みなさん、大変長らくお待たせしました。
ようやく生活が落ち着いてきたのでブログ・メルマガを再開したいと思います。
本日のテーマ
『不整脈の発生機序』
不整脈といえば、高齢者であれば当たり前のようにもっているくらいよく遭遇します。
脈が不整なんだ・・・
くらいにしか思っていなかったりしませんか・・・?
土居アンダーソンの基準では1分間に10回以上の不整脈があれば運動を中止する・・・
でも、もう少し不整脈に詳しくなると心電図の見方も変わってきますし、何よりリスク管理ができるようになるハズ。
おそらく苦手意識の強い方が多い分野ですが、張り切っていきましょう!!
不整脈とは、正常洞調律ではないものすべてを指します。
正常洞調律とは、脈拍が規則的であり速くも遅くもない状態です。
60~100 / minが正常とされています。
では、不整脈はなぜ発生するか、その発生機序についてです。
大きく分けると2つに分けられます。
○興奮発生の異常
○興奮伝導の異常
です。
まず、基本的なところから復習していきましょう。
心筋には刺激の生成と伝導を行う刺激伝導系と収縮を行う作業心筋とがあります。
刺激伝導系は洞結節、房室結節、His-Purkinje線維です。
作業心筋は心房及び心室の心筋です。
心臓の興奮は本来洞結節から発生し心房筋、房室結節へと伝わり、His-Purkinje線維を通って心室筋へと伝達されます。
ここまでは不整脈に限らず不可欠な知識です、もし忘れていたら必ず覚えておきましょう。
そして、興奮発生の異常というのはこの本来興奮を発生すべき洞結節以外から興奮が起こることをいいます。
それには
●正常自動能の亢進/低下
●異常自動能
●撃発活動(triggered activity)
の3種類があります。
正常自動能の亢進/低下とは、頻脈や除脈のことですね。
具体的な症状などは後日お話します。
今日は不整脈がなぜ発生するか、そこに話を絞りましょう。
異常自動能とは、生理的には自動能を有さない心房や心室筋が傷害されることで自動能を獲得することです。
心房期外収縮、心室期外収縮などがこれに当たります。
triggered activityとは、これも異常自動能に近いのですが、引き金となる刺激があるという点で異常自動能と区別されています。
その刺激というのが、活動電位終了直前~直後の膜電位のことで、これを後電位といいます。
心筋の収縮は0相~4相の5相で表されます。
図がないので説明しにくいですが、
0相:Naチャネルが開き細胞内に流入する(脱分極)
1相:Naチャネルが閉鎖し、同時に一瞬Kが流出する。そのため、一瞬だけ再分極する。
2相:Caチャネルが開き細胞内に流入する。同時にKも流出するため電位は一定となる。プラトー相。
3相:Caチャネルが閉鎖する。Kチャネルは開いているためKの流出のみが起こる。そのため再分極が起こる。
5相:Na-KポンプやNa-Ca交換作用により細胞内外のイオン環境が戻る。
この第3相、再分極中に脱分極が起こることを早期後脱分極(early afterdepolarization:EAD)といい、再分極終了後に脱分極が起こることを遅延後脱分極(delayed afterdepolarization:DAD)といいます。
これらの後電位が閾値に達すると新たな興奮を引き起こすことになり、細動や頻拍の重要な機序とされています。
次に、興奮伝導の異常ですが
●伝導ブロック
●リエントリー
があります。
伝導ブロックは聞いたことがあるかと思います。
刺激伝導系が興奮の一部しか伝えなかったり、全く伝えない場合です。
房室ブロックや脚ブロックがそれです。
リエントリーというのは、聞きなれない方も多いかと思います。
しかし、頻脈性の不整脈の大半はこれが原因とされています。
心臓の興奮はギャップ結合を通って隣接する心筋に伝わっていきます。
通常は、一回の活動電位によって起こる興奮は一回です。
それは、心筋内を活動電位が秩序正しく通っているからなんです。
しかし、この秩序が乱れることがあります。
なんらかの原因で心筋が傷害されると、活動電位が正常に伝導しないことがあります。
これを一方向性ブロックといいます。
しかし、心筋は隣接する心筋の活動電位が伝わるので、他の隣接する心筋から伝導されます。
このとき、通常は不応期とよばれる活動電位に反応しない時期なんです。
しかし、一方向性ブロックが存在すると活動電位が迂回して回ってくるので不応期を過ぎていることがあります。
すると、また興奮するんですね。
イメージとしては、一方通行の道に差し掛かったとします。
そこでぐるっと遠回りをして目的地にたどり着きます。
すると、同じところに前からと後ろから2回到着したことになりますね。
これがリエントリーなんです。
で、またちょっとややこしいんですが、一方向性ブロックだけではリエントリーはおきません。
一方向性ブロックだけだと、まだ不応期の状態を脱していないんですね。
ここに伝導の遅延が生じるとリエントリーが完成します。
つまり、速度制限まで設けられていると不応期に迂回した活動電位が到着してしまうんですね。
するとまた興奮して、同じように迂回路を通ってきた活動電位がまた到着する。また興奮する・・・
というように伝導がぐるぐる回ってしまいます。これがリエントリーの正体です。
非常に長ったらしい説明となってしまい申し訳ありません。
過去最長くらい長いかもしれないですね。
次回も不整脈についてお話しようと思います。
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