こんにちは、おっさんです。

ここ最近、ホームベーカリーでパンを作り

それをホットサンドメーカーで、色んな具を

はさんで焼いて食べることにはまってます。

一番のお気に入りは、ハムとチーズなのですが

なにかいいのがあれば教えてください。

 

 

セレクト過去問集-憲法2
の結果は、8問中、3問正解でした。

 

 

 精神的自由権に関する次の記述のうち、判例の趣旨に照らし、正しいものはどれか。

 

1 憲法19条の「思想及び良心の自由」は、「信教の自由」(20条1項)の保障対象を宗教以外の世俗的な世界観・人生観等にまで拡大したものであるため、信教の自由の場合と同様に、固有の組織と教義体系を持つ思想・世界観のみが保護される。

2 憲法19条の「思想及び良心の自由」は、国民がいかなる思想を抱いているかについて国家権力が開示を強制することを禁止するものであるため、謝罪広告の強制は、それが事態の真相を告白し陳謝の意を表するに止まる程度であっても許されない。

3 憲法20条1項の「信教の自由」は、公認された宗教に属さない宗教的少数派であった人たちにも、多数派と同等の法的保護を与えるために導入されたものであるため、すべての宗教に平等に適用される法律は違憲となることはない。

4 憲法20条3項は、国が宗教教育のように自ら特定宗教を宣伝する活動を行うことを禁止する趣旨であるため、宗教団体の行う宗教上の祭祀に際して国が公金を支出することが同項に違反することはない。

5 憲法20条3項は、国と宗教とのかかわり合いが、その目的と効果に照らして相当な限度を超えた場合にこれを禁止する趣旨であるため、国公立学校で真摯な宗教的理由から体育実技を履修できない学生に対して代替措置を認めることを一切禁じるものではない。

 

正解5

1 誤り。思想及び良心の自由が保障される範囲は、人の内心活動一般(広義説)であるのか、一定の内心活動に限定(狭義説)されるのかという議論があります。このうち、狭義説をとっても、内心における論理的・倫理的判断、世界観、人生観、思想体系、政治的意見など人格形成に役立つ精神活動を保障し、単なる事実の知不知のような内心の活動を含まないと考えていますが、「固有の組織と教義体系を持つ思想・世界観のみが保護される。」わけではありません。また、判例も思想及び良心の自由の保障の範囲については、明確な判断をしているわけではありません(謝罪広告事件。最大判昭31・7・4)。

2 誤り。判例は、「謝罪広告を新聞紙等に掲載すべきことを加害者に命ずることは、それが単に事態の真相を告白し陳謝の意を表明するにとどまる程度のものであれば、代替執行の手続によって強制執行しても、加害者の倫理的な意思、良心の自由を侵害するものとはいえない。」としています(謝罪広告事件。最大判昭31・7・4)。「謝罪広告の強制は許されない」とする本肢は誤りです。

3 誤り。本肢は、「すべての宗教に平等に適用される法律は違憲となることはない」としていますが、この法律がすべての宗教団体に特権を付与するものであるならば政教分離原則に反する可能性があり、信教の自由を侵害するのであれば、違憲となりえます。なお、憲法20条3項に違反するとした判例として、愛媛玉串料事件(最大判平9・4・2)があります。

4 誤り。多数の判例は、国家と宗教のかかわり合いがあることを前提として、目的効果基準を用いた判断をしています(津地鎮祭事件。最大判昭52・7・13)。そこでは、「宗教とのかかわり合いをもつすべての行為を指すものではなく、のかかわり合いが右にいう相当とされる限度を超えるものに限られる」としています。したがって、相当とされる限度を超えた公金支出については、憲法違反となる可能性があるため、本肢の「宗教団体の行う宗教上の祭祀に際して国が公金を支出することが同項に違反することはない。」とはいえません。

5 正しい。判例は、「信仰上の理由によって剣道の必修実技の履修を拒否した学生に対して、正当な理由のない履修拒否と区別せず、代替措置について何ら検討することもなく、原級留置処分をし、さらに、2回続けて原級留置となったため退学処分をしたという校長の措置は、社会観念上著しく妥当を欠く処分であり、裁量権の範囲を超える違法なものである。」としています(エホバの証人剣道拒否事件。最判平8・3・8)。したがって、当該学生に対して代替措置を認めることを一切禁じるものではないことになります。

