としての外観を有する者への弁済として有効な弁済となります。

 以上により、すべて妥当であり、5が正解となります。

 

 

 相殺に関する次のア~ウの記述のうち、相殺の効力が生じるものをすべて挙げた場合、民法の規定および判例に照らし、妥当なものはどれか。

 

ア AがBに対して令和2年5月5日を弁済期とする300万円の売掛代金債権を有し、BがAに対して令和2年7月1日を弁済期とする400万円の貸金債権を有している。この場合に、令和2年5月10日にAがBに対してする相殺。

イ AがBに対して令和2年5月5日を弁済期とする300万円の貸金債権を有していたところ、令和2年7月1日にAがBに対して悪意による暴力行為をはたらき、令和4年7月5日に、Aに対してこの暴力行為でBが被った損害300万円の賠償を命ずる判決がなされた。この場合に、令和4年7月5日にAがBに対してする相殺。

ウ A銀行がBに対して令和2年7月30日に期間1年の約定で貸し付けた400万円の貸金債権を有し、他方、BがA銀行に対して令和3年7月25日を満期とする400万円の定期預金債権を有していたところ、Bの債権者CがBのA銀行に対する当該定期預金債権を差し押さえた。この場合に、令和3年8月1日にA銀行がBに対してする相殺。

 

 

1 ア・イ

2 ア・ウ

3 イ

4 イ・ウ

5 ウ

 

正解2

ア 効力が生じる。相殺が効力を生じるには、相殺適状(相殺することができる状態にあること)にあることが必要ですが、そのためには、双方の債務が弁済期にあることが必要です(505条1項)。ただし、受働債権については、債務者が期限の利益を放棄できるので(136条2項本文)、受働債権の弁済期は到来していなくても自働債権の弁済期が到来していれば相殺は効力を生じます

イ 効力が生じない。悪意による不法行為に基づく損害賠償債権を受働債権とする相殺は、禁止されています(509条1号)。被害者の救済と不法行為の誘発を防ぐ趣旨です。したがって、AがBに対してする相殺は効力は生じません。

ウ 効力が生じる。差押えを受けた債権の第三債務者は、差押え後に取得した債権による相殺をもって差押債権者に対抗することはできませんが、差押え前に取得した債権による相殺をもって対抗することができます(511条1項)。差押え後に取得した債権が差押え前の原因に基づいて生じたものであるときも、その第三債務者は、その債権による相殺をもって差押債権者に対抗することができます(511条2項本文)。したがって、令和3年8月1日にA銀行がBに対してする相殺は効力を生じます。

 以上より、相殺の効力が生じるものはア・ウとなり、2が正解となります。

 

 

 Aが「もち米」を50キロ買う契約をB米店との間で行い、Bによる引渡しの準備がまだ終わっていない場合に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

 

1 引渡し場所についてA・B間で決めていなかった場合に、BはAが取りに来るまで待っていればよい。

2 Bは、目的物が特定されるまでの間は、B米店にある「もち米」の保管について善管注意義務を負うことはない。

3 目的物が特定される前に、隣家の火災によりB米店の「もち米」がすべて焼失してしまった場合、その焼失はBの責任ではないので、Bは他から「もち米」を再調達して引き渡す義務はない。

4 A・B間で取り決めがなければ、Bは上等な「もち米」を50キロ引き渡さなければならない。

5 「もち米」50キロの所有権は、目的物が特定される前でも、特約がなければ、A・B間の売買契約をした時に移転する。

 

正解2

1 誤り。弁済をすべき場所について別段の意思表示がないときは、特定物の引渡しは債権発生の時にその物が存在した場所において、その他の弁済は債権者の現在の住所においてしなければなりません(持参債務の原則。484条1項)。もち米50キロは種類物であり、「その他の弁済」に当たるので、Bは、債権者の現在の住所に持参しなければなりません

2 正しい。米50キロの引渡請求権は種類債権であり、種類債権は、目的物が特定すると、以後、債務者は、善管注意義務を負いますが(401条2項、400条)、特定する前は、善管注意義務を負うことはありません。

3 誤り。種類債権において、債務者は目的物が特定するまでは、自己の責めに帰すべき事由によらないで滅失した場合でも、同種の物が市場に存在する限り、調達義務を負います(401条2項参照)。

