こんにちは、おっさんです。

4月なのに夏みたいな気温です。

1日の中での気温差があり

体調管理が難しいですが

勉強頑張ります。

 

セレクト過去問集-民法3

の結果は、9問中、5問正解でした。

 

 AはBに金銭を貸し付け、この貸金債権を担保するためにB所有の土地の上に建っているB所有の建物に抵当権の設定を受けて、その登記を備えた。この場合に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、誤っているものはどれか。

 

1 Aの抵当権が実行された場合、抵当権設定時に建物内に置いていたB所有の家電製品のテレビには抵当権の効力は及ばない。

2 抵当権設定時にB所有の土地の登記名義はCであった場合でも、抵当権実行により買受人Dのために法定地上権が成立する。

3 抵当権設定登記後にBが同抵当建物をEに賃貸した場合、BのAに対する債務不履行後に生じた賃料について抵当権の効力が及ぶので、抵当権の実行としてAはこの賃料から優先的に弁済を受けることができる。

4 抵当権設定登記後にBが同抵当建物をFに賃貸した場合、対抗要件を備えた短期の賃貸借であっても、賃借人Fは抵当権実行による買受人Gに対抗できない。

5 抵当権設定登記後にBが同抵当建物をHに賃貸してHがその旨の登記を備えた場合、抵当権実行による買受人Iからの明渡請求に対して、賃借人Hは、明渡しまでの使用の対価を支払うことなく、6ヶ月の明渡猶予期間を与えられる。

 

正解5

1 正しい。抵当権の効力は抵当権設定当時の抵当不動産の従物に及びますが(大連判大8・3・15)、建物内のテレビは建物の従物でもなく、加一体物(370条本文)でもないので、抵当権の効力は、テレビには及びません。

2 正しい。判例は、建物に抵当権を設定した当時、土地と建物が同一人の所有に属し、土地が前主の登記名義であった場合にも、抵当権の実行により建物を買い受けた者のために法定地上権が成立するとしています(最判昭48・9・18)。

3 正しい。抵当権は、被担保債権について不履行があったときは、その後に生じた抵当不動産の果実に及びます(371条)。したがって、Aはこの賃料から優先的に弁済を受けることができます。

4 正しい。抵当権設定登記の賃貸借は、短期の賃貸借(建物は3年以内)であっても、原則として抵当権者及び買受人に対抗できません(387条参照)。

5 誤り。抵当権設定登記後の賃貸借は、その期間の長短にかかわらず、原則として抵当権者及び買受人に対抗できません。しかし、抵当権者に対抗できない賃貸借により抵当建物を使用する者を保護するために、買受人の買受けの時から6ヶ月間、建物引渡しの猶予を認めています(395条1項)。ただし、賃借人は、引渡しまでの使用の対価を支払わなければなりません(395条2項)。

 

 

 抵当権の効力に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当なものはどれか。

 

1 抵当権の効力は抵当不動産の従物にも及ぶが、抵当不動産とは別個に従物について対抗要件を具備しなければ、その旨を第三者に対して対抗することができない。

2 借地上の建物に抵当権が設定された場合において、その建物の抵当権の効力は、特段の合意がない限り借地権には及ばない。

3 買戻特約付売買の買主が目的不動産について買主の債権者のために抵当権を設定し、その旨の登記がなされたところ、その後、売主が買戻権を行使した場合、買主が売主に対して有する買戻代金債権につき、上記抵当権者は物上代位権を行使することができる。

4 抵当不動産が転貸された場合、抵当権者は、原則として、転貸料債権(転貸賃料請求権)に対しても物上代位権を行使することができる。

5 抵当権者が、被担保債権について利息および遅延損害金を請求する権利を有するときは、抵当権者は、原則として、それらの全額について優先弁済権を行使することができる。

 

正解3

1 妥当でない。抵当権の効力は抵当不動産の従物にも及びます(大連判大8・3・15)。この場合、抵当不動産とは別個に従物について対抗要件を具備していなくても、その旨を第三者に対して対抗することができます(最判昭44・3・28)。

2 妥当でない。借地上の建物に抵当権が設定された場合、その建物の抵当権の効力は、従たる権利である敷地の賃借権にも及びます(最判昭40・5・4)。

3 妥当である。判例は、買戻特約付売買の買主から目的不動産について抵当権の設定を受けた者は、抵当権に基づく物上代位権の行使として、買戻権の行使により買主が取得した買戻代金債権を差し押さえることができると判示しています(最判平11・11・30)。

