こんにちは、おっさんです。

今朝は、寝坊してしまい、しかも

用事があり、外出もしなければならず

その用事も時間が読めないので

セレクト問題集に取り組みたいと思います。

 

セレクト過去問集-憲法1

の結果は、16問中、8問正解でした。

 

私法上の法律関係における憲法の効力に関する次の記述のうち、最高裁判所の判例に照らし、正しいものはどれか。

 

1 私人間においては、一方が他方より優越的地位にある場合には私法の一般規定を通じ憲法の効力を直接及ぼすことができるが、それ以外の場合は、私的自治の原則によって問題の解決が図られるべきである。

2 私立学校は、建学の精神に基づく独自の教育方針を立て、学則を制定することができるが、学生の政治活動を理由に退学処分を行うことは憲法19条に反し許されない。

3 性別による差別を禁止する憲法14条1項の効力は労働関係に直接及ぶことになるので、男女間で定年に差異を設けることについて経営上の合理性が認められるとしても、女性を不利益に扱うことは許されない。

4 自衛隊基地建設に関連して、国が私人と対等な立場で締結する私法上の契約は、実質的に公権力の発動と同視できるような特段の事情がない限り、憲法9条の直接適用を受けない。

5 企業者が、労働者の思想信条を理由に雇い入れを拒むことは、思想信条の自由の重要性に鑑み許されないが、いったん雇い入れた後は、思想信条を理由に不利益な取り扱いがなされてもこれを当然に違法とすることはできない。

 

1 誤り。最高裁判所は、私法上の法律関係については、「間接適用説」をとるので、「私法の一般規定を通じ憲法の効力を直接及ぼす」ことはできません(三菱樹脂事件。最大判昭48・12・12)。

2 誤り。最高裁判所は、私法上の法律関係については、「間接適用説」をとるので、「学生の政治活動を理由に退学処分を行うことは憲法19条に反し許されない。」とする本肢は誤りです(昭和女子大事件。最判昭49・7・19)。

3 誤り。最高裁判所は、私法上の法律関係については、「間接適用説」をとるので、性別による差別について、「民法90条の規定により無効である。」としています(日産自動車事件。最判昭56・3・24)。「憲法14条1項の効力は労働関係に直接及ぶことになる」とする本肢は誤りです。

4 正しい。判例は、国が私人と対等な立場で締結する私法上の契約は、実質的に公権力の発動と同視できるような特段の事情がない限り、憲法9条の直接適用を受けないとしています(百里基地事件。最判平元・6・20)。

5 誤り。最高裁判所は、「企業者は、経済活動の一環としてする契約締結の自由を有し、自己の営業のために労働者を雇用するにあたり、いかなる者を雇い入れるか、いかなる条件でこれを雇うかについて、法律その他による特別の制限がない限り、原則として自由にこれを決定することができる」としています(三菱樹脂事件。最大判昭48・12・12)。したがって、「労働者の思想信条を理由に雇い入れを拒むことは、思想信条の自由の重要性に鑑み許されない」とする本肢は誤りとなります。

 

 

次の文章のうち、そこで想定される「実質的意味の憲法」の理解の仕方が、憲法学における伝統的な分類に従えば、他とは異なっているものはどれか。

 

1 権利の保障が確保されず、権力の分立がなされていない社会は、憲法をもっているとはいえない。

2 固有の意味での憲法を論ずるには、古代憲法、中世憲法、近代憲法、現代憲法の順で、社会の基本構造を歴史的に叙述する必要がある。

3 日本の憲法の歴史は、大日本帝国憲法の制定につながる、西洋諸国に対する「開国」を出発点として、叙述されなくてはならない。

4 近代立憲主義が定着したフランス第三共和制においては、その体制の基本を定める法律を「憲法的」と形容して、憲法的法律と呼んでいた。

5 絶対君主制とは区別された意味での立憲君主制が、19世紀ヨーロッパの憲法体制では広く普及し、明治時代の日本もこれにならった。

 

 解法テクニック
 実質的意味の憲法には、「固有の意味の憲法(広義の憲法)」と「立憲的意味の憲法(近代的意味の憲法)」があります。
 「固有の意味の憲法」とは、国家統治の基本に関する法であり、時代や国家を問わず、およそ国家の存在するところには、「固有の意味の憲法」が存在するといわれます。
  本問は、5つの選択肢のうち1つだけ固有の意味の憲法として理解されているものを選ぶものです。

 

1 立憲的意味の憲法の意味。「権利の保障が確保されず、権力の分立がなされていない社会は、憲法をもっているとはいえない。」としているため、立憲的意味の憲法の意味として理解されています。

