こんにちは、おっさんです。

前回のテストのひどい結果に

ちょっとめげていますが、

娘が今日、実力テストを受けるので

負けていられません。

今回はいい結果になると信じて頑張ります!

 

セレクト過去問集-憲法3

の結果は、7問中、4問正解でした。

 

 次の手紙の文中に示された疑問をうけて、これまで類似の規制について最高裁判所が示した判断を説明するア~オの記述のうち、妥当なものの組合せはどれか。

 

 前略 大変ご無沙汰しております。

 お取り込み中申し訳ありませんが、私の進路選択について、折り入って貴兄にご相談したいことができました。演劇三昧だった学生生活を切り上げて、行政書士をめざして勉強を始めたのですが、最近、自らの職業選択が抱える不条理に、少々悩んでおります。

 行政書士になりたい私が、試験に合格しなければ行政書士になれない、というのは、職業選択の自由という、私のかけがえのない人権の侵害にはあたらないのでしょうか。他方で、もし行政書士になれたとしても、行政書士法1条の2で行政書士の独占業務とされている書類の作成に関する限り、他者の営業の自由を排除しているわけですから、私は、かけがえのない人権であるはずの、他人の職業選択の自由を侵害して生きることになるのでしょうか……。

 

 拝復 お悩みのご様子ですね。行政書士業を一定の資格要件を具備する者に限定する以上、それ以外の者の開業は禁止されるのですから、あなたのご疑問にはあたっているところもあります。問題はそうした制限を正当化できるかどうかで、この点は意見が分かれます。ご参考までに、最高裁判所がこれまでに示した判断についてだけ申しますと、

 

ア 医薬品の供給を資格制にすることについては、重要な公共の福祉のために必要かつ合理的な措置ではないとして、違憲判決が出ていますよ。

イ 小売市場の開設経営を都道府県知事の許可にかからしめる法律については、中小企業保護を理由として、合憲判決が出ていましたよね。

ウ 司法書士の業務独占については、登記制度が社会生活上の利益に重大な影響を及ぼすものであることなどを指摘して、合憲判決が出ています。

エ 公衆浴場を開業する場合の適正配置規制については、健全で安定した浴場経営による国民の保健福祉の維持を理由として、合憲とされていますね。

オ 酒販免許制については、職業活動の内容や態様を規制する点で、許可制よりも厳しい規制であるため、適用違憲の判決が下された例があります。

 

1 ア・イ・ウ

2 ア・イ・エ

3 イ・ウ・エ

4 イ・ウ・オ

5 ウ・エ・オ

 

正解3

ア 妥当でない。最高裁判所は、薬事法に基づく薬局の適正配置規制が違憲である旨の判決を下しています(薬事法距離制限違憲判決。最大判昭50・4・30)。しかし、本肢のような医薬品の供給を資格制にすることについての違憲判決は下していません。

イ 妥当である。最高裁判所は、本肢を理由とした小売市場の許可規制についての合憲の判決を下しています(小売市場事件。最大判昭47・11・22)。

ウ 妥当である。最高裁判所は、本肢を理由とした司法書士の業務独占についての合憲の判決を下しています(司法書士法違反事件。最判平12・2・8)。

エ 妥当である。最高裁判所は、公衆浴場を開業する場合の適正配置規制について、「公衆浴場業者が経営の困難から廃業や転業をすることを防止し、健全で安定した経営を行えるように種々の立法上の手段をとり、国民の保健福祉を維持することは、まさに公共の福祉に適合するところであり、右の適正配置規制及び距離制限も、その手段として十分の必要性と合理性を有していると認められる。」として合憲の判決を下しています(公衆浴場距離制限事件。最判平元・1・20)。

オ 妥当でない。最高裁判所は、酒販免許業の免許制について合憲の判決を下しています(酒類販売業免許制事件。最判平4・12・15)。

 

 

 次の記述のうち、最高裁判所の判例に照らし、誤っているものはどれか。

 

1 憲法25条の規定の趣旨にこたえて具体的にどのような立法措置を講じるかの選択決定は、立法府の広い裁量にゆだねられている。

2 国は、子ども自身の利益のため、あるいは子どもの成長に対する社会公共の利益と関心にこたえるために、必要かつ相当な範囲で教育の内容について決定する権能を有する。

3 労働基本権に関する憲法上の規定は、国の責務を宣言するもので、個々の国民に直接に具体的権利を付与したものではなく、国の立法措置によってはじめて具体的権利が生じる。