4 妥当でない。判例は、抵当権者は、抵当不動産の賃借人を所有者と同視することを相当とする場合を除き、右賃借人が取得すべき転貸料債権について物上代位権を行使できないと解すべきであると判示しています(最決平12・4・14)。

5 妥当でない。抵当権者が、利息を請求する権利を有するときは、そのうち満期となった最後の2年分についてのみ、競売代金から優先弁済を受けることができるのが原則です(375条1項本文)。したがって、「原則として、それらの全額について優先弁済権を行使することができる。」とする本肢は妥当ではありません。

 

 

 Aに対して債務を負うBは、Aのために、自己が所有する土地に抵当権を設定した(他に抵当権者は存在しない)。この場合における抵当権の消滅に関する次のア~オの記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当なものの組合せはどれか。

 

ア Aの抵当権が根抵当権である場合において、Bが破産手続開始の決定を受けたときは、被担保債権は確定して満足し、根抵当権は確定的に消滅する。

イ Aの抵当権が根抵当権である場合において、元本が確定した後に、Bから土地の所有権を取得したCが、極度額に相当する金額をAに支払い、根抵当権の消滅請求をしたときは、確定した被担保債権の額が極度額を超えていたとしても、Aの根抵当権は、確定的に消滅する。

ウ BがAに対し、残存元本に加えて、最後の2年分の利息および遅延損害金を支払った場合には、Aの抵当権は、確定的に消滅する。

エ 第三者Cが、土地の所有権を時効によって取得した場合には、Aの抵当権は、確定的に消滅する。

オ 第三者Cが、BのAに対する債務の全額を弁済した場合には、CはAに代位することができるが、抵当権は、確定的に消滅する。

 

1 ア・ウ

2 ア・エ

3 イ・エ

4 イ・オ

5 ウ・オ

 

正解3

ア 妥当でない。根抵当権の債務者が破産手続開始の決定を受けたときは、当該根抵当権の元本は確定します(398条の20第1項4号)。元本の確定は、被担保債権が特定することであり、根抵当権は消滅せず、普通抵当権と同様の扱いとなります。

イ 妥当である。根抵当権の元本確定後に現存する債務の額が、当該根抵当権の極度額を超えている場合には、物上保証人や第三取得者等は、極度額に相当する金額を根抵当権者に支払うことにより、当該根抵当権の消滅請求をすることができます(398条の22第1項)。

ウ 妥当でない。民法375条は、一般債権者や後順位抵当権者との関係で抵当権者の優先弁済権の範囲を制限したものであり、債務者又は設定者は元本債権のほか利息・損害金の全額を弁済しなければ抵当権を消滅させることはできません(375条、大判大4・9・15)。

エ 妥当である。第三者が抵当不動産を時効取得したときは、当該不動産上の抵当権は消滅します(397条)

オ 妥当でない。債務者のために弁済をした者は、債権者に代位します(499条)。債権者に代位した者は、債権の効力及び担保としてその債権者が有していた一切の権利を行使することができます(501条1項)。したがって、抵当権は消滅しません。

 

 

 根抵当権に関する次の記述のうち、民法の規定に照らし、正しいものはどれか。

 

1 被担保債権の範囲は、確定した元本および元本確定後の利息その他の定期金の2年分である。

2 元本確定前においては、被担保債権の範囲を変更することができるが、後順位抵当権者その他の第三者の承諾を得た上で、その旨の登記をしなければ、変更がなかったものとみなされる。

3 元本確定期日は、当事者の合意のみで変更後の期日を5年以内の期日とする限りで変更することができるが、変更前の期日より前に変更の登記をしなければ、変更前の期日に元本が確定する。

4 元本確定前に根抵当権者から被担保債権を譲り受けた者は、その債権について根抵当権を行使することができないが、元本確定前に被担保債務の免責的債務引受があった場合には、根抵当権者は、引受人の債務について、その根抵当権を行使することができる。

5 根抵当権設定者は、元本確定後においては、根抵当権の極度額の一切の減額を請求することはできない。

 

正解3

1 誤り。根抵当権者は、確定した元本並びに利息その他の定期金及び債務の不履行によって生じた損害の賠償の全部について、極度額を限度として、その根抵当権を行使することができます(398条の3第1項)。したがって、被担保債権の範囲を元本確定後の利息その他の定期金の2年分とする本肢は誤りとなります。