2 固有の意味の憲法の意味。「固有の意味」や「古代憲法」などは立憲主義に基づいていないことから固有の意味の憲法として理解されています。

3 立憲的意味の憲法の意味。「西洋諸国に対する「開国」を出発点として、叙述されなくてはならない」としているため、立憲的意味の憲法の意味として理解されています。

4 立憲的意味の憲法の意味。「近代立憲主義」から、立憲的意味の憲法の意味として理解されています。

5 立憲的意味の憲法の意味。「絶対君主制とは区別された意味での立憲君主制」から、立憲的意味の憲法の意味として理解されています。

 

 次の文章は、参議院内閣委員会で食育基本法案が議論された折のある議員の発言を、その趣旨を変更しないようにして要約したものである。この発言の趣旨と明白に対立する見解はどれか。

 

 「更にちょっと深く議論を進めたいんですけれども、(法案の)13条に国民の責務という条文がございます。これについては先ほどの議論の中で努力規定という表現が提案者の方から聞かれましたけれども、しかしやはり国民の責務ときっちりうたっているわけでございます。」

 「この健全な食生活に努めるという責務、これをなぜ国民は負わなければいけないんだろう。」「裏を返すと、不健康でもそれは自己責任じゃないかという、こういう議論もまたあるわけです。」

 「そして、やはり自分が自分の健康を害することに対して何らかの制約を課す、これは法律用語でいいますと」、「自己加害の防止」であり、「これパターナリスティックな制約といいます。」「で、自己加害に対して国家が公権力として介入するのは原則許されないわけですね、これは法律論として。」

 しかし、「未成年の人格的自立の助長や促進というものに関しては、限定的だけれどもこのパターナリスティックな制約は認められるであろうという、これが一つの法律の議論なんです。」

(出典 参議院内閣委員会会議録平成17年5月19日)

 

1 文明社会の成員に対し、彼の意志に反し、正当に権力を行使しうるのは、他人に対する危害の防止を目的とする場合である。

2 日本国憲法がよって立つところの個人の尊重という思想は、相互の人格が尊重され、不当な干渉から自我が保護されることによってはじめて確実なものとなる。

3 人の人生設計全般にわたる包括的ないし設計的な自律権の立場から、人の生と死についてのそのときどきの不可逆的な決定について、例外的に制約することは認められる。

4 その人間がどういう将来を選びたいと考えるかよりも、その人間がどういう将来性を有しているかという観点を優先するのは、憲法の「個人の尊重」原理の要請である。

5 生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする

 

解法テクニック
 本問は、例えば、心身の成長途上にある未成年者は健全な成長のために、いわば父親(pater)が子どもに干渉するようなやり方で、国家が成人するまで喫煙や飲酒を禁止すべきとする「パターナリスティックな制約(自己加害の防止)」に関しての見解です。見解の趣旨は、「自己加害」は原則自由であるため、これに対して国家の介入は原則として許されないというものです。この見解の趣旨を前提として、この趣旨と明白に対立する見解を述べた肢を選ぶという問題です。
 以上を踏まえて各肢を検討していきましょう。

 

1 明白に対立する見解ではない。国家権力の行使が「他人に対する危害の防止を目的とする」ことは、「自己加害は原則自由である」ことと明白に対立する見解とはいえません。

2 明白に対立する見解ではない。「相互の人格が尊重され、不当な干渉から自我が保護される」という本肢の記述は、「自己加害は原則自由である」ことと合致する見解です。

3 明白に対立する見解ではない。本問における発言の中は「未成年の人格的自立の助長や促進というものに関しては、限定的だけれどもこのパターナリスティックな制約は認められるであろう」としています。このことは、本肢の「人の生と死についてのそのときどきの不可逆的な決定について、例外的に制約することは認められる」とする部分と合致するものです。

4 明白に対立する見解である。「自己加害は原則自由で、国家が介入することは原則として許されない」ということであれば、「その人間がどういう将来を選びたいと考えるか」ということが優先されるはずです。このことから、本問の発言の趣旨に明白に対立する見解であるといえます。

5 明白に対立する見解ではない。「自由及び幸福追求に対する国民の権利について・・・国政の上で、最大の尊重を必要とする」ということは、「自己加害は原則自由」とする発言の趣旨に反するものではありません。

 

 

私人間における人権規定の効力に関する次の記述のうち、最高裁判所の判例の述べるところはどれか。

 

1 憲法の定める基本的人権のうち重要なものは、単に国家権力に対する自由権を保障するのみではなく、社会生活の秩序原理でもある。これは、一定の範囲において、国民相互の法律関係に対して直接の意味を有する。

