今回は、「早期の乳がん」と宣言を受けた患者さんのお話です。
この患者さんのご主人が医師だったこともあり、がんの告知を受けた際、早期なので完治すると考えていたそうです。
それから間もなくして、彼女は手術を受けました。
これが数年前の話です。
最近になって胸の前の骨が腫大してきて、それが乳がんの転移だとわかりました。
「早期がん」が「進行がん」に変貌したのです。
この患者さんのように、早期がんで治療数年後に新たな病変が出た場合、まず抗がん剤治療を行います。
この患者さんも、既に受けられていました。
次に、胸の前の腫瘤に対する治療が必要です。
こちらに対しては、局所治療を行います。
がん治療における局所治療の代表には、手術、放射線治療、陽子線治療、重粒子線治療などが挙げられます。
ここで大切なのは、私が常にお伝えしているように、よく考えて治療法を選択することです。
今回の彼女は陽子線治療を選び、うまく治癒に持っていくことができました。
実はこのような例は、陽子線治療が得意とする症例の一つです。
早期がん治療数年後に、どこかに単発の転移が生じたら、まず抗がん剤治療を先行して頂き、その後の局所治療の選択肢の一つとして、陽子線治療の施設のお話を聞くようにしましょう。
このような知識が、あなたや、あなたの大切な人の命を守るかもしれません。
ぜひ覚えておいて下さい。