4 労働基本権は、勤労者の経済的地位の向上のための手段として認められたものであって、それ自体が自己目的ではなく、国民全体の共同利益の見地からの制約を受ける。

5 憲法が義務教育を定めるのは、親が本来有している子女を教育する責務をまっとうさせる趣旨によるものであるから、義務教育に要する一切の費用を当然に国が負担しなければならないとは言えない。

 

正解3

1 正しい。最高裁判所は、「憲法25条の規定の趣旨にこたえて具体的にどのような立法措置を講ずるかの選択決定は、立法府の広い裁量にゆだねられており、著しく合理性を欠き明らかに裁量の逸脱・濫用であるような場合を除き、裁判所が審査判断するのに適しない」と判示しています(堀木訴訟上告審。最大判昭57・7・7)。

2 正しい。最高裁判所は、「は、子ども自身の利益の擁護のため、あるいは子どもの成長に対する社会公共の利益と関心にこたえるため、必要かつ相当と認められる範囲において、教育内容についてもこれを決定する権能を有する」と判示しています(旭川学テ事件。最大判昭51・5・21)。

3 誤り。最高裁判所は、「生存権」については、「憲法25条は、すべての国民が健康で文化的な最低限度の生活を営み得るように国政を運営すべきことを国の責務として宣言したにとどまり、直接個々の国民に対して具体的権利を賦与したものではない」と判示しています(朝日訴訟。最大判昭42・5・24)。しかし、本肢の労働基本権については、上記のように判示しているわけではありません。なお、労働基本権については、憲法28条により直接保障されているとするのが判例です(三井美唄労組事件。最大判昭43・12・4など)。

 

 

 行政書士をめざすA君は、いくつかの最高裁判所判決を読みながら、その重要な部分を書き取ったカードを作成し、判例の論理をたどろうとしていたところ、うっかりしてカードをばらまいてしまった。その際に、要約ミスのため捨てるはずだった失敗カードが1枚混ざってしまったため、全体としてつじつまがあわなくなった。以下の1~5のうち、捨てるはずだった失敗カードの上に書かれていた文章はどれか。

 

1 一般に、国民生活上不可欠な役務の提供の中には、当該役務のもつ高度の公共性にかんがみ、その適正な提供の確保のために、法令によって、提供すべき役務の内容及び対価等を厳格に規制するとともに、更に役務の提供自体を提供者に義務づける等のつよい規制を施す反面、これとの均衡上、役務提供者に対してある種の独占的地位を与え、その経営の安定をはかる措置がとられる場合がある。

2 憲法22条1項は、国民の基本的人権の一つとして、職業選択の自由を保障しており、そこで職業選択の自由を保障するというなかには、広く一般に、いわゆる営業の自由を保障する趣旨を包含しているものと解すべきであり、ひいては、憲法が、個人の自由な経済活動を基調とする経済体制を一応予定しているものということができる。

3 しかし、憲法は、個人の経済活動につき、その絶対かつ無制限の自由を保障する趣旨ではなく、各人は、「公共の福祉に反しない限り」において、その自由を享有することができるにとどまり、公共の福祉の要請に基づき、その自由に制限が加えられることのあることは、右条項自体の明示するところである。

4 のみならず、憲法の他の条項をあわせ考察すると、憲法は、全体として、福祉国家的理想のもとに、社会経済の均衡のとれた調和的発展を企図しており、その見地から、すべての国民にいわゆる生存権を保障し、その一環として、国民の勤労権を保障する等、経済的劣位に立つ者に対する適切な保護政策を要請していることは明らかである。

5 おもうに、右条項に基づく個人の経済活動に対する法的規制は、個人の自由な経済活動からもたらされる諸々の弊害が社会公共の安全と秩序の維持の見地から看過することができないような場合に、消極的に、かような弊害を除去ないし緩和するために必要かつ合理的な規制である限りにおいてのみ許されるべきである。

 

正解5

1 失敗カードではない。判例は、「一般に、国民生活上不可欠な役務の提供の中には、当該役務のもつ高度の公共性にかんがみ、その適正な提供の確保のために、法令によって、提供すべき役務の内容及び対価等を厳格に規制するとともに、更に役務の提供自体を提供者に義務づける等のつよい規制を施す反面、これとの均衡上、役務提供者に対してある種の独占的地位を与え、その経営の安定をはかる措置がとられる場合がある」と判示しています(薬事法距離制限違憲判決。最大判昭50・4・30)。

