こんにちは、おっさんです。

おっさんは、前にもお話しした通りの

肥満体系ですから、ダイエットにも

体にもいいと思う酒を減らすぞキャンペーンを

始めることにしました。

これまでも毎晩だった晩酌を

月曜日~水曜日を禁酒

木曜日~日曜日に解禁していましたが

木曜日、金曜日、日曜日をノンアルコールビールの日、

土曜日解禁と決めました。

行政書士試験とあわせて頑張ります!!

 

1 同時履行の抗弁権
(1) 抗弁権の意味

 抗弁権とは、契約関係など一定の法律関係にある当事者の一方が、「相手方の請求を拒絶することができる権利」です。
 
 例えば、保証人(普通保証)には、民法の規定により「催告の抗弁権」と「検索の抗弁権」が認められており、これらの抗弁権を行使することにより、債権者からの弁済請求を拒むことができます(452条、453条)。
 一方、売買契約など「双務契約」の効力として、当事者の双方に認められる抗弁権が「同時履行の抗弁権です(533条)。

(2) 同時履行の抗弁権
 双務契約の当事者の一方は、相手方がその債務の履行(債務の履行に代わる損害賠償の債務の履行を含みます。)を提供するまでは、自己の債務の履行を拒むことができ、これを「同時履行の抗弁権といいます(533条本文)。
 これは「公平の原則」に基づくもので、例えば、売買契約において、売主は、代金の支払を受けるまで目的物の引渡しを拒むことができ、買主も、目的物の引渡しを受けるまで代金の支払を拒絶することができます。

同時履行の抗弁権が認められる場合

契約が解除された場合の当事者双方の原状回復義務(546条)
弁済の受領と受取証書の交付(486条)。
契約の無効・取消しによる当事者双方の原状回復(121条の2、最判昭28・6・16、最判昭47・9・7)。
不動産売買契約における代金支払義務と登記移転義務(大判大7・8・14)。

同時履行の抗弁権が認められない場合

①賃貸借契約における賃借権設定登記と賃料支払義務(最判昭43・11・28)。
②抵当権の被担保債権の弁済と抵当権抹消(最判昭57・1・19)。
③譲渡担保の被担保債権の弁済と譲渡担保の目的物の返還義務(最判平6・9・8)。
建物賃貸借契約終了に伴う賃借人の建物明渡し債務と賃貸人の敷金返還債務(最判昭49・9・2、622条の2第1項1号)。
⑤借地借家法に規定する造作買取請求権を行使した場合の建物の引渡しと造作代金の支払い(最判昭29・7・22)。
 

ポイント
「先払い」や「先履行」の規定や特約がある場合など、相手方の債務が弁済期にないときは、同時履行の抗弁権は認められません(533条ただし書)。
債権譲渡や債務引受がなされても、債務の同一性が失われない限り、同時履行の抗弁権は存続します

(3) 同時履行の抗弁権行使の効果
 請求を受けた当事者の一方に同時履行の抗弁権が認められるときは、その当事者が債務者であって履行期を徒過した場合でも、履行遅滞による損害賠償義務を生じません(大判大14・10・29)。
 また、相手方(債権者)は、反対給付の履行をして債務者の抗弁権を失わせない限り、履行遅滞を理由とする契約解除もできません(最判昭29・7・27)。
 なお、双務契約の当事者の一方は、相手方から履行の提供があっても、その提供が継続されない限り、同時履行の抗弁権を失いません(最判昭34・5・14)。

 

相手に同時履行の抗弁権を主張したいなら自分のやるべきことを先にやりなさいということ

ポイント
 裁判上、被告から同時履行の抗弁権が主張された場合、裁判所は、原告の請求を棄却するのではなく、被告に対して原告の給付と引き換えに給付すべき旨を命ずる判決(引換給付判決)をなすべきとされています(大判明44・12・11)。

<事例>
 売主Aは、買主Bが売買代金を支払わないため、その支払を求める訴えを裁判所に提起しました。当該裁判において、Bが適法に同時履行の抗弁権を主張した場合、裁判所は、どのような判決を下すべきでしょうか?
<答え>
 裁判上、被告Bから同時履行の抗弁権が主張された場合、裁判所は、原告Aの請求を棄却するのではなく、被告Bに対して原告の給付と引き換えに給付すべき旨を命ずる判決(引換給付判決)をなすべきとされています(大判明44・12・11)。