2 誤り。元本の確定においては、根抵当権の担保すべき債権の範囲の変更をすることができます(398条の4第1項前段)。この変更をするには、後順位の抵当権者その他の第三者の承諾を得ることを要しません(398条の4第2項)。なお、変更について元本の確定前に登記をしなかったときは、その変更をしなかったものとみなされます(398条の4第3項)。したがって、「後順位抵当権者その他の第三者の承諾を得た上で」とする本肢は誤りとなります。

3 正しい。根抵当権の担保すべき元本については、その確定すべき期日を定め又は変更することができますが、この期日は、これを定め又は変更した日から5年以内でなければなりません(398条の6第1項・3項)。そして、この期日の変更についてその変更前の期日より前に登記をしなかったときは、担保すべき元本は、その変更前の期日に確定します(398条の6第4項)。

4 誤り。元本の確定に根抵当権者から債権を取得した者は、その債権について根抵当権を行使することができません(398条の7第1項前段)。元本の確定に債務の引受けがあったときも、根抵当権者は、引受人の債務について、その根抵当権を行使することができません(398条の7第2項)。したがって、「被担保債務の免責的債務引受があった場合には、根抵当権者は、引受人の債務について、その根抵当権を行使することができる」とする本肢は誤りとなります。

5 誤り。元本の確定においては、根抵当権設定者は、その根抵当権の極度額を、現に存する債務の額と以後2年間に生ずべき利息その他の定期金及び債務の不履行による損害賠償の額とを加えた額に減額することを請求することができます(398条の21第1項)。

 

 

 機械部品の製造販売を行うAは、材料供給者Bと継続的取引関係を結ぶにあたり、A所有の甲土地に、極度額5,000万円、被担保債権の範囲を「BのAに対する材料供給にかかる継続的取引関係から生じる債権」とする第1順位の根抵当権(以下「本件根抵当権」という。)をBのために設定してその旨の登記をした。その後、AはCから事業資金の融資を受け、その債務の担保として甲土地に第2順位の普通抵当権をCのために設定した。この場合に関する次の記述のうち、民法の規定に照らし、明らかに誤っているものはどれか。

 

1 本件根抵当権について元本確定期日が定められていない場合、Aは、根抵当権の設定から3年が経過したときに元本確定を請求することができ、Bは、いつでも元本確定を請求することができる。

2 本件根抵当権について元本確定前に被担保債権の範囲を変更する場合、Cの承諾は不要であるが、その変更について元本確定前に登記をしなかったときは、その変更をしなかったものとみなす。

3 本件根抵当権について元本が確定した後、当該確定した元本の額が極度額に満たない場合には、Aは、Bに対して、極度額を法の定める額に減額することを請求することができる。

4 本件根抵当権について元本が確定した後、当該確定した元本の額が極度額に満たない場合には、Bは、当該確定した元本に係る最後の2年分の利息、損害金については、極度額を超えても、本件根抵当権を行使して優先弁済を受けることができる。

5 本件根抵当権について元本が確定する前に、BがAに対して有する材料供給にかかる債権の一部をDに譲渡した場合、当該債権譲渡の対抗要件を具備していても、Dは、当該譲渡された債権について根抵当権を行使することはできない。

 

1 正しい。担保すべき元本の確定すべき期日の定めがない場合、根抵当権設定者は、根抵当権の設定の時から3年を経過したときは、担保すべき元本の確定を請求することができます(398条の19第1項前段・3項)。一方、担保すべき元本の確定すべき期日の定めがない場合、根抵当権者は、いつでも、担保すべき元本の確定を請求することができます(398条の19第2項前段・3項)。

2 正しい。元本の確定前においては、根抵当権の担保すべき債権の範囲の変更をすることができます(398条の4第1項前段)。この変更をするには、後順位の抵当権者その他の第三者の承諾を得ることを要しません(398条の4第2項)。そして、この変更について元本の確定前に登記をしなかったときは、その変更をしなかったものとみなされます(398条の4第3項)。

3 正しい。元本の確定においては、根抵当権設定者は、その根抵当権の極度額を、現に存する債務の額と以後2年間に生ずべき利息その他の定期金及び債務の不履行による損害賠償の額とを加えた額に減額することを請求することができます(398条の21第1項)。極度額に満たない場合には、Aは、Bに対して、極度額を法の定める額に減額することを請求することができます。