 

 

 表現の自由に関する次の判断基準が想定している事例として、妥当なものはどれか。

 

 公共の利害に関する事項について自由に批判、論評を行うことは、もとより表現の自由の行使として尊重されるべきものであり、その対象が公務員の地位における行動である場合には、右批判等により当該公務員の社会的評価が低下することがあっても、その目的が専ら公益を図るものであり、かつ、その前提としている事実が主要な点において真実であることの証明があったときは、人身攻撃に及ぶなど論評としての域を逸脱したものでない限り、名誉侵害の不法行為の違法性を欠くものというべきである。

(最一小判平成元年12月21日民集43巻12号2252頁)

1 XはA駅の構内で、駅員の許諾を受けず、また退去要求を無視して、乗降客や通行人に対してB市の施策を批判する演説を行ったところ、不退去などを理由に起訴された。

2 Yは雑誌上で、宗教法人X1の会長X2に関する事実を批判的に報道したところ、X1・X2の名誉を毀損したとして訴訟になった。

3 作家Yは自らが執筆した小説にXをモデルとした人物を登場させ、この際にXが不特定多数への公開を望まない私生活上の事実を描いたため、Xが出版差止めを求めて出訴した。

4 新聞記者Xは取材の過程で公務員Aに接近して親密になり、外交交渉に関する国の機密情報を聞き出したところ、機密漏洩をそそのかしたとして起訴された。

5 A市の公立小学校で成績の評価方法をめぐる対立が生じ、市民Yが教員Xを厳しく批判するビラを配布したところ、XがYに対して損害賠償と謝罪広告を求めて出訴した。

 

正解5

1 妥当でない。本肢は、「駅員の許諾を受けず、また退去要求を無視して、乗降客や通行人に対してB市の施策を批判する演説を行った」事例であり(最判昭59・12・18)、市民の公務員に対する名誉侵害の不法行為の違法性の有無に関するものではありません。

2 妥当でない。本肢の事例は、宗教法人の会長が報道の対象となっており(最判昭56・4・16)、市民の公務員に対する名誉侵害の不法行為の違法性の有無に関するものではありません。

3 妥当でない。本肢は、私人が「不特定多数への公開を望まない私生活上の事実を描かれたため、差止めを求めた」事例であり(最判平14・9・24)、市民の公務員に対する名誉侵害の不法行為の違法性の有無に関するものではありません。

4 妥当でない。本肢の事例は、新聞記者の公務員に対する取材方法の違法性に関するものであり(最判昭53・5・31)、市民の公務員に対する名誉侵害の不法行為の違法性の有無に関するものではありません。

5 妥当である。本肢は、市民が公務員である教員を厳しく批判するビラを配布し、当該教員が、当該市民に対して損害賠償と謝罪広告を求めた事例であり、市民の公務員に対する名誉侵害の不法行為の違法性の有無に関するものです。

 

 

 写真家Aが自らの作品集をある出版社から発売したところ、これに収録された作品のいくつかが刑法175条にいう「わいせつ」な図画に該当するとして、検察官によって起訴された。自分が無罪であることを確信するAは、裁判の場で自らの口から「表現の自由」を主張できるように、慌てて憲法の勉強を始め、努力の甲斐あって次の1~5のような考え方が存在することを知ることができた。このうち、本件の事案において主張するものとして、最も適しない考え方はどれか。

 

1 わいせつ表現についても、表現の自由の価値に比重を置いてわいせつの定義を厳格にしぼり、規制が及ぶ範囲をできるだけ限定していく必要がある。

2 表現の自由は「公共の福祉」によって制約されると考える場合であっても、これは他人の人権との矛盾・衝突を調整するための内在的制約と解すべきである。

3 憲法21条2項前段が「検閲の禁止」を定めているように、表現活動の事前抑制は原則として憲法上許されない。

4 表現の自由に対する規制が過度に広汎な場合には、当事者は、仮想の第三者に法令が適用されたときに違憲となりうることを理由に、法令全体の違憲性を主張できる。

5 文書の芸術的・思想的価値と、文書によって生じる法的利益の侵害とを衡量して、前者の重要性が後者を上回るときにまで刑罰を科するのは違憲である。

 