2 危険負担
(1) 危険負担の意味

 危険負担とは、双務契約において、一方の債務が当事者双方の責めに帰することができない事由によって、履行できなくなった場合(履行不能)に、債権者が反対債権の履行を拒むことができるかということを意味します。
 なお、履行不能は、契約成立前にすでに不能であった(原始的不能)のか、契約成立後に不能となった(後発的不能)のかを問いません

(2) 債務者の危険負担
 当事者双方に帰責事由なく債務を履行することができなくなったときは、債権者は、反対給付の履行を拒むことができます債務者主義。536条1項)。
 例えば、Aが所有する甲建物をBに売却する契約を締結した後において、甲建物が台風により(A・Bの帰責事由なくして)滅失したときは、Bは、当該契約を解除することができ(542条1項1号)、代金支払債務を免れることができます。一方、解除権を行使しなくても危険負担の規定(536条1項)に基づいて売買代金の履行請求を拒絶することができます。これは、解除権の行使先であるAの所在が不明である場合などのときに意義があります。

 債権者の帰責事由によって債務を履行することができなくなったときは、債権者は、反対給付の履行を拒むことができません(536条2項前段)。
 また、債権者が債務の履行を受けることを拒み、又は受けることができない場合において、履行の提供があった時以後に当事者双方の帰責事由によらずにその債務の履行が不能となったときは、その履行の不能は、債権者の帰責事由とみなされるので、債権者は、反対債務の履行を拒絶することができません(413条の2第2項)。
 上記の場合において、債務者は、自己の債務を免れたことによって利益を得たときは、これを債権者に償還しなければなりません(536条2項後段)。

3 第三者のためにする契約
(1) 第三者のためにする契約の意味

 第三者のためにする契約」とは、契約当事者の一方(「諾約者」といいます)が第三者に対してある給付をすることを相手方(「要約者」といいます)に約し、第三者(受益者)に直接権利を取得させるとした契約です(537条1項)。
 例えば、Aが所有する甲土地をBに売却するという売買契約において、その代金はCに支払うというケースです。

 第三者に取得させる権利は、代金請求権など「債権」に限らず、所有権など「物権」でも構いません(大判昭5・10・2)。
 また、第三者は、個人か法人かを問わず、契約当時に現存していることも要しません。
 したがって、例えば、出生前の胎児を第三者とする契約も有効です(最判昭37・6・26)。
 なお、第三者のためにする契約は、その成立の時に第三者が現に存しない場合又は第三者が特定していない場合であっても、そのためにその効力を妨げられません(537条2項)。

(2) 第三者のためにする契約の効果
 第三者のためにする契約がなされた場合において、当該第三者の権利は、当該第三者が債務者(諾約者)に対して、その契約の利益を享受する意思を表示した時に発生します受益の意思表示。537条3項)。
 そして、これにより第三者の権利が発生した後は、当事者は、これを変更し、又は消滅させることができません(538条1項)。

 ただし、第三者(受益者)保護のため、第三者(受益者)の権利が発生した後に、債務者(諾約者)がその第三者(受益者)に対する債務を履行しない場合には、第三者のためにする契約の相手方(要約者)は、その第三者(受益者)の承諾を得なければ、契約を解除することができません(538条2項)。

 そして、第三者(受益者)の権利が発生した後は、第三者(受益者)が直接債務者(諾約者)に履行を請求することができ、債務者(諾約者)は、直接第三者(受益者)に履行する義務を負いますが、債務者(諾約者)は、債権者(要約者)に対する抗弁をもって、第三者(受益者)に対抗することができます(539条)。
 

ここまでで確認テストをしました。

結果は、9問中、9問正解でした。

 

1 贈与
(1) 贈与契約の意味

 贈与契約は、当事者の一方(贈与者)がある財産を無償で相手方(受贈者)に与える意思を表示し、相手方が受諾をすることによって効力を生じる「諾成・片務・無償」の契約です(549条)。

(2) 贈与の解除
 「契約の拘束力」により、いったん契約が有効に成立したからには、当事者の一方から「申込み」や「承諾」といった意思表示を解消することはできません
 ただし、契約書など「書面によらない贈与」は、すでに履行が終わった部分を除き、各当事者が解除することができます(550条)。
 

ポイント
 書面によらない不動産の贈与契約においては、所有権移転登記又は不動産の引渡しのいずれかがなされれば履行は終わったものとされ、当該契約を解除することはできません(最判昭40・3・26、大判明43・10・10)。