2 人の思想、信条は身体と同様本来自由であるべきものであり、その自由は憲法19条の保障するところでもあるから、企業が労働者を雇用する場合等、一方が他方より優越した地位にある場合に、その意に反してみだりにこれを侵してはならないことは明白である。

3 日本国憲法は価値中立的な秩序ではなく、その基本的人権の章において客観的な価値秩序を定立している。この価値体系は、憲法上の基本決定として、法のすべての領域で通用する。いかなる民法上の規定もこの価値体系と矛盾してはならず、あらゆる規定はこの価値体系の精神において解釈されなければならない。

4 私人による差別的行為であっても、それが公権力との重要な関わり合いの下で生じた場合や、その私人が国の行為に準じるような高度に公的な機能を行使している場合には、法の下の平等を定める憲法14条が直接に適用される。

5 憲法19条、21条、23条等のいわゆる自由権的基本権の保障規定は、国又は公共団体の統治行動に対して個人の基本的な自由と平等を保障することを目的とした規定であって、専ら国又は公共団体と個人との関係を規律するものであり、私人相互間の関係について当然に適用ないし類推適用されるものでない。

 

試験ワンポイント
 最高裁判所は、私法上の法律関係については、「間接適用説」を採用していますので、「直接適用説」について触れている肢は正解ではありません

1 最高裁判所の述べるところではない。本肢は、「国民相互の法律関係に対して直接の意味を有する」とする直接適用説の見解をとっています。

2 最高裁判所の述べるところではない。本肢は、「その意に反してみだりにこれを侵してはならないことは明白である」とする直接適用説の見解をとっています。

3 最高裁判所の述べるところではない。「法のすべての領域で通用する」とする直接適用説の見解をとっています。

4 最高裁判所の述べるところではない。「憲法14条が直接に適用される」とする直接適用説の見解をとっています。

5 最高裁判所の述べるところである。最高裁判所は、人権規定の私人間適用について間接適用説の立場に立っています(三菱樹脂事件。最大判昭48・12・12)。

 

 

次の文章は、平等原則について、先例として引用されることの多い最高裁判所判決の一部である。文中の空欄 ア ~ エ にあてはまる語句の組合せとして、正しいものはどれか。

 

 思うに、憲法14条1項及び地方公務員法13条にいう社会的身分とは、人が社会において占める継続的な地位をいうものと解されるから、高令(齢)であるということは右の社会的身分に当らないとの原審の判断は相当と思われるが、右各法条は、国民に対し、法の下の平等を保障したものであり、右各法条に列挙された事由は ア なものであって、必ずしもそれに限るものではないと解するのが相当であるから、原判決が、高令(齢)であることは社会的身分に当らないとの一事により、たやすく上告の・・・・・主張を排斥したのは、必ずしも十分に意を尽したものとはいえない。しかし、右各法条は、国民に対し イ な平等を保障したものではなく、差別すべき ウ  な理由なくして差別することを禁止している趣旨と解すべきであるから、 エ に即応して ウ と認められる差別的取扱をすることは、なんら右各法条の否定するところではない。

              (最大判昭和39年5月27日民集18巻4号676頁以下)

 

    ア     イ     ウ      エ

1 具体的  形式的  客観的  事柄の性質

2 例示的  絶対的  合理的  公共の福祉

3 例示的  相対的  合理的  事柄の性質

4 具体的  一般的  実質的  公共の福祉

5 例示的  絶対的  合理的  事柄の性質

 

験ワンポイント
 本問は、法の下の平等に関して述べた最高裁判所判例ですが、法の下の平等についての基本的な知識があれば解答ができる問題です。

 まず、アには「例示的」が入ります。アの後に「必ずしもそれに限るものではない」とあるためです。

 イには「絶対的」が、ウには「合理的」がそれぞれ入ります。「国民に対し イ な平等を保障したものではなく、」とあるので、語群を確認すると「絶対的」が一番適切といえます。「差別すべき ウ な理由なくして差別することを禁止している」とありますので、「実質的」「合理的」と比較すると、後者が適切です。

 エには「事柄の性質」が入ります。選択肢2及び4の「公共の福祉」は基本的人権を制約するものであり、「 エ に即応して合理的と認められる差別的取扱をすること」に当てはめても文意が通らないため、残った「事柄の性質」が入ります。

 

 解法テクニック
 本問は、正解の語句の組合せ問題ですので、実際に語句を挿入して、前後の文章との繋がりがいい組合せが正解となります。なお、本問のような形式では、例えば肢4の「一般的」という語句は、他のイの正解例になっていませんので、肢4自体が正解となる確率は非常に低くなります。肢4以外の組合せの語句を優先的に問題文に挿入して確認するようにしましょう。