4 誤り。種類債権において、法律行為の性質又は当事者の意思によって品質を定めることができないときは、債務者は、「中等の品質」を有する物を給付しなければなりません(401条1項)。

5 誤り。種類債権においては、原則として目的物が特定した時に所有権は買主に移転します(最判昭35・6・24)。

 

 

 AとBは、令和3年7月1日にAが所有する絵画をBに1000万円で売却する売買契約を締結した。同契約では、目的物は契約当日引き渡すこと、代金はその半額を目的物と引き換えに現金で、残金は後日、銀行振込の方法で支払うこと等が約定され、Bは、契約当日、約定通りに500万円をAに支払った。この契約に関する次のア~オのうち、民法の規定および判例に照らし、妥当でないものの組合せはどれか。

 

ア 残代金の支払期限が令和3年10月1日と定められていたところ、Bは正当な理由なく残代金500万円の支払いをしないまま2か月が徒過した。この場合、Aは、Bに対して、2か月分の遅延損害金について損害の証明をしなくとも請求することができる。

イ 残代金の支払期限が令和3年10月1日と定められていたところ、Bは正当な理由なく残代金500万円の支払いをしないまま2か月が徒過した場合、Aは、Bに対して、遅延損害金のほか弁護士費用その他取立てに要した費用等を債務不履行による損害の賠償として請求することができる。

ウ 残代金の支払期限が令和3年10月1日と定められていたところ、Bは残代金500万円の支払いをしないまま2か月が徒過した。Bは支払いの準備をしていたが、同年9月30日に発生した大規模災害の影響で振込システムに障害が発生して振込ができなくなった場合、Aは、Bに対して残代金500万円に加えて2か月分の遅延損害金を請求することができる。

エ Aの母の葬儀費用にあてられるため、残代金の支払期限が「母の死亡日」と定められていたところ、令和3年10月1日にAの母が死亡した。BがAの母の死亡の事実を知らないまま2か月が徒過した場合、Aは、Bに対して、残代金500万円に加えて2か月分の遅延損害金を請求することができる。

オ 残代金の支払期限について特段の定めがなかったところ、令和3年10月1日にAがBに対して残代金の支払いを請求した。Bが正当な理由なく残代金の支払いをしないまま2か月が徒過した場合、Aは、Bに対して、残代金500万円に加えて2か月分の遅延損害金を請求することができる。

 

1 ア・イ

2 ア・オ

3 イ・エ

4 ウ・エ

5 ウ・オ

 

ア 妥当である。金銭債務の不履行に基づく損害賠償については、債権者は、損害の証明をすることを要しません(419条2項)。したがって、Aは、Bに対して、2か月分の遅延損害金について損害の証明をしなくとも請求することができます。

イ 妥当でない。債権者は民法419条1項(金銭債務の特則)に規定されている以上の実損害を被ったとしても、その賠償は請求できません。例えば、弁護士費用があります(最判昭48・10・11)。したがって、Aは、Bに対して、遅延損害金のほか弁護士費用等を債務不履行による損害の賠償として請求することはできません。

ウ 妥当である。金銭債務の不履行に基づく損害賠償については、債務者は、不可抗力をもって抗弁とすることができません(419条3項)。したがって、不可抗力といえる大規模災害の影響で振込システムに障害が発生して振込ができなくなった場合、Aは、Bに対して残代金500万円に加えて2か月分の遅延損害金を請求することができます。

エ 妥当でない。本肢の「母の死亡日」とする支払期限は、不確定期限です。債務の履行について不確定期限があるときは、債務者は、その期限の到来した後に履行の請求を受けた時又はその期限の到来したことを知った時のいずれか早い時から遅滞の責任を負います(412条2項)。本肢の場合、BはAの「母の死亡日」後にAから履行の請求を受けておらず、さらに、Aの母の死亡の事実を知らないため、Bは履行遅滞の責任を負いません。