<事例①>
 Aは、書面によらず甲土地をBに贈与する旨の契約を締結し、甲土地に対してB名義の所有権移転登記は行ったものの、未だ引渡しを終えていません。この場合、Aは「書面によらない贈与」として、Bとの契約を解除することができるのでしょうか?
<答え>
 書面によらない不動産の贈与契約においては、所有権移転登記又は不動産の引渡しのいずれかがなされれば履行は終わったものとされ、Aは、当該契約を解除することができません(最判昭40・3・26、大判明43・10・10)。

(3) 贈与者の引渡義務等
 贈与者は、物・権利に関して契約の内容に適合したものを移転する義務があります。
 ただし、民法は、贈与契約が無償契約であるということを配慮し、贈与者は、贈与の目的である物又は権利を、贈与の目的として特定した時の状態で引き渡し、又は移転することを約したものと推定するとする規定を設けています(551条1項)。
 例えば、特定物である中古自動車を贈与する契約をした場合、契約時において、すでにその自動車に不具合があっても、その不具合のある状態で引き渡すことが当該契約の内容と推定されるため、不具合が存在している状態で引き渡せばよく、契約不適合による損害賠償責任などは負わなくてもよいこととされます。

(4) 特殊な贈与
定期贈与
 定期贈与とは、「仕送り」など、毎年又は毎月、繰り返し一定の金銭や物品を給付することを内容とした贈与契約です。
 定期贈与は、期限の定めの有無にかかわらず、贈与者又は受贈者(一方)の死亡によって、その効力を失います(552条、大判大6・11・5)。

負担付贈与
 例えば、住宅ローンが残っている甲建物を贈与し、以後の返済債務を受贈者に負担させる場合のように、受贈者にも一定の給付債務を負担させる贈与契約を「負担付贈与」といいます。
 負担付贈与については、その性質に反しない限り、売買など双務契約に関する規定が準用されるほか、負担付贈与の贈与者は、その負担の限度において、売主と同じく担保責任を負うものとされます(553条、551条2項)。

死因贈与
 死因贈与とは、生前、「自分が死んだら、甲土地を贈与する」と契約しておくなど、贈与者の死亡によって効力を生じるとした贈与契約です
 一方的な意思表示(単独行為)である「遺言による無償譲与(遺贈)」とは異なりますが、死因贈与については、その性質に反しない限り、遺贈に関する規定が準用されます(554条。985条など)。

死因贈与の方式については、遺贈の規定の準用はありません(最判昭32・5・21)。

2 売買
(1) 売買契約の意味

 売買契約は、当事者の一方(売主)が、ある財産権を相手方(買主)に移転することを約し、相手方が、これに対してその代金を支払うことを約することによって効力を生じる「諾成・双務・有償」の契約です(555条)。
 なお、売買以外の有償契約についても、売買契約の規定が準用されます(559条本文)。

ポイント
 契約書作成費など、売買契約に関する費用は、当事者双方が等しい割合で負担します(558条)。

(2) 手付
手付の意味
 手付とは、売買契約の締結に際して買主から売主に交付される金銭等を意味します(557条1項)。
 手付には、次の3種類があるとされていますが、売買当事者において、特別の意思表示がない限り、解約手付と推定されます(最判昭29・1・21)。

■手付の種類

証約手付:売買契約成立の証として交付される手付
解約手付相手方が履行に着手するまでは、特別の理由がなくても、一方から契約を解除できるという趣旨で交付される手付
違約手付:債務不履行となった場合の損害賠償の予定又は違約罰として交付される手付

解約手付
 買主が売主に解約手付を交付したときは、当事者の一方(相手方)が契約の履行に着手するまでは、「買主」はその手付を放棄し、他方、「売主」はその倍額を現実に提供して、契約の解除をすることができます(557条1項本文)。
 ただし、その相手方が契約の履行に着手した後は、解約手付による契約の解除ができません(557条1項ただし書)。

 例えば、Aが、その所有する甲土地を1,000万円でBに売却した場合に、Bが、手付として100万円をAに交付したとします。この場合、Bは、Aが契約の履行に着手するまでは、100万円を放棄して当該売買契約を解除することができ、他方、Aも、Bが契約の履行に着手するまでは、Bに200万円を現実に提供して当該売買契約を解除することができます。

 なお、解約手付による契約解除は「相手方が契約の履行に着手した後」はできませんが、この「履行に着手」とは、「客観的に外部から認識し得るような形で履行行為の一部をなし、又は履行の提供をするために欠くことのできない前提行為をした場合を指す」とされています(最大判昭40・11・24)。

 また、「履行の着手」は「相手方」で判断されるため、自己が履行に着手しても、相手方が履行に着手するまでは、この規定による契約解除をすることができます(557条1項ただし書)。