4 明らかに誤り。根抵当権者は、確定した元本並びに利息その他の定期金及び債務の不履行によって生じた損害の賠償の全部について、極度額を限度として、その根抵当権を行使することができます(398条の3第1項)。したがって、Bは、「極度額を超えても、本件根抵当権を行使して優先弁済を受けることができる」とする本肢は明らかに誤りです。

5 正しい。根抵当権は、元本が確定するまでは随伴性がないため、元本の確定前に根抵当権者から債権を取得した者は、その債権について根抵当権を行使することができません(398条の7第1項前段)。

 

 

Aは、Bから建物(以下、本件建物という)を賃借し、Aは、その建物内に電気製品(以下、本件動産という)等を備え付けている。Bの先取特権に関する次の記述のうち、誤っているものはいくつあるか。

 

ア 本件動産がCの所有物である場合に、本件動産について、Bは、先取特権を即時取得することはできない。

イ Aが本件動産をCから買ったが、まだCに対して代金の支払いがない場合において、本件動産についてCの先取特権がBの先取特権よりも優先する。

ウ Aがその所有物である本件動産をDに売って引き渡した場合に、本件動産について、Bは、先取特権を行使することはできない。

エ Aがその所有物である本件動産をDに売った場合に、Aの取得する売買代金について、Bは、Dの支払い前に差押えをすれば、先取特権を行使することができる。

オ Aが、Bの承諾を得て、本件建物をEに転貸した場合に、Bの先取特権は、Eの備え付けた動産には及ばない。

 

1 一つ

2 二つ

3 三つ

4 四つ

5 五つ

 

正解3

ア 誤り。先取特権は、本来、債務者の所有物の上に成立するものですが、善意の債権者を保護するため、先取特権について、即時取得が認められています(319条、192条)。

イ 誤り。同一の動産について、Bの不動産賃貸の先取特権とCの動産売買の先取特権が競合しますが、この場合、Bの不動産賃貸の先取特権が優先します(330条1項1号・3号)。

ウ 正しい。先取特権は、債務者がその目的である動産をその第三取得者に引き渡した後は、その動産について行使することができません(333条)。

エ 正しい。先取特権は、その目的物が売却されたときは、その売買代金に対して、それが支払われる前に差し押えることにより先取特権を行使することができます(物上代位。304条1項)。

オ 誤り。賃借権の譲渡又は転貸の場合には、賃貸人の先取特権は、譲受人又は転借人の動産にも及びます(314条前段)。通常、賃借権の譲渡又は転貸の場合には、動産が備え付けられたままなされることが多く、目的物である動産が引き渡された場合に先取特権の効力が及ばなくなることを防ぐ趣旨です。

 以上より、誤っているものはア・イ・オの三つとなり、3が正解となります。

 

 

 質権に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当でないものはどれか。

 

1 動産質権者は、継続して質物を占有しなければ、その質権をもって第三者に対抗することができず、また、質物の占有を第三者によって奪われたときは、占有回収の訴えによってのみ、その質物を回復することができる。

2 不動産質権は、目的不動産を債権者に引き渡すことによってその効力を生ずるが、不動産質権者は、質権設定登記をしなければ、その質権をもって第三者に対抗することができない。

3 債務者が他人の所有に属する動産につき質権を設定した場合であっても、債権者は、その動産が債務者の所有物であることについて過失なく信じたときは、質権を即時取得することができる。

4 不動産質権者は、設定者の承諾を得ることを要件として、目的不動産の用法に従ってその使用収益をすることができる。

5 質権は、債権などの財産権の上にこれを設定することができる。

 

 

1 妥当である。動産質権者は、継続して質物を占有しなければ、その質権をもって第三者に対抗することができず(352条)、動産質権者は、質物の占有を奪われたときは、占有回収の訴えによってのみ、その質物を回復することができます(353条)。

2 妥当である。質権の設定は、債権者にその目的物を引き渡すことによって、その効力を生じます(344条)。ただし、不動産質権は、登記をしなければ、第三者に対抗できません(177条)。

3 妥当である。即時取得が成立するための、要件の1つである「取引行為」には、質権設定契約も含まれます。

4 妥当でない。不動産質権者は、質権の目的である不動産の用法に従い、その使用及び収益をすることができます(356条)。この場合において、設定者の承諾を得ることは要件とされていません。

5 妥当である。質権は、財産権をその目的とすることができます(362条1項)。

 
 

 留置権に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当なものはどれか。

 