オ 妥当である。本肢は、残代金の支払期限について特段の定めがなかったため、期限の定めのない債務です。この場合、債務者は、履行の請求を受けた時から遅滞の責任を負います(412条3項)。したがって、AがBに対して残代金の支払いを請求したにもかかわらず、Bが正当な理由なく残代金の支払いをしないまま2か月が徒過していることから、Aは、Bに対して、残代金500万円に加えて2か月分の遅延損害金を請求することができます。

 以上により、妥当でないものはイ・エとなり、3が正解となります。

 

 詐害行為取消権に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当なものはどれか。

 

1 遺産分割協議は、共同相続人の間で相続財産の帰属を確定させる行為であるが、相続人の意思を尊重すべき身分行為であり、詐害行為取消権の対象となる財産権を目的とする行為にはあたらない。

2 相続放棄は、責任財産を積極的に減少させる行為ではなく、消極的にその増加を妨げる行為にすぎず、また、相続放棄は、身分行為であるから、他人の意思によって強制されるべきではないので、詐害行為取消権行使の対象とならない。

3 離婚における財産分与は、身分行為にともなうものではあるが、財産権を目的とする行為であるから、財産分与が配偶者の生活維持のためやむをえないと認められるなど特段の事情がない限り、詐害行為取消権の対象となる。

4 詐害行為取消権は、総ての債権者の利益のために債務者の責任財産を保全する目的において行使されるべき権利であるから、債権者が複数存在するときは、取消債権者は、総債権者の総債権額のうち自己が配当により弁済を受けるべき割合額でのみ取り消すことができる。

5 詐害行為取消権は、総ての債権者の利益のために債務者の責任財産を保全する目的において行使されるべき権利であるから、取消しに基づいて返還すべき財産が金銭である場合に、取消債権者は受益者に対して直接自己への引渡しを求めることはできない。

 

正解2

1 妥当でない。共同相続人間の遺産分割協議は、相続財産の帰属を確定させるものであり、その性質上、財産権を目的とする法律行為であるので、詐害行為取消権の対象となります(最判平11・6・11)。

2 妥当である。相続放棄のような身分行為については他人の意思による強制を許すべきでないため、相続放棄は、詐害行為取消権の対象となりません(最判昭49・9・20)。

3 妥当でない。離婚における財産分与は、特段の事情がない限り、詐害行為取消権の対象となりません(最判平12・3・9)。

4 妥当でない。債権者は、詐害行為取消請求をする場合において、債務者がした行為の目的が可分であるときは、自己の債権の額の限度においてのみ、その行為の取消しを請求することができます(424条の8第1項)。また、建物のように不可分の場合には、たとえその価額が債権額を超えるような場合でも、その全部を取り消すことができます(最判昭30・10・11)。したがって、「自己が配当により弁済を受けるべき割合額でのみ取り消すことができる」わけではありません。

5 妥当でない。債権者は、詐害行為の返還の請求が金銭の支払又は動産の引渡しを求めるものであるときは、受益者に対してその支払又は引渡しを、転得者に対してその引渡しを、自己に対してすることを求めることができます(424条の9第1項)。

 

 

 A、B、C三人がDから自動車1台を購入する契約をし、その売買代金として300万円の債務を負っている場合に関する次のア~オの記述のうち、正しいものの組合せはどれか。

 

ア この場合の売買代金債務は金銭債務であり、原則として不可分債務とはならないとするのが判例である。

イ Aは、Dに対して、A、B、C三人のために自動車の引渡しを請求することができるが、Dは、A、B、C三人のためであるとしても、Aに対してだけ自動車の引渡しをすることはできない。

ウ 購入した自動車がA、B、C三人の共有となった場合には、Aは、自動車の全部について、その持分に応じた使用をすることができる。

エ 自動車の売買代金300万円について、A、B、Cの三人が連帯債務を負担する場合において、Aの債務についてだけ消滅時効が完成したときは、Aの負担部分については、BおよびCも、その債務を免れる。

オ 自動車の売買代金300万円について、A、B、Cの三人が連帯債務を負担する場合において、Aについては制限行為能力を理由に契約の取消しが認められるときには、Aの負担部分については、BおよびCも、その債務を免れる。

1 ア・イ

2 ア・ウ

3 イ・エ

4 ウ・エ

5 エ・オ

 