正解3

1 適する。わいせつの定義を厳格にしぼり、規制が及ぶ範囲をできるだけ限定していけば、収録作品が「わいせつ」な図画に該当しないとして無罪を主張することが可能となります。

2 適する。社会公共の安全・秩序維持の見地からする内在的制約と解すると、表現の自由に対する「公共の福祉」による制約については、「必要最少限度の規制」のみが認められることになるので、これを超える規制であるとして無罪を主張することができます。

3 最も適しない。本問では、すでに作品集を販売してしまっているので、事前抑制を根拠とした表現の自由について主張をしても意味がないことになります。

4 適する。表現の自由に対する規制が過度に広汎であると、表現行為に対して萎縮的効果を及ぼしてしまいます。したがって、仮想の第三者に法令が適用されたときに違憲となるということを理由として、法令全体の違憲性を主張することは適切であるといえます。

5 適する。作品集の芸術的・思想的価値が、作品集によって生じる法的利益の侵害と、その重要性において上回るときは、比較衡量の結果として違法性が阻却されると考えることができるので、これに対して刑罰を科するのは違憲であると主張することは可能です。

 

 

 表現の自由の保障根拠に関する次の記述のうち、他と異なる考え方に立脚しているものはどれか。

 

1 広告のような営利的な表現活動もまた、国民一般が消費者として様々な情報を受け取ることの重要性に鑑み、表現の自由の保護が及ぶものの、その場合でも保障の程度は民主主義に不可欠な政治的言論の自由よりも低い、とする説がある。

2 知る権利は、「国家からの自由」という伝統的な自由権であるが、それにとどまらず、参政権(「国家への自由」)的な役割を演ずる。個人は様々な事実や意見を知ることによって、はじめて政治に有効に参加することができるからである。

3 表現の自由を規制する立法の合憲性は、経済的自由を規制する立法の合憲性と同等の基準によって審査されなければならない、とする説が存在するが、その根拠は個人の自律にとっては経済活動も表現活動も同等な重要性を有するためである。

4 名誉毀損的表現であっても、それが公共の利害に関する事実について公益を図る目的でなされた場合には、それが真実であるか、真実であると信じたことに相当の理由があるときは処罰されないが、これは政治的な言論を特に強く保護する趣旨と解される。

5 報道機関の報道の自由は、民主主義社会において、国民が国政に関与するために重要な判断の資料を提供し、国民の知る権利に奉仕するものであり、表現の自由の保障内容に含まれる。

 

正解3

1 他と異ならない。本肢が「広告のような営利的な表現活動・・・保障の程度は民主主義に不可欠な政治的言論の自由よりも低い」とすることから、自己統治の価値が優先する考え方に立脚しています。

2 他と異ならない。本肢が、「個人は様々な事実や意見を知ることによって、はじめて政治に有効に参加することができる」とすることから、自己統治の価値が優先する考え方に立脚しています。

3 他と異なる。本肢が「個人の自律にとっては経済活動も表現活動も同等な重要性を有する」とすることから、自己統治の価値が優先するという考えに立脚しているわけではありません

4 他と異ならない。本肢が「政治的な言論を特に強く保護する趣旨」とすることから、自己統治の価値が優先する考え方に立脚しています。

5 他と異ならない。本肢が「報道機関の報道の自由は、・・・・国民が国政に関与するために重要な判断の資料を提供し、国民の知る権利に奉仕する」とすることから、自己統治の価値が優先する考え方に立脚しています。

 

 

 次の1~5は、法廷内における傍聴人のメモ採取を禁止することが憲法に違反しないかが争われた事件の最高裁判所判決に関する文章である。判決の趣旨と異なるものはどれか。

 

1 報道機関の取材の自由は憲法21条1項の規定の保障の下にあることはいうまでもないが、この自由は他の国民一般にも平等に保障されるものであり、司法記者クラブ所属の報道機関の記者に対してのみ法廷内でのメモ採取を許可することが許されるかは、それが表現の自由に関わることに鑑みても、法の下の平等との関係で慎重な審査を必要とする。