1 留置権者は、善良な管理者の注意をもって留置物を占有すべきであるが、善良な管理者の注意とは、自己の財産に対するのと同一の注意より軽減されたものである。

2 留置権者は、債務者の承諾を得なければ、留置物について使用・賃貸・担保供与をなすことができず、留置権者が債務者の承諾を得ずに留置物を使用した場合、留置権は直ちに消滅する。

3 建物賃借人が賃料不払いにより賃貸借契約を解除された後に当該建物につき有益費を支出した場合、賃貸人による建物明渡請求に対して、賃借人は、有益費償還請求権を被担保債権として当該建物を留置することはできない。

4 Aが自己所有建物をBに売却し登記をB名義にしたものの代金未払のためAが占有を継続していたところ、Bは、同建物をCに転売し、登記は、C名義となった。Cが所有権に基づき同建物の明渡しを求めた場合、Aは、Bに対する売買代金債権を被担保債権として当該建物を留置することはできない。

5 Dが自己所有建物をEに売却し引渡した後、Fにも同建物を売却しFが所有権移転登記を得た。FがEに対して当該建物の明渡しを求めた場合、Eは、Dに対する履行不能を理由とする損害賠償請求権を被担保債権として当該建物を留置することができる。

 

正解3

1 妥当でない。留置権者は、善良な管理者の注意をもって、留置物を占有しなければなりません(298条1項)。この善良な管理者の注意とは、一般人に要求される程度の注意のことであり、「自己の財産に対するのと同一の注意より軽減されたものであるいう意味」ではありません。

2 妥当でない。留置権者は、債務者の承諾を得なければ、留置物を使用し、賃貸し、又は担保に供することができません(298条2項本文)。留置権者が当該規定に違反したときは、債務者は、留置権の消滅を請求することができます(298条3項)。本肢のように「留置権は直ちに消滅する」わけではありません。

3 妥当である。判例は、「建物の賃借人が、債務不履行により賃貸借契約を解除されたのち、権原がないことを知りながらその建物を不法に占有する間に有益費を支出した場合、その者は、民法295条2項の類推適用により、費用の償還請求権を保全するために留置権を行使することはできない」と判示します(最判昭46・7・16)。

4 妥当でない。判例は、不動産の買主が売買代金を未払いの状態のまま当該不動産を第三者に譲渡した場合の代金支払請求権を被担保債権として、当該不動産を留置することを認めています(最判昭47・11・16)。

5 妥当でない。判例は、不動産の二重売買がされ引き渡した後、一方の買主のために所有権移転登記がされた場合における、他方の買主の売主に対する損害賠償請求権を被担保債権として当該不動産を留置することを認めていません(最判昭43・11・21)。

 
 

 物権の成立に関する次のア~オの記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当でないものの組合せはどれか。

 

ア 他人の土地の地下または空間の一部について、工作物を所有するため、上下の範囲を定めて地上権を設定することは認められない。

イ 一筆の土地の一部について、所有権を時効によって取得することは認められる。

ウ 構成部分の変動する集合動産について、一括して譲渡担保の目的とすることは認められない。

エ 土地に生育する樹木について、明認方法を施した上で、土地とは独立した目的物として売却することは認められる。

オ 地役権は、継続的に行使され、かつ、外形上認識することができるものに限り、時効によって取得することができる。

 

1 ア・イ

2 ア・ウ

3 イ・エ

4 ウ・エ

5 エ・オ

 

正解2

ア 妥当でない。地下又は空間は、工作物を所有するため、上下の範囲を定めて地上権の目的とすることができます(269条の2第1項前段)。

イ 妥当である。一筆の土地の一部でも、その所有権を時効によって取得することができます(大連判大13・10・7)。

ウ 妥当でない。構成部分の変動する集合動産であっても、種類、所在場所及び量的範囲を指定するなどの方法により目的物の範囲が特定される場合には、1個の集合物として譲渡担保の目的となり得ます(最判昭54・2・15)。

エ 妥当である。土地に育成する立木(樹木)についても、明認方法を施すことにより、土地とは独立して譲渡することができます(大判大10・4・14など)。

オ 妥当である。地役権は、継続的に行使され、かつ、外形上認識することができるものに限り、時効によって取得することができます(283条)。

 以上により、妥当でないものはア・ウであり、2が正解となります。

 

 

4月16日現在

終了レッスン数:508

総学習時間:109時間2515