2 失敗カードではない。判例は、「憲法22条1項は、国民の基本的人権の一つとして、職業選択の自由を保障しており、そこで職業選択の自由を保障するというなかには、広く一般に、いわゆる営業の自由を保障する趣旨を包含しているものと解すべきであり、ひいては、憲法が、個人の自由な経済活動を基調とする経済体制を一応予定しているものということができる。」と判示しています(小売市場事件。最大判昭47・11・22)。

3 失敗カードではない。判例は、「しかし、憲法は、個人の経済活動につき、その絶対かつ無制限の自由を保障する趣旨ではなく、各人は、「公共の福祉に反しない限り」において、その自由を享有することができるにとどまり、公共の福祉の要請に基づき、その自由に制限が加えられることのあることは、右条項自体の明示するところである。」と判示しています(小売市場事件。最大判昭47・11・22)。

4 失敗カードではない。判例は、「のみならず、憲法の他の条項をあわせ考察すると、憲法は、全体として、福祉国家的理想のもとに、社会経済の均衡のとれた調和的発展を企図しており、その見地から、すべての国民にいわゆる生存権を保障し、その一環として、国民の勤労権を保障する等、経済的劣位に立つ者に対する適切な保護政策を要請していることは明らかである。」と判示しています(小売市場事件。最大判昭47・11・22)。

5 失敗カードである。判例は、小売市場の許可規制について消極的だけでなく、「積極的に、国民経済の健全な発達と国民生活の安定を期し、もって社会経済全体の均衡のとれた調和的発展を図るために、立法により、個人の経済活動に対し、一定の規制措置を講ずることも、それが右目的達成のために必要かつ合理的な範囲にとどまる限り、許されるべきであって、決して、憲法の禁ずるところではないと解すべきである。」と判示しています(小売市場事件。最大判昭47・11・22)。したがって本肢のように、「弊害を除去ないし緩和するために必要かつ合理的な規制である限りにおいてのみ許されるべきである」としているわけではありません。この点が要約ミスといえます。

 

 

 次の憲法の条文について一般に行われている説明として、妥当なものはどれか。

 

第31条 何人も、法律の定める手続によらなければ、その生命若しくは自由を奪はれ、又はその他の刑罰を科せられない。

 

1 「法律の定める手続」とあるので、条例によって刑罰その他についての手続を定めることは、許されていない。

2 日本国憲法は別に罪刑法定主義の条文をもっているので、本条においては、戦前にないがしろにされた刑事手続について、これを法律で定めることが要請されている。

3 この条文は刑事手続を念頭においており、行政手続などの非刑事手続については、その趣旨が適用されることはない。

4 刑事手続については、ただ単にこれを法律で定めればよいと規定しているのではなく、その手続が適正なものであることを要求している。

5 この条文は、ニューディール期のアメリカ連邦最高裁判所で猛威を振るった、手続的デュープロセス論を否定したものである。

 

正解4

1 妥当でない。判例は、条例で罰則を定めることも可能と判示しています(条例と罰則。最大判昭37・5・30)。

2 妥当でない。「罪刑法定主義」を直接規定した条文は憲法には存在しません。しかし、「罪刑法定主義」は近代立憲主義憲法の重要な原則であり、31条などが根拠となります

3 妥当でない。判例は、行政手続についても、それが刑事手続でないとの理由のみで、そのすべてが保障されないわけではないとしています(成田新法事件。最大判平4・7・1)。

4 妥当である。適正手続の保障(31条)は、①手続の法定、②手続の適正、③実体の法定、④実体の適正のすべてがその内容として要求されています。

5 妥当でない。日本国憲法31条は、アメリカ合衆国憲法の「適正手続条項」(デュー・プロセス・オヴ・ロー)に習い、刑事手続上の基本原則である「適正手続」を定めたものです。「手続的デュープロセス論を否定したものである」わけではありません

 

 

 基本的人権の限界に関して、次の文章のような見解が主張されることがある。この見解と個別の人権との関係に関わる次のア~オの記述のうち、正しいものはいくつあるか。

 

 日本国憲法は、基本的人権に関する総則的規定である13条で、国民の権利については「公共の福祉に反しない限り」国政の上で最大の尊重を必要とすると定めている。これは、それぞれの人権規定において個別的に人権の制約根拠や許される制約の程度を規定するのではなく、「公共の福祉」による制約が存する旨を一般的に定める方式をとったものと理解される。したがって、個別の人権規定が特に制約について規定していない場合でも、「公共の福祉」を理由とした制約が許容される。

 

ア 憲法36条は、「公務員による拷問及び残虐な刑罰は、絶対にこれを禁ずる」と定めるが、最高裁判例は「公共の福祉」を理由とした例外を許容する立場を明らかにしている。