2 憲法82条1項は、裁判の対審及び判決が公開の法廷で行われるべきことを定めているが、その趣旨は、裁判を一般に公開して裁判が公正に行われることを制度として保障し、ひいては裁判に対する国民の信頼を確保しようとすることにある。

3 憲法21条1項は表現の自由を保障しており、各人が自由にさまざまな意見、知識、情報に接し、これを摂取する機会をもつことは、個人の人格発展にも民主主義社会にとっても必要不可欠であるから、情報を摂取する自由は、右規定の趣旨、目的から、いわばその派生原理として当然に導かれる。

4 さまざまな意見、知識、情報に接し、これを摂取することを補助するものとしてなされる限り、筆記行為の自由は、憲法21条1項の規定の精神に照らして尊重されるべきであるが、これは憲法21条1項の規定によって直接保障される表現の自由そのものとは異なるから、その制限又は禁止には、表現の自由に制約を加える場合に一般に必要とされる厳格な基準が要求されるものではない。

5 傍聴人のメモを取る行為が公正かつ円滑な訴訟の運営を妨げるに至ることは通常はあり得ないのであって、特段の事情のない限り、これを傍聴人の自由に任せるべきであり、それが憲法21条1項の規定の精神に合致する。

 

正解1

1 判例の趣旨と異なる。本判例は、「法廷で傍聴人がメモを取ることは、その見聞する裁判を認識記憶するためにされるものである限り、憲法21条1項の精神に照らし尊重に値し、故なく妨げられてはならない。」と判示しているので、「取材の自由は憲法21条1項の規定の保障の下にある」とする本肢は、判例の趣旨と異なることになります。

2 判例の趣旨と同じ。本判例は、「憲法82条1項の規定は、裁判の対審及び判決が公開の法廷で行われるべきことを定めているが、その趣旨は、裁判を一般に公開して裁判が公正に行われることを制度として保障し、ひいては裁判に対する国民の信頼を確保しようとすることにある。」と判示しています。

3 判例の趣旨と同じ。本判例は、「憲法21条1項の規定は、表現の自由を保障している。そうして、多数意見は、各人が自由にさまざまな意見、知識、情報に接し、これを摂取する自由は、右規定の趣旨、目的からいわばその派生原理として当然に導かれるところであり、」と判示しています。

4 判例の趣旨と同じ。本判例は、筆記行為は、「さまざまな意見、知識、情報に接し、これを摂取することを補助するものとしてなされる限り、筆記行為の自由は、憲法21条1項の規定の精神に照らして尊重されるべきであるといわなければならない。」とし、さらに「情報等の摂取を補助するためにする筆記行為の自由といえども、他者の人権と衝突する場合にはそれとの調整を図る上において、又はこれに優越する公共の利益が存在する場合にはそれを確保する必要から、一定の合理的制限を受けることがあることはやむを得ないところである。しかも、右の筆記行為の自由は、憲法21条1項の規定によって直接保障されている表現の自由そのものとは異なるものであるから、その制限又は禁止には、表現の自由に制約を加える場合に一般に必要とされる厳格な基準が要求されるものではないというべきである。」と判示しています。

5 判例の趣旨と同じ。本判例は、「傍聴人のメモを取る行為が公正かつ円滑な訴訟の運営を妨げるに至ることは、通常はあり得ないのであって、特段の事情のない限り、これを傍聴人の自由に任せるべきであり、それが憲法21条1項の規定の精神に合致するものということができる。」と判示しています。

 

 

 次の文章は、宗教法人Xへの解散命令の合憲性に関して、Xの特別抗告に対して下された最高裁判所決定の一節である。空欄 ア ~ エに当てはまる語句を、枠内の選択肢(1~20)から選びなさい。

 