正解2

ア 正しい。判例は、複数の買主の代金債務については、性質上または特約による不可分性は認められないとし(不可分債務とはならない)、原則として分割債務であると判示しています(最判昭45・10・13)。

 

イ 誤り。A、B、Cの債権は、1台の自動車の引渡しを目的とするため性質上不可分債権です。不可分債権においては、各債権者はすべての債権者のために履行を請求し、債務者はすべての債権者のために各債権者に対して履行をすることができます(428条)。したがって、「Dは、A、B、C三人のためであるとしても、Aに対してだけ自動車の引渡しをすることはできない。」とする本肢は誤りです。

ウ 正しい。各共有者は、共有物の全部について、その持分に応じた使用をすることができます(249条1項)。したがって、「Aは、自動車の全部について、その持分に応じた使用をすることができる。」とする本肢は正しいことになります。

エ 誤り。連帯債務者の1人のために時効が完成しても、他の連帯債務者には影響を及ぼしません(相対的効力)(441条)。

オ 誤り。連帯債務者の1人について法律行為の無効又は取消しの原因があっても、他の連帯債務者の債務は、その効力を妨げられません(437条)。したがって、「Aの負担部分については、BおよびCも、その債務を免れる」とする本肢は誤りです。

 以上より、正しいものの組合せはア・ウとなり、2が正解となります。

 

 

 共同事業を営むAとBは、Cから事業資金の融資を受けるに際して、共に弁済期を1年後としてCに対し連帯して1,000万円の貸金債務(以下「本件貸金債務」という。)を負担した(負担部分は2分の1ずつとする。)。この事実を前提とする次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当でないものはどれか。

 

1 本件貸金債務につき、融資を受けるに際してAが錯誤に陥っており、錯誤に基づく取消しを主張してこれが認められた場合であっても、これによってBが債務を免れることはない。

2 本件貸金債務につき、A・C間の更改により、AがCに対して甲建物を給付する債務に変更した場合、Bは本件貸金債務を免れる。

3 本件貸金債務につき、弁済期到来後にAがCに対して弁済の猶予を求め、その後更に期間が経過して、弁済期の到来から起算して時効期間が満了した場合に、Bは、Cに対して消滅時効を援用することはできない。

4 本件貸金債務につき、Cから履行を求められたAはBが連帯債務者であることを知りながら、あらかじめその旨をBに通知することなくCに弁済した。その当時、BはCに対して500万円の金銭債権を有しており、既にその弁済期が到来していた場合、BはAから500万円を求償されたとしても相殺をもって対抗することができる。

5 本件貸金債務につき、AはBが連帯債務者であることを知りながら、Cに弁済した後にBに対してその旨を通知しなかったため、Bは、これを知らずに、Aに対して事前に弁済する旨の通知をして、Cに弁済した。この場合に、Bは、Aの求償を拒み、自己がAに対して500万円を求償することができる。

 

正解3

1 妥当である。連帯債務者の一人について法律行為の無効又は取消しの原因があっても、他の連帯債務者の債務は、その効力を妨げられません(437条)。したがって、Aに取消しの原因があっても、Bが債務を免れることはできません。

2 妥当である。連帯債務者の一人と債権者との間に更改があったときは、債権は、すべての連帯債務者の利益のために消滅します(438条)。

3 妥当でない。本肢の弁済の猶予は、時効の更新事由の1つである承認に該当します(152条1項)。承認は、相対的な効力しかありません(441条本文)。したがって、Bの債務については時効が更新されないため、弁済期の到来から起算して時効期間が満了した場合に、Bは、Cに対して消滅時効を援用することができます。

4 妥当である。他の連帯債務者があることを知りながら、連帯債務者の1人が共同の免責を得ることを他の連帯債務者に通知しないで弁済をし、その他自己の財産をもって共同の免責を得た場合において、他の連帯債務者は、債権者に対抗することができる事由を有していたときは、その負担部分について、その事由をもってその免責を得た連帯債務者に対抗することができます(443条1項前段)。

