真に知覚する | Follow The River  〜理学療法とアレクサンダーテクニックからの気づき〜

Follow The River  〜理学療法とアレクサンダーテクニックからの気づき〜

あるがままに ありのままに

ゆったり ゆっくり 流されていく

その先にあるものは・・・

最近、仕事(理学療法)をしていて思う。 真に知覚するとは難しい。


患者さんに触れている手を通して知覚しているように錯覚していることに気づいた。


もちろん指先でも感じている。


でも視覚情報を通して感じていることを、手で感じているように錯覚していることも多い。


あるいは、視覚や指先以外の様々な情報を総合的に知覚していることを、ただ手が感じていると錯覚する。




そして、片麻痺患者さんも知覚していないことに気づく。


片麻痺患者さんの上肢や手の麻痺にアプローチしている時、


たいていの患者さんは頑張ろうとする、そして念じる 「動け~!!」


決して知覚する作業をしない。指令を与えるだけ。


でも、それでは決して動かない。あるいは余計な緊張(痙性)を誘発する。


頑張った分だけ良くなると思ってしまうのは人間の性なのだから仕方がない。


本人だけでなく、家族や、時にセラピストもそれを応援するのだから。


これをどう理解してもらうか。とりあえず知覚してもらいたい。そう、末端にまで感覚を宿らせたい。


だから最近私はこんな風にいってみる。



「今、動けーって念じて、頑張ってますよね。でも動かないですよね。


人間、頑張った分だけ見返りがありそうだから、みんな努力するんですが、


片麻痺の方の手はそうじゃないんです。


こうやって動くどころか別のところがどんどん緊張してきて邪魔しますよね。


たいてい、この罠にハマっちゃうんです。


ちょっと人間の性に逆らってみましょう(笑)」


そして、アレクサンダーのクラスで習った手のワークを応用して、


一本ずつ触れながら指一つずつをポイントで知覚してもらう。


患者さんによっては、すぐに「分かりました」という。


でも真に知覚していない場合が多々ある。


「もっと深く、リアルに知覚して下さい」と時間をかけていくと、その精度が高まっていくのが感じられる。


麻痺した指先に感覚が宿り、脳に伝達されるには少し時間がかかる。


私には、患者さんの体の中で、ミニチュアの患者さんが迷路のような無数の神経回路を行ったり来たりしながら


指先と脳をつなぐ回路を探しているように見える。


そして、感覚が指先に宿った瞬間、「あ、見つけた。ゴール!」と患者さんと同時に思う。


でもこの「あ、見つけた!ゴール」を経験していない患者さん、訓練を始めたばかりの患者さんは


真の知覚ではなかったり、手全体、指全体を知覚する程度だけだから、動かすのも手全体、指全体と大雑把になってしまう。


だから、ちゃんと一つのゴールにたどり着くまで待ってみるのは大切かもしれない。


そしてゴールにたどり着いた指は、さっきまで手全体でしか動けなかったのに、個別に動かすことができた。



ただ、最初の頃は、ゴールに続く道(神経回路)を探すのに時間がかかる。


その回路(道)は、なんてゆうか、まだ道になっていない、あぜ道になろうかという程度の見落としやすい感じだろうか。


でも繰り返し知覚し、ミニチュアの患者さんがその道を何度も通っているうちに


草が減り、土が見え出し、道らしくなってくる。


そして、見落とさなくなり、道に迷うことも減ってくる。


そんな風に私は感じる。  「おー、道らしくなってきた」と


だから、私は患者さんに言う。


「今、道を探しているの。ほら、今見つけた。


最初は時間がかかるけど、どんどん迷わなくなって早く着けるようになるから大丈夫」。



何人かの患者さんは、私と同じ世界を見て、道を探しにいってくれる。


そんな時間が私は大好きだ。