イ 憲法15条1項は、「公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である」と定めるが、最高裁判例はこれを一切の制限を許さない絶対的権利とする立場を明らかにしている。

ウ 憲法21条1項は、「集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する」と定めるが、最高裁判例は「公共の福祉」を理由とした制限を許容する立場を明らかにしている。

エ 憲法21条2項前段は、「検閲は、これをしてはならない」と定めるが、最高裁判例はこれを一切の例外を許さない絶対的禁止とする立場を明らかにしている。

オ 憲法18条は、「何人も、いかなる奴隷的拘束も受けない」と定めるが、最高裁判例は「公共の福祉」を理由とした例外を許容する立場を明らかにしている。

 

1 一つ

2 二つ

3 三つ

4 四つ

5 五つ

 

正解2

ア 誤り。「公務員による拷問及び残虐な刑罰は、絶対にこれを禁ずる」と規定しています(36条)。本規定について「公共の福祉」を理由とした例外を許容する立場を明らかにした最高裁判例は存在しません。

イ 誤り。公務員の選定・罷免権について、一切の制限を許さない絶対的権利とする立場を明らかにしている最高裁判所の判例は存在しません。

ウ 正しい。最高裁判所は様々な判例において「公共の福祉」を理由とした制限を許容する立場を明らかにしています(第一次家永教科書裁判上告審判決。最判平5・3・16など)。

エ 正しい。判例は、「検閲がその性質上表現の自由に対する最も厳しい制約となるものであることにかんがみ、これについては、公共の福祉を理由とする例外の許容(憲法12条、13条参照)をも認めない趣旨を明らかにしたものである。」と判示しています(税関検査事件。最大判昭59・12・12)。したがって、最高裁判例は、検閲について一切の例外を許さない絶対的禁止とする立場を明らかにしています

オ 誤り。「何人も、いかなる奴隷的拘束も受けない」と規定しています(18条)。本規定について、「公共の福祉」を理由とした例外を許容する立場を明らかにした最高裁判例は存在しません

 以上により、正しいものは、ウ及びエの二つとなり、2が正解となります。

 

 

 次の文章は、公教育をめぐる2つの対立する考え方に関する最高裁判所判決の一節(一部を省略)である。空欄 ア ~ エ に当てはまる語句を、枠内の選択肢(1~20)から選びなさい。

 

 一の見解は、子どもの教育は、親を含む国民全体の共通関心事であり、公教育制度は、このような国民の期待と要求に応じて形成、実施されるものであつて、そこにおいて支配し、実現されるべきものは国民全体の教育意思であるが、この国民全体の教育意思は、憲法の採用する議会制民主主義の下においては、国民全体の意思の決定の唯一のルートである国会の法律制定を通じて具体化されるべきものであるから、法律は、当然に、公教育における ア についても包括的にこれを定めることができ、また、教育行政機関も、法律の授権に基づく限り、広くこれらの事項について決定権限を有する、と主張する。これに対し、他の見解は、子どもの教育は、憲法二六条の保障する子どもの教育を受ける権利に対する責務として行われるべきもので、このような責務をになう者は、親を中心とする国民全体であり、公教育としての子どもの教育は、いわば親の教育義務の共同化ともいうべき性格をもつのであつて、それ故にまた、教基法*一〇条一項も、教育は、国民全体の信託の下に、これに対して直接に責任を負うように行われなければならないとしている、したがつて、権力主体としての国の子どもの教育に対するかかわり合いは、右のような国民の教育義務の遂行を側面から助成するための イ に限られ、子どもの ア については、国は原則として介入権能をもたず、教育は、その実施にあたる教師が、その ウ としての立場から、国民全体に対して教育的、文化的責任を負うような形で、……決定、遂行すべきものであり、このことはまた、憲法二三条における学問の自由の保障が、学問研究の自由ばかりでなく、 エ をも含み、 エ は、教育の本質上、高等教育のみならず、普通教育におけるそれにも及ぶと解すべきことによつても裏付けられる、と主張するのである。

                (最大判昭和51年5月21日刑集30巻5号615頁)

(注)*教育基本法

[語群]

  • 1 初等教育 
  • 2 教科書検定
  • 3 諸条件の整備
  • 4 教授の自由
  • 5 教育公務員
  • 6 第三者
  • 7 教科用図書
  • 8 学習指導要領
  • 9 教育専門家
  • 10 教育の内容及び方法
  • 11 研究者
  • 12 管理者
  • 13 中等教育
  • 14 学習権
  • 15 懲戒権
  • 16 私立学校の自治 
  • 17 大学の自治
  • 18 公の支配
  • 19 職務命令
  • 20 指揮監督
正解 ア 10 教育の内容及び方法 イ 3 諸条件の整備 ウ 9 教育専門家 エ 4 教授の自由