5 妥当である。弁済をし、その他自己の財産をもって共同の免責を得た連帯債務者が、他の連帯債務者があることを知りながらその免責を得たことを他の連帯債務者に通知することを怠ったため、他の連帯債務者が善意で弁済その他自己の財産をもって免責を得るための行為をしたときは、当該他の連帯債務者は、その免責を得るための行為を有効であったものとみなすことができます(443条2項)。したがって、Bは、Aの求償を拒み、自己がAに対して500万円を求償することができます。

 

 

 保証に関する1~5の「相談」のうち、民法の規定および判例に照らし、「可能です」と回答しうるものはどれか。

 

1 私は、AがBとの間に締結した土地の売買契約につき、売主であるAの土地引渡等の債務につき保証人となりましたが、このたびBがAの債務不履行を理由として売買契約を解除しました。Bは、私に対して、Aが受領した代金の返還について保証債務を履行せよと主張しています。私が保証債務の履行を拒むことは可能でしょうか。

2 私は、AがBから金銭の貸付を受けるにあたり、Aに頼まれて物上保証人となることにし、Bのために私の所有する不動産に抵当権を設定しました。このたびAの債務の期限が到来しましたが、最近資金繰りに窮しているAには債務を履行する様子がみられず、抵当権が実行されるのはほぼ確実です。私はAに資力があるうちにあらかじめ求償権を行使しておきたいのですが、これは可能でしょうか。

3 私の経営する会社甲は、AがBと新たに取引関係を結ぶにあたり、取引開始時から3カ月間の取引に関してAがBに対して負う一切の債務を保証することとし、契約書を作成しましたが、特に極度額を定めていませんでした。このたび、この期間内のA・B間の取引によって、私が想定していた以上の債務をAが負うことになり、Bが甲に対して保証債務の履行を求めてきました。甲が保証債務の履行を拒むことは可能でしょうか。

4 私は、AがB所有のアパートを賃借するにあたりAの保証人となりました。このたびA・B間の契約がAの賃料不払いを理由として解除されたところ、Bは、Aの滞納した賃料だけでなく、Aが立ち退くまでの間に生じた損害の賠償についても保証債務の履行をせよと主張しています。私は保証債務の履行を拒むことは可能でしょうか。

5 私は、AがBから400万円の貸付を受けるにあたり、Aから依頼されてCと共に保証人となりましたが、その際、私およびCは、Aの債務の全額について責任を負うものとする特約を結びました。このたび、私はBから保証債務の履行を求められて400万円全額を弁済しましたが、私は、Cに対して200万円の求償を請求することが可能でしょうか。

 

正解5

1 回答しえない。特定物の売買契約における売主のための保証人は、特に反対の意思表示のないかぎり、売主の債務不履行により契約が解除された場合における原状回復義務についても、保証責任を負います(最大判昭40・6・30)。

2 回答しえない。物上保証人は、被担保債権の弁済期が到来しても、委託を受けた保証人のようにあらかじめ求償権を行使することはできません(460条、最判平2・12・18)。

3 回答しえない。一定の範囲に属する不特定の債務を主たる債務とする保証契約(根保証契約)であって保証人が法人でないもの個人根保証契約)の保証人は、主たる債務の元本、主たる債務に関する利息、違約金、損害賠償その他その債務に従たる全てのもの及びその保証債務について約定された違約金又は損害賠償の額について、その全部に係る極度額を限度として、その履行をする責任を負います(465条の2第1項)。この個人根保証契約は、極度額を定めなければ、その効力を生じません(465条の2第2項)が、保証人が法人の場合には上記の規定は適用されません。

4 回答しえない。賃借人の保証人は、賃料不払によって賃貸借契約が解除された場合、賃借人が目的物の返還債務を履行しないことにより賃貸人に与えた損害の賠償債務についても保証責任を負います(大判昭13・1・31)。

5 回答しうる。共同保証人相互間で債務の全額について責任を負う旨の特約を結ぶ場合を「保証連帯」といい、「保証連帯」における保証人は分別の利益を有しません。しかし、共同保証人の1人が自己の負担部分を超える弁済をした場合には、超える部分について他の共同保証人に求償することができます(465条1項)。

 

 