 「(宗教法人)法81条に規定する宗教法人の解散命令の制度は、前記のように、専ら宗教法人の ア 側面を対象とし、かつ、専ら ア目的によるものであって、宗教団体や信者の精神的・ イ側面に容かいする意図によるものではなく、その制度の目的も合理的であるということができる。そして…(中略)…抗告人が、法令に違反して、著しく公共の福祉を害すると明らかに認められ、宗教団体の目的を著しく逸脱した行為をしたことが明らかである。抗告人の右のような行為に対処するには、抗告人を解散し、法人格を失わせることが ウ かつ適切であり、他方、解散命令によって宗教団体であるXやその信者らが行う宗教上の行為に何らかの支障を生ずることが避けられないとしても、その支障は、解散命令に伴う エ で事実上のものであるにとどまる。したがって、本件解散命令は、宗教団体であるXやその信者らの精神的・ イ 側面に及ぼす影響を考慮しても、抗告人の行為に対処するのに ウ でやむを得ない法的規制であるということができる。」

                       (最一小決平成8年1月30日民集50巻1号199頁以下)

[語群]

  • 1 直接的  
  • 2 間接的
  • 3 積極的
  • 4 消極的
  • 5 明白
  • 6 具体的
  • 7 抽象的
  • 8 容易
  • 9 中立的
  • 10 宗教的
  • 11 可能
  • 12 政治的
  • 13 支配的
  • 14 指導的
  • 15 必要
  • 16 社会的
  • 17 裁量的
  • 18 手続的
  • 19 世俗的
  • 20 有効
正解 ア 19 世俗的 イ 10 宗教的 ウ 15 必要 エ 2 間接的

アには「19 世俗的」が、イには「10 宗教的」が入る。最高裁は、オウム真理教の解散命令は、法人格を奪うものであって、信教の自由を侵害するものではない、ことを理解していれば、宗教法人の解散命令は、宗教団体や信者の精神的・「宗教的」側面に容かい(口出しすること)するわけではなく、「世俗的」(世間一般で行われている)側面を対象としていると考えることができます。

ウ 「15 必要」が入る。最初の ウ の後に、「かつ適切」とあります。さらに、最後に出てくる ウ の後に「でやむを得ない法的規制」とあります。この2つの箇所の組合せとしてしっくりする語句を語群から選ぶと、「必要」が入るでしょう。

エ 「2 間接的」が入る。 エ の後に「で事実上のものであるにとどまる」とあり、そうであれば違憲ではない、とされていることから、この組合せとしてしっくりするのは「間接的」です。なお語群にはありませんが、判例では「反射的」などの語句も「事実上」とセットにして使われることがあります。

 

 

 次の文章は、最高裁判所判決の一節である。空欄 ア ~ エ に当てはまる語句を、枠内の選択肢(1~20)から選びなさい。

 

 憲法二一条二項前段は、「検閲は、これをしてはならない。」と規定する。憲法が、表現の自由につき、広くこれを保障する旨の一般的規定を同条一項に置きながら、別に検閲の禁止についてかような特別の規定を設けたのは、検閲がその性質上表現の自由に対する最も厳しい制約となるものであることにかんがみ、これについては、公共の福祉を理由とする例外の許容(憲法一二条、一三条参照)をも認めない趣旨を明らかにしたものと解すべきである。けだし、諸外国においても、表現を事前に規制する検閲の制度により思想表現の自由が著しく制限されたという歴史的経験があり、また、わが国においても、旧憲法下における出版法(明治二六年法律第一五号)、新聞紙法(明治四二年法律第四一号)により、文書、図画ないし新聞、雑誌等を出版直前ないし発行時に提出させた上、その発売、頒布を禁止する権限が内務大臣に与えられ、その運用を通じて ア な検閲が行われたほか、映画法(昭和一四年法律第六六号)により映画フイルムにつき内務大臣による典型的な検閲が行われる等、思想の自由な発表、交流が妨げられるに至つた経験を有するのであつて、憲法二一条二項前段の規定は、これらの経験に基づいて、検閲の イ を宣言した趣旨と解されるのである。

 そして、前記のような沿革に基づき、右の解釈を前提として考究すると、憲法二一条二項にいう「検閲」とは、 ウ が主体となつて、思想内容等の表現物を対象とし、その全部又は一部の発表の禁止を目的として、対象とされる一定の表現物につき エ に、発表前にその内容を審査した上、不適当と認めるものの発表を禁止することを、その特質として備えるものを指すと解すべきである。