 

次の文章は、ある最高裁判所判決の一節である。空欄 ア ~ エ に当てはまる語句を、枠内の選択肢(1~20)から選びなさい。

 

 「公職選挙法の制定又はその改正により具体的に決定された選挙区割と議員定数の配分の下における選挙人の投票の有する ア に不平等が存し、あるいはその後の イ の異動により右のような不平等が生じ、それが国会において通常考慮し得る諸般の要素をしんしやくしてもなお、一般に ウ 性を有するものとは考えられない程度に達しているときは、右のような不平等は、もはや国会の ウ 的裁量の限界を超えているものと推定され、これを正当化すべき特別の理由が示されない限り、憲法違反と判断されざるを得ないものというべきである。

 もっとも、制定又は改正の当時合憲であった議員定数配分規定の下における選挙区間の議員一人当たりの選挙人数又は イ (この両者はおおむね比例するものとみて妨げない。)の較差がその後の イ の異動によって拡大し、憲法の選挙権の平等の要求に反する程度に至つた場合には、そのことによって直ちに当該議員定数配分規定が憲法に違反するとすべきものではなく、憲法上要求される ウ 的 エ 内の是正が行われないとき初めて右規定が憲法に違反するものというべきである。」

                       (最大判昭和60年7月17日民集39巻5号1100頁以下)

[語群]

  • 1 羈束
  • 2 数量
  • 3 地域
  • 4 人事
  • 5 権力
  • 6 価値
  • 7 人工
  • 8 結果
  • 9 票決
  • 10 厳格
  • 11 期間
  • 12 効果
  • 13 機関
  • 14 囲繞
  • 15 合理
  • 16 関連
  • 17 人口
  • 18 明確
  • 19 要件
  • 20 秩序
試験ワンポイント
 本問で取り扱われているのは、昭和58年12月の衆議院議員選挙について、衆議院議員定数配分規定の合憲性、選挙の無効が争われた事件における最高裁判所の判決です(最大判昭60・7・17)。
 本判例を知らなくても、法の下の平等の議員定数不均衡を学習する際に登場する「投票価値の平等」などの用語について基本的な知識があれば解答できる問題です

 

 アには、「選挙人の投票の有する ア に不平等が存し・・・憲法違反と判断され」るということから、「6 価値」が入ります。

 イには、「議員一人当たりの選挙人数又はイの較差がその後のイの異動によって拡大」とういうことから、「17 人口」が適切です。

 ウとエには、「直ちに・・・違反するとすべきものではなく、憲法上要求される ウ 的 エ 内の是正が行われないとき初めて右規定が憲法に違反する」ということから、何らかの「期間」に関する語句が入りそうであり、そうすると「合理的期間」が思い浮かぶため、ウには「15 合理」、エには「11 期間」が入ります。

 

 

 次の文章は、ある最高裁判所判決の意見の一節である。空欄 ア ~ ウ に入る語句の組合せとして、正しいものはどれか。

 

 一般に、立法府が違憲な ア 状態を続けているとき、その解消は第一次的に立法府の手に委ねられるべきであって、とりわけ本件におけるように、問題が、その性質上本来立法府の広範な裁量に委ねられるべき国籍取得の要件と手続に関するものであり、かつ、問題となる違憲が イ 原則違反であるような場合には、司法権がその ア に介入し得る余地は極めて限られているということ自体は否定できない。しかし、立法府が既に一定の立法政策に立った判断を下しており、また、その判断が示している基本的な方向に沿って考えるならば、未だ具体的な立法がされていない部分においても合理的な選択の余地は極めて限られていると考えられる場合において、著しく不合理な差別を受けている者を個別的な訴訟の範囲内で救済するために、立法府が既に示している基本的判断に抵触しない範囲で、司法権が現行法の合理的 ウ 解釈により違憲状態の解消を目指すことは、全く許されないことではないと考える。

    (最大判平成20年6月4日民集62巻6号1367頁以下における藤田宙靖意見)

 

   ア      イ         ウ

1 不作為   比例        限定

2 作為     比例         限定

3 不作為   相互主義      有権

4 作為     法の下の平等   拡張

5 不作為   法の下の平等   拡張

 