ア 「10 教育の内容及び方法」が入る。冒頭の「一の見解」が「国家教育権説」であり、「他の見解」が「国民教育権説」です。

 前の ア では、国家教育権説により「法律は、当然に、公教育における ア についても包括的にこれを定めることができ」るとしており、後の ア では、国民教育権説により、「子どもの ア については、国は原則として介入権能をもた」ないとしていることから、語群を見ると「教育の内容及び方法」が入ります。

イ 「3 諸条件の整備」が入る。 イ の前後は、「国の子どもの教育に対するかかわり合いは、右のような国民の教育義務の遂行を側面から助成するための イ に限られ」とあります。このことから国は子どもの教育に対して限定的な対応しかできないことになります。これを踏まえて語群を見ると限定的な表現である「諸条件の整備」が入ります。

ウ 「9 教育専門家」が入る。  ウ の前後は、「国は原則として介入権能をもたず、教育は、その実施にあたる教師が、その ウ としての立場から、国民全体に対して教育的、文化的責任を負うような形で、……決定、遂行すべきものであ」るとされています。教師の立場に合致しそうな語句を語群から見つけると、教育公務員、教育専門家、研究者、管理者が候補に挙がります。さらに「国民全体に対して教育的、文化的責任を負う」という表現からすると、「教育専門家」が妥当です。

エ 「4 教授の自由」が入る。  エ の前後は、「憲法二三条における学問の自由の保障が、学問研究の自由ばかりでなく、 エ をも含み、 エ は、教育の本質上、高等教育のみならず、普通教育におけるそれにも及ぶと解すべきことによつても裏付けられる」とあります。学問の自由の内容は、①学問研究の自由、②研究発表の自由、③教授の自由の3つとされていますので、語群を見ると、③教授の自由があり、これが解答になります。

 

 

 デモクラシーの刷新を綱領に掲げる政党Xは、衆議院議員選挙の際の選挙公約として、次のア~エのような内容を含む公職選挙法改正を提案した。

 

ア 有権者の投票を容易にするために、自宅からインターネットで投票できる仕組みを導入する。家族や友人とお茶の間で話し合いながら同じ端末から投票することもでき、身近な人々の間での政治的な議論が活性化することが期待される。

イ 有権者の投票率を高めるため、選挙期間中はいつでも投票できるようにするとともに、それでも3回続けて棄権した有権者には罰則を科するようにする。

ウ 過疎に苦しむ地方の利害をより強く国政に代表させるため、参議院が都道府県代表としての性格をもつことを明文で定める。

エ 地方自治と国民主権を有機的に連動させるため、都道府県の知事や議会議長が自動的に参議院議員となり、国会で地方の立場を主張できるようにする。

 この提案はいくつか憲法上論議となり得る点を含んでいる。以下の諸原則のうち、この提案による抵触が問題となり得ないものはどれか。

 

1 普通選挙

2 直接選挙

3 自由選挙

4 平等選挙

5 秘密選挙

 

正解1

ア 5 秘密選挙に関して議論となり得る。秘密選挙に関し、「すべての選挙における投票の秘密はこれを侵してはならない」と規定します(憲法15条4項)。本肢の「家族や友人とお茶の間で話し合いながら同じ端末から投票する」ことは、他人に誰に投票したかが分かってしまうので、秘密選挙に関して憲法上議論となり得えます。

イ  3 自由選挙に関して議論となり得る。選挙権を行使するか否かは、選挙人の自由です(自由選挙。憲法15条4項)。本肢の「3回続けて棄権した有権者には罰則を科する」は、自由選挙に関して憲法上議論となり得えます。

ウ  4 平等選挙に関して議論となり得る。選挙においては一人一票を原則とし、投票価値の平等も要請されます。本肢の「参議院が都道府県代表としての性格をもつことを明文で定める」ことは、各都道府県における投票価値の平等を維持することができなくなるため、平等選挙に関して憲法上議論となり得ます。

エ  2 直接選挙に関して議論となり得る。有権者は直接に公務員を選定します。本肢の「都道府県の知事や議会議長が自動的に参議院議員となる」ことは、直接選挙が不可能となるため、直接選挙に関して憲法上議論となり得ます。

 以上により、提案による抵触が問題となり得ないのは、1 普通選挙になります。

 

4月11日現在

終了レッスン数:498

総学習時間:104時間5800