 AがBから金1000万円を借り受けるにあたって、CおよびDがそれぞれAから委託を受けて保証人(連帯保証人ではない通常の保証人で、かつお互いに連帯しない保証人)となり、その後CがBに対して、主たる債務1000万円の全額を、同債務の弁済期日に弁済した。この場合に関する以下の記述のうち、民法の規定に照らし、正しいものはどれか。なお、CD間には負担部分に関する特段の合意がないものとする。

 

1 CはAおよびDに対して求償することができ、求償権の範囲は、Aに対しては、1000万円および求償権行使までに生じた利息、遅延損害金に及び、Dに対しては、500万円および求償権行使までに生じた利息、遅延損害金に及ぶ。

2 CはAおよびDに対して求償することができ、求償権の範囲は、Aに対しては、1000万円および求償権行使までに生じた利息、遅延損害金等に及び、Dに対しては、500万円である。

3 CはAに対してのみ求償することができ、求償権の範囲は、1000万円および求償権行使までに生じた利息、遅延損害金等に及ぶ。

4 CはAに対してのみ求償することができ、求償権の範囲は、500万円および求償権行使までに生じた利息、遅延損害金等に及ぶ。

5 CはDに対してのみ求償することができ、求償権の範囲は、500万円および求償権行使までに生じた利息、遅延損害金に及ぶ。

 

正解2

1 誤り。Cは主たる債務者であるAに対しては、1000万円及び求償権行使までに生じた利息、遅延損害金まで求償することができます。一方、共同保証人Dに対しては、利益を受けた限度とされる500万円の求償ができるにすぎません。したがって、「Dに対しては、500万円および求償権行使までに生じた利息、遅延損害金に及ぶ。」とする本肢は誤りです。

2 正しい。肢1の解説により、「CはAおよびDに対して求償することができ、求償権の範囲は、Aに対しては、1000万円および求償権行使までに生じた利息、遅延損害金等に及び、Dに対しては、500万円である。」とする本肢は正しい記述です。

3 誤り。肢1の解説により、Cは、Dに対しても500万円の求償ができます。

4 誤り。肢1の解説により、Cは、Aに対しては、「1000万円」及び求償権行使までに生じた利息、遅延損害金まで求償することができます。また、Dに対しても500万円の求償ができます。

5 誤り。肢1の解説により、Cは、Dに対して500万円の求償ができるにすぎず、求償権行使までに生じた利息、遅延損害金を求償することができません。また、Aに対しても1000万円および求償権行使までに生じた利息、遅延損害金を求償することができます

 

 

 Aは、Bに対して金銭債務(以下、「甲債務」という。)を負っていたが、甲債務をCが引き受ける場合(以下、「本件債務引受」という。)に関する次の記述のうち、民法の規定に照らし、誤っているものはどれか。

1 本件債務引受について、BとCとの契約によって併存的債務引受とすることができる。

2 本件債務引受について、AとCとの契約によって併存的債務引受とすることができ、この場合においては、BがCに対して承諾をした時に、その効力が生ずる。

3 本件債務引受について、BとCとの契約によって免責的債務引受とすることができ、この場合においては、BがAに対してその契約をした旨を通知した時に、その効力が生ずる。

4 本件債務引受について、AとCが契約をし、BがCに対して承諾することによって、免責的債務引受とすることができる。

5 本件債務引受については、それが免責的債務引受である場合には、Cは、Aに対して当然に求償権を取得する。

 

正解5

1 正しい。併存的債務引受は、債権者と引受人となる者との契約によってすることができます(470条2項)。したがって、BとCとの契約によって併存的債務引受とすることができます。

2 正しい。併存的債務引受は、債務者と引受人となる者との契約によってもすることができます。この場合において、併存的債務引受は、債権者が引受人となる者に対して承諾をした時に、その効力を生じます(470条3項)。したがって、AとCとの契約によって併存的債務引受とすることができ、この場合においては、BがCに対して承諾をした時に、その効力が生じます。

3 正しい。免責的債務引受は、債権者と引受人となる者との契約によってすることができます。この場合において、免責的債務引受は、債権者が債務者に対してその契約をした旨を通知した時に、その効力を生じます(472条2項)。したがって、BとCとの契約によって免責的債務引受とすることができ、この場合においては、BがAに対してその契約をした旨を通知した時に、その効力が生じます。