解法テクニック
 本問は、国籍法違憲訴訟(最大判平20・6・4)の藤田宙靖裁判官意見を題材にしたものですが、空欄の前後の言い回しにより正解を導くその場で考えさせる問題です
 本問では、アイウに入るべき語句のうち、イの相互主義やウの有権は一つしかありませんので、この時点で肢3が正解になる可能性は低くなります
 あとは、アイウに入るべき語句は、すべて2択となりますので、どちらがよいかを比較して実際に問題文に挿入して正解を出すのが効率的です。

 

ア には「作為」又は「不作為」が入りますが、問題文後半に「未だ具体的な立法がされていない部分においても合理的な選択の余地は極めて限られている」とあるため、「不作為」が入ります。

イ には「比例」又は「法の下の平等」が入りますが、問題文に「著しく不合理な差別を受けている者を個別的な訴訟の範囲内で救済するため」とあるため、「法の下の平等」が入ります。

ウ には「限定」又は「拡張」が入りますが、問題文後半に「具体的な立法がされていない部分においても合理的な選択の余地は極めて限られていると考えられる場合において、・・・・・司法権が現行法の合理的 ウ 解釈により違憲状態の解消を目指す」とあるため、「拡張」が入ります。

 以上により5が正解となります。

 

 

投票価値の平等に関する次の記述のうち、判例に照らし、妥当なものはどれか。

 

1 議員定数配分規定は、その性質上不可分の一体をなすものと解すべきであり、憲法に違反する不平等を生ぜしめている部分のみならず、全体として違憲の瑕疵を帯びるものと解すべきである。

2 投票価値の不平等が、国会の合理的裁量の範囲を超えると判断される場合には、選挙は違憲・違法となるが、不均衡の是正のために国会に認められる合理的是正期間を経過していなければ、事情判決の法理により選挙を有効とすることも許される。

3 衆議院議員選挙については、的確に民意を反映する要請が強く働くので、議員1人当たりの人口が平等に保たれることが重視されるべきであり、国会がそれ以外の要素を考慮することは許されない。

4 参議院議員選挙区選挙は、参議院に第二院としての独自性を発揮させることを期待して、参議院議員に都道府県代表としての地位を付与したものであるから、かかる仕組みのもとでは投票価値の平等の要求は譲歩・後退を免れない。

5 地方公共団体の議会の議員の定数配分については、地方自治の本旨にもとづき各地方公共団体が地方の実情に応じ条例で定めることができるので、人口比例が基本的な基準として適用されるわけではない。

 

1 妥当である。判例は、議員定数配分規定について、「その意味において不可分の一体をなすと考えられるから、右配分規定は、単に憲法に違反する不平等を招来している部分のみでなく、全体として違憲の瑕疵を帯びるものと解すべきである。」と判示しています(衆議院議員定数違憲判決。最大判昭51・4・14)。

2 妥当でない。判例は、合理的期間内における是正が憲法上要求されているにもかかわらず、それが行われない場合に初めて憲法違反となるとしており、「投票価値の不平等が、国会の合理的裁量の範囲を超えると判断される場合には、選挙は違憲・違法となる」という判断はしていません(衆議院議員定数違憲判決。最大判昭51・4・14など)。さらに事情判決の法理により選挙を有効とするのは、当該選挙が違憲・違法であることを前提としなければならないので、この点においても妥当ではありません。

3 妥当でない。判例は、「憲法は、前記投票価値の平等についても、これをそれらの選挙制度の決定について国会が考慮すべき唯一絶対の基準としているわけではなく、国会は、衆議院及び参議院それぞれについて他にしんしやくすることのできる事項をも考慮して、公正かつ効果的な代表という目標を実現するために適切な選挙制度を具体的に決定することができる」と判示しています(衆議院議員定数違憲判決。最大判昭51・4・14)。本肢のように「国会がそれ以外の要素を考慮することは許されない」わけではありません。

4 妥当でない。判例は、「参議院議員の選挙であること自体から、直ちに投票価値の平等の要請が後退してよいと解すべき理由は見いだし難い。」と判示しています(参議院議員定数不均衡訴訟。最大判平24・10・17)。したがって、「かかる仕組みのもとでは投票価値の平等の要求は譲歩・後退を免れない」とする本肢は妥当ではありません。

5 妥当でない。判例は「地方公共団体の議会の議員の定数配分につき、人口比例を最も重要かつ基本的な基準とし、各選挙人の投票価値が平等であるべきことを強く要求していることが明らかである。」と判示しています(地方議会議員定数不均衡訴訟。最判昭59・5・17)。したがって、「人口比例が基本的な基準として適用されるわけではない。」とする本肢は妥当ではありません。

 

AI復習問題の結果は、51問中、43問正解でした。

 

2月29日現在

終了レッスン数:383

総学習時間:79時間1320