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リハビリに注ぐ少々のスパイス

臨床での疑問をもとに、色々なことを書いています。
教育にも興味があるので、少しでも多くのセラピストのためになる記事を書きたいと思っています。

クリニカルシナリオはご存知でしょうか?

急性期病院に勤務していないとあまり聞きなれないかもしれません。

今日は簡単にクリニカルシナリオの説明をしたいと思います。

まずは急性心不全の急性期治療のことを少し知っておかないといけません。
急性心不全の場合、一刻を争うこともあるのですが、実は以外に治療の開始が遅れがちな事実がありました。

海外の文献ですが、発症から15時間以上経過してから始めて治療が開始されていたという統計が出ています。

それでいいのか?ってことで、また色々なデータが出てきました。
そして結論として、急性心不全の急性期治療は速いほうが良いということがわかりました。

でも、どうやって早く治療を開始するのか?
実はこれはなかなか難しい課題なのです。
それを解決する1つの糸口がこのクリニカルシナリオなのです。

これは救急隊や救急病院でとにかく最初に計測された収縮期血圧を元に分類するものです。
ここで注意しなければいけないのが、当たり前ですが収縮期血圧だけですべてが解決するほど心不全とは単純なものではありません。

あくまでもファーストタッチとしての介入の決め手になるまでですので、そこだけお間違いのないように。

収縮期血圧>140mmHg をクリニカルシナリオ1
100<収縮期血圧<140 をクリニカルシナリオ2
収縮期血圧<100mmHg をクリニカルシナリオ3

と分類したわけです。

収縮期血圧が高いほど入院後の生存率が高いこともすでにデータとして報告されています、つまりそれだけ血圧が上げられる心臓はまだ余力があるということなのでしょう。

そして、重要なのは各シナリオによって病態が異なってくるということ。

以前までは心不全というのは体液過剰が問題であるという認識が強く、急性心不全患者のほとんどが利尿剤の投与を行われていました。
しかし、よくよく調べてみると急性心不全で入院してくる患者の実に4割は体液過剰ではなかったということがわかりました。

では、一体なぜ心不全に陥ってしまっているのか?

その原因が肺水腫です。
セントラルシフト
と呼ばれる状態であり、別に全身が浮腫んでいるわけではないけど、一度に身体の中心部に血液が集まりすぎたために起こってしまう病態です。

これが実際には多いということがわかったので利尿剤の多用、乱用はよくないということが広まってきました。

クリニカルシナリオで言えば1の場合はこのパターンが多いです、急激に発症して肺水腫が強く出ています。この場合に利尿剤を使うよりは血管拡張薬や硝酸薬などが優先されます。

このように、クリニカルシナリオはおおまかにではあるかもしれませんが、急性期の治療の選択をより早くすることを可能にします。

そういう意味で臨床的重要性が高いということです。

もちろん、クリニカルシナリオ1でも体液過剰となっている場合はありますので、そういうときは臨機応変に利尿剤の使用を検討します。

とりあえず今日はここまで。
次回は各シナリオの病態と対応について説明していきます。

理学療法士がこんなこと知っておく必要があるのか?
って思ったかもしれませんが、理学療法、特に心リハにおける運動療法は薬物療法にも並ぶ治療の主軸をなすものです。
それを担う理学療法士が何も知らないということは私は好ましいことではないと考えています。