 解約手付による契約解除がなされた場合相手方に損害賠償請求することはできません(557条2項)。

<事例②>
 Aは、その所有する甲土地を1,000万円でBに売却し、Bは、解約手付として100万円をAに交付しました。この場合、その後甲土地に対してBが所有権移転登記を受けたときは、Bは、手付を放棄して当該売買契約を解除できるのでしょうか?
<答え>
 解約手付を交付した買主が、その手付を放棄して売買契約を解除は、「その相手方が契約の履行に着手した後」はできません(557条1項ただし書)。そして、「登記の移転」は、「履行の着手」に該当します。したがって、Bは、手付けを放棄することにより当該売買契約を解除することはできません。

(3) 売買代金の支払い
 売買代金の支払時期について、別段の定めがない場合には、売買目的物の引渡しと同時履行の関係とされ、目的物の引渡しについて期限があるときは、代金の支払についても同一の期限が付されたものと推定されます同時履行の抗弁権。573条)。
 また、売買目的物の引渡しと同時に代金を支払うべきときは、原則として、その引渡し場所において、代金を支払うものとされています(574条)。

(4) 売買の効力
売主の義務
 売主は、契約内容に適合する財産権を買主に移転する義務を負います財産権移転義務)。

 引き渡すべき目的物については、その種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合するものを買主に引き渡さなければなりません(555条、562条)。

 そして、売主は、買主に対し、登記、登録その他の売買の目的である権利の移転についての対抗要件を備えさせる義務を負います(560条)。

 上記の義務を履行しない場合には、債務不履行責任を負うことになりますが、売買では、これに加えて特則が設けられています(売主の担保責任)。

他人の権利の売買における売主の義務
 売買契約においては、他人の権利を売買の目的とすることも可能です(他人物売買も有効です。)

 ただし、他人の権利(権利の一部が他人に属する場合におけるその権利の一部を含みます。)を売買の目的としたときは、売主は、その権利を取得して買主に移転する義務を負います(561条)。

 権利の全部が他人に属していて、売主が当該他人の権利を取得して、買主に移転できない場合には、債務不履行責任を負い買主は売買契約を解除することができ(541条、542条1項1号)、さらに売主に帰責事由があるときは、買主は売主に対して損害賠償請求ができます(415条)。※全部他人物

 一方、権利の一部が他人に属しているなど、売主が買主に移転した権利が契約の内容に適合しないものである場合には、不完全履行として、債務不履行責任の他に、売買の特則である売主の担保責任の規定の適用があります(565条)。なお、売主の担保責任については、以下で説明します。

(5) 目的物の担保責任(契約不適合責任)
追完請求権
 引き渡された目的物が①種類、②品質又は③数量に関して契約の内容に適合しないもの(契約不適合)であるときは、買主は、売主に対し、目的物の修補、代替物の引渡し又は不足分の引渡しによる履行の追完を請求することができます(562条1項本文)。

 ただし、売主は、買主に不相当な負担を課するものでないときは、買主が請求した方法と異なる方法による履行の追完をすることができます(562条1項ただし書)。

種類の契約不適合とは、例えば、麦100キログラムを注文したにもかかわらず米100キログラムを引き渡してしまったように、不特定物の売買において、異なる種類の物が引き渡された場合のことです。

品質の契約不適合とは、例えば、購入した木造住宅がシロアリに食われていて、その柱がボロボロになっていたとか、購入したマンションの居室に日が当たらないなどのような、物理的瑕疵・環境的瑕疵などのことです。

数量の契約不適合とは、例えば、1坪10万円で、100坪の土地を1,000万円で購入するという契約をした場合において、引き渡された土地は90坪しかなかったように、一定の数量の存在がその対価を決定する基礎となっている契約のことです。

ポイント
 買主の追完請求権は、売買の目的物が、特定物・種類物を問わず、また、売主の帰責事由の有無を問わず、行使することができます

 なお、上記の不適合が買主の帰責事由によるものであるときは、買主は、履行の追完の請求をすることができません(562条2項)。

代金減額請求権
 引き渡された目的物が①種類、②品質又は③数量に関して契約の内容に適合しないもの(契約不適合)である場合において、買主が相当の期間を定めて履行の追完の催告をし、その期間内に履行の追完がないときは、買主は、その不適合の程度に応じて代金の減額を請求することができます(563条1項)。