                        (最大判昭和59年12月12日民集38巻12号1308頁)

 

[語群]

  • 1 行政権   
  • 2 絶対的禁止
  • 3 例外的
  • 4 否定的体験
  • 5 外形的
  • 6 原則的禁止
  • 7 形式的
  • 8 制限的適用
  • 9 抜き打ち的
  • 10 積極的廃止
  • 11 実質的
  • 12 個別的具体的
  • 13 警察権
  • 14 法律的留保的
  • 15 国家
  • 16 網羅的一般的
  • 17 司法権
  • 18 裁量的
  • 19 公権力
  • 20 排他的
正解 ア 11 実質的 イ 2 絶対的禁止 ウ 1 行政権    エ 16 網羅的一般的

ア 「11 実質的」が入る。憲法21条2項前段は、「検閲は、これをしてはならない。」として、その例外を認めない検閲の絶対的禁止を定めています。それにもかかわらず、「頒布を禁止する権限が内務大臣に与えられ、その運用を通じて ア な検閲が行われた」とされているので、語群より「実質的」が入ることになります。

イ 「 絶対的禁止」が入る。肢アの解説により、 イ には、「絶対的禁止」が入ります。

ウ 「 行政」・エ 「16 網羅的一般的」が入る。憲法の規定では、「検閲」の定義をしていませんが、判例は「検閲」とは、「行政権」が主体となつて、思想内容等の表現物を対象とし、その全部又は一部の発表の禁止を目的として、対象とされる一定の表現物につき「網羅的一般的」に、発表前にその内容を審査した上、不適当と認めるものの発表を禁止すること」と定義しています。

 

 

 学問の自由に関する次の記述のうち、妥当でないものはどれか。

 

1 学問研究を使命とする人や施設による研究は、真理探究のためのものであるとの推定が働くと、学説上考えられてきた。

2 先端科学技術をめぐる研究は、その特性上一定の制約に服する場合もあるが、学問の自由の一環である点に留意して、日本では罰則によって特定の種類の研究活動を規制することまではしていない。

3 判例によれば、大学の学生が学問の自由を享有し、また大学当局の自治的管理による施設を利用できるのは、大学の本質に基づき、大学の教授その他の研究者の有する特別な学問の自由と自治の効果としてである。

4 判例によれば、学生の集会が、実社会の政治的社会的活動に当たる行為をする場合には、大学の有する特別の学問の自由と自治は享有しない。

5 判例によれば、普通教育において児童生徒の教育に当たる教師にも教授の自由が一定の範囲で保障されるとしても、完全な教授の自由を認めることは、到底許されない。

 

正解2

1 妥当である。学問の自由は、①学問研究の自由、②研究発表の自由、③教授(教育)の自由をその内容としますが、このうちの学問研究の自由は、真理探究のためのものであるとの推定が働くと、考えられています。

2 妥当でない。学問研究は本来自由であるべきですが、臓器移植や遺伝子組み替えなどの医療技術や原子力などの近年の先端科学技術をめぐる研究は、人の尊厳、生命・身体の安全や社会秩序の維持という観点から一定のルールとして法律の制定が要請されることがあります。例えば、ヒトに関するクローン技術等の規制に関する法律があり、この法律では、人クローン胚などを人又は動物の体内に移植することを禁止しており、これに違反した場合には、懲役又は罰金刑に処せられることとされています。したがって、「日本では罰則によって特定の種類の研究活動を規制することまではしていない」とする本肢は妥当ではありません。

3 妥当である。判例は、「大学の学生としてそれ以上に学問の自由を享有し、また大学当局の自冶的管理による施設を利用できるのは、大学の本質に基づき、大学の教授その他の研究者の有する特別な学問の自由と自治の効果としてである。」と判示しています(東大ポポロ事件。最大判昭38・5・22)。

4 妥当である。判例は、「学生の集会が真に学問的な研究またはその結果の発表のためのものでなく、実社会の政治的社会的活動に当る行為をする場合には、大学の有する特別の学問の自由と自治は享有しないといわなければならない。」と判示しています(東大ポポロ事件。最大判昭38・5・22)。

 

4月11日現在

終了レッスン数:495

総学習時間:104時間1835