私と旦那さんは、顔を見合わせた後、思い思いを三男と彼女に言った。

まず旦那さんは三男に、
「産ませるつもりなら、お前は学校を辞めて、朝から晩まで働いてお金を稼がないと、生活できんぞ。その覚悟は出来とるんか? 今まで行ったバイトみたいに、店長が嫌いやけ辞めるとか仕事が合わんけ辞めるとか、そんな事言っておられんぞっ」

三男「解っとる」

私は正直、ため息しか出なかった。でもまだ産むって、決定している訳じゃない。だから、今回は諦めるように、説得しなきゃ…

と、完璧に男側親の考えになっていた。
後で冷静になって、相手の立場になって考えてみた。
私にも娘が居る。
この子がもしも、その立場になったら…。
「産みなさい」とも言えないが、「中絶」を考えると、娘の身体と、やはり小さな命の存在を簡単に考える事は、出来ない。
相手の男に対して、腹も立つ。


彼女の両親の気持ちがそこで分かった。


私は彼女に
「三男がこの年齢だし、産むって大変よ。三男自身がまだまだ子供で、社会も知らないし、常識すら分かってないから、全て教えて行かないといけないよ。
それと、産んだら半年後には保育所預けて、あなたもすぐ働かなきゃ、生活は出来ないよ。
最初から、親に甘えるつもりとかなら、それはちょっと違うよね。お互いが必死に頑張らないと、出来ないよ。」

みたいな事を、彼女に言ったと思う。
ハッキリ覚えてないけれど…


その日から一週間後に、彼女の親と話し合いをする事が決まった。

その一週間はもう、私の頭は100%、三男の事でいっぱいで、仕事も家事も何もやりたくないほど、考えていた。


誰に話しても、
「ムリに決まってるじゃん」
「中絶する方向に本人達を説得するのが、今の貴方達親の役目じゃないの?」
「この先の三男の不幸が目に見えるよ」

そうゆう事ばかりの反応の言葉。
「当たり前だよね…」
と思う。解ってるけど、小さな命は簡単に考えられる事じゃない。

三男のこれからが、「不幸?」
決めつけられる?
お金の面では、確かに苦労するとは思う。
だけど、夫婦って、お金が全てじゃないって事を、お金が無くても、心が幸せに思える家族になれるんだって、私は今の旦那さんから12年かけて教えてもらったばかりだった。


考え、考え、旦那さん、三男と毎日話し合いをしているうちに、私の考えが少しづつ変わって行った。


…つづく…