■直ちに代金減額請求ができる場合

履行の追完が不能であるとき
売主が履行の追完を拒絶する意思を明確に表示したとき
契約の性質又は当事者の意思表示により、特定の日時又は一定の期間内に履行をしなければ契約をした目的を達することができない場合において、売主が履行の追完をしないでその時期を経過したとき
④①~③に掲げる場合のほか、買主が催告をしても履行の追完を受ける見込みがないことが明らかであるとき。

 なお、上記の不適合が買主の帰責事由によるものであるときは、買主は、代金の減額の請求をすることができません(563条3項)。

 追完請求権や代金減額請求権を行使をしても、損害賠償の請求並びに売買契約の解除権の行使を妨げるものではありません(564条)。

(6) 権利の担保責任(契約不適合責任)
 売主が買主に移転した権利が契約の内容に適合しないもの(契約不適合)である場合(権利の一部が他人に属する場合においてその権利の一部を移転しないときを含みます。)について、買主は、損害賠償請求権・契約の解除権(564条)、追完請求権(562条)及び代金減額請求権(563条)を行使することができます(565条)。

 権利の契約不適合とは、例えば、売買の目的物に地上権・地役権・質権などの占有を妨げる権利が存在していたとか、購入した土地の一部が他人の所有であり、権利の一部が買主に移転できないなどの場合です。

 なお、買い受けた不動産について契約の内容に適合しない先取特権、質権又は抵当権が存していた場合において、買主が費用を支出してその不動産の所有権を保存したときは、買主は、売主に対し、その費用の償還を請求することができます(570条)。

(7) 担保責任の期間制限
 売主が①種類又は②品質に関して契約の内容に適合しない目的物を買主に引き渡した場合において、買主がその不適合を知った時から1年以内にその旨を売主に通知しないときは、買主は、その不適合を理由として、履行の追完の請求、代金の減額の請求、損害賠償の請求及び契約の解除をすることができません(566条本文)。
 ただし、売主が引渡しの時にその不適合を知り、又は重大な過失によって知らなかったとき(悪意又は重過失)は、上記の期間制限は生じません(566条ただし書)。

 なお、消滅時効の一般原則である買主が不適合を知った時から5年又は目的物の引渡時から10年も適用されます(166条1項)。
 

ポイント
 担保責任の期間制限があるのは、①種類又は②品質に関する不適合であり、判断がしやすい③数量及び権利に関する不適合は含まれません(この場合には、消滅時効の一般原則の規定が適用されます(166条1項))。

(8) 目的物の滅失等についての危険の移転
 売主が買主に目的物(売買の目的として特定したものに限ります)を引き渡した場合において、その引渡しがあった時以後にその目的物が当事者双方の帰責事由によらないで滅失し、又は損傷したときは、買主は、その滅失又は損傷を理由として、履行の追完の請求、代金の減額の請求、損害賠償の請求及び契約の解除をすることができず、買主は、代金の支払を拒むことができません(567条1項)。

 買主に危険が移転するのは、当事者双方の帰責事由によらない場合ですので、売主の帰責事由による場合は、買主に危険は移転せず、契約不適合に基づく権利の行使が可能となります

(9) 競売における担保責任等
 民事執行法などに基づく競売も、財産権の移転や代金の支払いなど売買に類似しているため、競売で買い受けた目的物の数量・権利に関して不適合がある場合、前記の契約不適合の一部規定が適用され、債務者に対し、契約の解除をし、又は代金の減額を請求することができます(568条1項)。

 また、上記の請求をした場合において、債務者が無資力であるときは、買受人は、代金の配当を受けた債権者に対し、その代金の全部又は一部の返還を請求することができます(568条2項)。

 さらに、債務者が物若しくは権利の不存在を知りながら申し出なかったとき、又は債権者がこれを知りながら競売を請求したときは、買受人は、これらの者に対し、損害賠償の請求をすることができます(568条3項)。

 競売で買い受けた目的物に種類又は品質に関する不適合があっても、買主は権利を行使できません(568条4項)。

(10) 担保責任を負わない旨の特約
 契約不適合に基づく売主の担保責任についての規定は、任意規定であるため、担保の責任を負わない旨の特約も有効です
 ただし、担保責任を負わない旨の特約をしたときであっても、知りながら告げなかった事実及び自ら第三者のために設定し又は第三者に譲り渡した権利については、その責任を免れることができません(572条)。

(11) 買戻し
買戻しの意味
 「買戻し」とは、売買契約の売主が、特約により、後日売買目的物を取り戻すことを意味します
 例えば、Aが、その所有する甲土地をBに売却する際に「買戻しの特約」をしておき、後日、Aが買戻権を行使して、甲土地を取り戻すケースです。