4 正しい。免責的債務引受は、債務者と引受人となる者が契約をし、債権者が引受人となる者に対して承諾をすることによってもすることができます(472条3項)。したがって、AとCが契約をし、BがCに対して承諾することによって、免責的債務引受とすることができます。

5 誤り。免責的債務引受の引受人は、債務者に対して求償権を取得しません(472条の3)。したがって、「Cは、Aに対して当然に求償権を取得する」とする本肢は誤りです。

 

 

 弁済に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当でないものはどれか。

 

1 債務者が元本のほか利息および費用を支払うべき場合において、弁済として給付した金銭の額がその債務の全部を消滅させるのに足りないときは、債務者による充当の指定がない限り、これを順次に費用、利息および元本に充当しなければならない。

2 同一の債権者に対して数個の金銭債務を負担する債務者が、弁済として給付した金銭の額が全ての債務を消滅させるのに足りない場合であって、債務者が充当の指定をしないときは、債権者が弁済を受領する時に充当の指定をすることができるが、債務者がその充当に対して直ちに異議を述べたときは、この限りでない。

3 金銭債務を負担した債務者が、債権者の承諾を得て金銭の支払に代えて不動産を給付する場合において、代物弁済により債務を消滅させるためには、債権者に所有権を移転させる旨の意思表示をするだけでは足りず、所有権移転登記がされなければならない。

4 債権者があらかじめ弁済の受領を拒んでいる場合、債務者は、口頭の提供をすれば債務不履行責任を免れるが、債権者において契約そのものの存在を否定する等弁済を受領しない意思が明確と認められるときは、口頭の提供をしなくても同責任を免れる。

5 債権者があらかじめ金銭債務の弁済の受領を拒んでいる場合、債務者は、口頭の提供をした上で弁済の目的物を供託することにより、債務を消滅させることができる。

 

正解1

1 妥当でない。債務者が一個又は数個の債務について元本のほか利息及び費用を支払うべき場合(債務者が数個の債務を負担する場合にあっては、同一の債権者に対して同種の給付を目的とする数個の債務を負担するときに限ります。)において、弁済をする者がその債務の全部を消滅させるのに足りない給付をしたときは、これを順次に費用、利息及び元本に充当しなければなりません(489条1項)。そして、この規定は、当事者の合理的な意思に適し、公平にも適うものであるとされ、当事者が合意する場合は別として一方当事者の指定によりこの順序を変更することはできません。したがって、「債務者による充当の指定がない限り」とする本肢は妥当ではありません。

2 妥当である。債務者が同一の債権者に対して同種の給付を目的とする数個の債務を負担する場合において、弁済として提供した給付が全ての債務を消滅させるのに足りないときは、弁済をする者は、給付の時に、その弁済を充当すべき債務を指定することができます(488条1項)。そして、弁済をする者が上記の指定をしないときは、弁済を受領する者は、その受領の時に、その弁済を充当すべき債務を指定することができます。ただし、弁済をする者がその充当に対して直ちに異議を述べたときは、この限りではありませ(488条2項)。

3 妥当である。代物弁済は諾成契約ですが、代物弁済による債務消滅の効果が生じるためには、債権者と債務者の契約の他に、目的物が現実に引き渡される不動産の場合は登記の移転も必要(最判昭40・4・30))必要があります。

4 妥当である。弁済の提供は、原則として、債務の本旨に従って現実にしなければなりません(現実の提供)(493条本文)。ただし、債権者があらかじめ受領を拒み、又は債務の履行について債権者の行為を要するときは、弁済の準備をしたことを通知して受領を催告すれば足ります(口頭の提供)(493条ただし書)。なお、債権者が契約そのものの存在を否定するなど弁済を受領しない意思が明確と認められる場合には、債務者は口頭の提供をしなくても債務不履行責任を免れます(最大判昭32・6・5)。

5 妥当である。弁済者は、①弁済の提供をした場合において、債権者がその受領を拒んだとき、②債権者が弁済を受領することができないときは、債権者のために弁済の目的物を供託することができます。この場合においては、弁済者が供託をした時に、その債権は、消滅します(494条1項)。

 

 

4月17日現在

終了レッスン数:510

総学習時間:110時間4200