 買戻しの目的物は、動産か不動産かを問いませんが、民法では、不動産の買戻しについてのみ規定しています(579条)。
 
 「買戻し」は、代金を「貸金」と見立てて、「不動産を担保としてお金を借り、返済すれば不動産を取り戻すことができる」という、担保目的で利用することもできます。


買戻しの特約
 不動産の売主は、売買契約と同時にした買戻しの特約により、買主が支払った代金(別段の合意をした場合にあっては、その合意により定めた金額)及び契約費用を返還して、売買の解除をすることができます解除権留保付売買。579条)。
 

買戻しの期間は10年を超えることができず、特約でこれより長い期間を定めたときは、その期間は10年とされます(580条1項)。
 なお、特約がない限り、不動産の果実と代金の利息とは相殺したものとみなされ、買戻権を行使する売主に対して、買主は利息を請求することができません(579条)。
 

■買戻しの特約

特約の時期買戻し特約は、売買契約と同時にしなければならない。
特約事項:①代金と契約費用を返還すれば買戻しができる旨、②買戻期間(任意)
買戻期間10年を超えることができず、特約でこれより長い期間を定めたときは、その期間は10年とされる
 
 買戻期間は、後日伸長することはできず、買戻期間を定めなかったときは、5年以内に買戻しをしなければなりません580条2項、3項)。


買戻しの特約の対抗要件
 売主が、売買契約による所有権移転の登記と同時に買戻しの特約を登記したときは、買戻し(特約)は、第三者にも対抗することができます(581条1項)。

 例えば、Aが、その所有する甲土地をBに買戻しの特約付で売却した場合に、Bへの所有権移転登記と同時に買戻しの特約も登記したときは、その後にBが甲土地をCに転売しても、Aは、Cに対して買戻権を行使することができます。

 なお、買戻しの登記がされた後に民法605条の2第1項に規定する対抗要件を備えた賃借人の権利は、その残存期間中1年を超えない期間に限り、売主に対抗することができます。ただし、売主を害する目的で賃貸借をしたときは、対抗できません(581条2項)。

 民法605条の2第1項に規定する対抗要件とは、不動産賃貸借の登記(605条)、借地権の借地上の建物の登記(借地借家法10条)、借家権の借家の引渡し(借地借家法31条)を意味します。


<事例③>
 Aは、その所有する甲土地をBに買戻しの特約付で売却しましたが、その後、Bは甲土地をCに転売してしまいました。Aは、どのような要件を備えていれば、Cに対して買戻権を行使できるのでしょうか?
<答え>
 売主Aが、売買契約による所有権移転の登記と同時に買戻しの特約を登記したときは、買戻し(特約)は、第三者Cにも対抗することができ、買戻権を行使できます(581条1項)。


買戻しの実行(買戻権の行使)
 売主は、特約等で定めた買戻期間内に代金及び契約費用を買主に提供することにより、目的不動産を買い戻すことができます(買戻権の行使。583条1項)。
 買戻権が行使されたときは、当初の売買契約は遡及的に解除されたことになり、例えば、目的不動産が第三者に転売されていた場合に、対抗力ある買戻権が行使されたときは、目的不動産の所有権は、買戻権者である当初の売主に帰属することになります。


(12) 売買に関するその他の規定
果実の帰属等
 不動産を目的とする場合など、売買契約が成立しても、直ちに目的物が引き渡せないケースがあり、その間に、目的物から果実(法定果実や天然果実)が生じることがあります。
 このように、売買契約成立後、引き渡しまでに売買目的物に果実が生じた場合で、かつ、売主が代金の支払を受けていないときは、その果実は、「売主」に帰属します(575条1項、大判昭7・3・3)。
 一方、売買契約成立後、目的物の引渡しを受けるまで、「買主」は代金の利息(法定利息)を支払う必要はありませんが、特約がない限り、引渡しを受けた日から、利息を支払う義務を負います(575条2項)。


支払いの拒絶
 第三者が目的物の所有権を主張している場合など、売買目的物について権利を主張する者があることその他の事由により、買主がその買い受けた権利の全部若しくは一部を取得することができず、又は、失うおそれがあるときは、売主が相当の担保を提供した場合を除き、買主は、その危険の限度に応じて代金の全部又は一部の支払を拒むことができます(576条)。
 また、買い受けた不動産について契約の内容に適合しない抵当権の登記があるときは、買主は、抵当権消滅請求の手続が終わるまで、その代金の支払を拒むことができますが、この場合に売主は、買主に対し、遅滞なく抵当権消滅請求をすべき旨を請求することができます(577条1項)。
 
民法577条1項の規定は、買い受けた不動産について先取特権又は質権の登記がある場合に、準用されます(577条2項)。
目的物の権利を失うおそれがあること又は目的物に抵当権・先取特権・質権の登記があることを理由に買主が代金の支払を拒んでいる場合、売主は、買主に対して代金の供託を請求することができます(578条)

 

ここまでで確認テストをしました。

結果は、12問中、9問正解でした。

 

1 消費貸借
(1) 要物契約としての消費貸借契約

 消費貸借契約は、要物契約としての消費貸借書面でする消費貸借(諾成契約)の2つに分類できます。まず、要物契約としての消費貸借について解説します。

 要物契約としての消費貸借契約は、当事者の一方(借主)が種類、品質及び数量の同じ物をもって返還をすることを約し、相手方(貸主)から金銭その他の物を受け取ることによってその効力を生じる「要物・片務・無償」の契約です(587条)。
  
借金をする場合の「金銭消費貸借契約」が有名ですが、消費貸借は、民法上は特約がない限り利息が付かない「無償」契約が原則であり、特約で利息付としたときは、「要物・片務・有償」の契約となります

要物契約=現物の引き渡しがいる(例:お金)

 諾成契約=書面上で成立する契約で現物はいらない

どちらも契約時において

書面でする消費貸借
 書面でする消費貸借は、当事者の一方が金銭その他の物を引き渡すことを約し、相手方がその受け取った物と種類、品質及び数量の同じ物をもって返還をすることを約することを書面(又は電磁的記録)で行うことによって、その効力を生じる「諾成・片務・無償」の契約です(587条の2第1項、4項)。
 書面でする消費貸借は、民法上は特約がない限り利息が付かない「無償」契約が原則であり、特約で利息付としたときは、「諾成・片務・有償」の契約となります

 書面でする消費貸借契約が成立すると、借主の貸主に対する引渡請求権が発生する一方、目的物が引き渡された場合には、貸主に対して返還義務が生じますが、借主に借りる義務が生じるわけではありません

 そこで、書面でする消費貸借の借主は、貸主から金銭その他の物を受け取るまで、契約の解除をすることができます。この場合において、貸主は、その契約の解除によって損害を受けたときは、借主に対し、その賠償を請求することができます(587条の2第2項)。

 書面でする消費貸借は、借主が貸主から金銭その他の物を受け取る前に当事者の一方が破産手続開始の決定を受けたときは、その効力を失います(587条の2第3項)。これは、破産手続開始の決定により、弁済をする資力が無くなってしまうため、貸す債務を貸主に負わせるのは不公平なためです。

(2) 消費貸借に関する規定
利息
 前述の通り、消費貸借契約は、原則として無償契約であり、特約で利息付きとすることができます(589条1項)。
 この利息付きとする特約があるときは、貸主は、借主が金銭その他の物を受け取った日以後の利息を請求することができます(589条2項)。

貸主の引渡義務
 無利息の消費貸借は、無償契約であり、同じく無償契約である贈与の贈与者の引渡義務等の規定(551条)が準用されており、貸主が消費貸借の目的である物を、その目的として特定した時の状態で引き渡し、又は移転することを約したものと推定することとなります(590条1項)。

 一方、利息付きの消費貸借の場合、貸主は契約内容に適合した目的物を引き渡す義務を負いますが、契約の内容に適合しない物を引き渡した場合は、借主は、代替物引渡請求権(562条)、利息減額請求権(563条)、損害賠償請求権(564条、415条)、契約解除権(564条、541条、542条)などを行使できます売買契約の規定の準用。559条)。

借主の価額返還権
 利息の有無にかかわらず、貸主から引き渡された物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しないものであるときは、借主は、その物の価額を返還することができます(590条2項)。

返還の時期
 消費貸借契約において、通常は返還時期が定められますが、当事者が返還時期を定めなかったときは、貸主は、直ちに返還を催告することはできず、「相当の期間」を定めて返還の催告をすることを要します(591条1項)。


 また、返還時期の定めのない消費貸借契約において、貸主が相当の期間を定めずに催告したときは、その後「客観的に相当の期間が経過した時」が返還時期となります(大判昭5・1・29)。


 そして、返還時期の定めの有無にかかわらず消費貸借の借主は、たとえ利息付であっても、それまでの利息を支払って、いつでも返還することができます(591条2項)。


 なお、当事者が返還の時期を定めた場合において、貸主は、借主がその時期の前に返還をしたことによって損害を受けたときは、借主に対し、その賠償を請求することができます(591条3項)。

<事例>
 Aを貸主、Bを借主とする消費貸借契約が締結されましたが、この契約において返還時期の定めがありません。この場合、Aは、直ちに返還するようBに請求できるのでしょうか?
<答え>
 消費貸借契約において当事者が返還時期を定めなかったときは、貸主Aは、直ちに返還を催告することはできず、相当の期間を定めてBに返還の催告をすることを要します(591条1項)。

(3) 準消費貸借
 金銭その他の物を給付する義務を負う者がある場合において、当事者が、その物を消費貸借の目的とすることを約したときは、消費貸借契約は、これによって成立したものとみなされます(諾成契約。588条)。
 これを「準消費貸借」といい、例えば、売買契約の買主がすぐに代金を支払えない場合に、これを借金に見立てて新たに利息や返還時期について合意をしたときは、実際に金銭の貸付けを受けていなくとも、金銭消費貸借契約が成立したものとみなされます。

2 使用貸借
(1) 使用貸借契約の意味

 使用貸借契約は、当事者の一方がある物を引き渡すことを約し、相手方がその受け取った物について無償で使用及び収益をして契約が終了したときに返還をすることを約することによって、その効力を生ずる「諾成・片務・無償」の契約です(593条)。
 

例えば、駐車場として、Aが所有する甲土地をBが無償で借りるケースですが、使用貸借は、常に賃料など対価を伴わない無償契約であり、対価を伴う「賃貸借契約」とは区別されます

(2) 借主の義務
使用・収益に関する義務
 借主は、契約又はその目的物の性質によって定まった用法に従い、借用物を使用・収益をしなければなりません(594条1項)。
 また、借主は、貸主の承諾を得なければ、第三者に借用物を使用・収益させることができず、借主が、これらの義務に違反したときは、貸主は、契約を解除することができます(594条2項、3項)。

費用の負担
 借主は、修繕費など借用物の「通常の必要費」を負担します(595条1項)。
 一方、特別の必要費」や借用物の改良など、借主が借用物に「有益費」を支出した場合であって、その価格の増加が現存するときは、貸主の選択により、その支出した金額又は増価額の償還を請求することができます(595条2項)。

使用貸借の終了
 当事者が使用貸借の期間を定めたときは、使用貸借は、その期間が満了することによって終了します(597条1項)。
 一方、当事者が使用貸借の期間を定めなかった場合において、使用及び収益の目的を定めたときは、使用貸借は、借主がその目的に従い使用及び収益を終えることによって終了します(597条2項)。

使用貸借は、「借主」の死亡によっても終了します(597条3項)。

使用貸借の解除
 貸主は、597条2項に規定する場合において、同項の目的に従い借主が使用及び収益をするのに足りる期間を経過したときは、契約の解除をすることができます(598条1項)。
 当事者が使用貸借の期間並びに使用及び収益の目的を定めなかったときは、貸主は、いつでも契約の解除をすることができます(598条2項)。
 一方、借主は、使用貸借の期間並びに使用及び収益の目的を定めても、定めていなくても、いつでも契約の解除をすることができます(598条3項)。

借主による収去等
 借主は、借用物を受け取った後にこれに附属させた物がある場合において、使用貸借が終了したときは、その附属させた物を収去する義務を負います収去義務。599条1項本文)。

 ただし、借用物から分離することができない物又は分離するのに過分の費用を要する物については、収去する義務を負いません(599条1項ただし書)。例えば、借用した建物の壁に塗られたペンキや壁紙がこれに該当します

 借主は、借用物を受け取った後にこれに附属させた物を収去することができます(収去権。599条2項)。
 借主は、借用物を受け取った後にこれに生じた損傷がある場合において、その損傷が借主の責めに帰することができない事由によるものであるときを除き、使用貸借が終了したときは、その損傷を原状に復する義務を負います(599条3項)。

損害賠償及び費用の償還の請求権についての期間の制限
 契約の本旨に反する使用又は収益によって生じた損害の賠償及び借主が支出した費用の償還は、貸主が返還を受けた時から1年以内に請求しなければなりません(600条1項)。
 上記の損害賠償の請求権については、貸主が返還を受けた時から1年を経過するまでの間は、時効は、完成しません(600条2項)。

 

ここまでで確認テストをしました。

結果は、7問中、6問正解でした。