第270回 早期がんで初回治療後の再発治療 | [粒子線治療][陽子線治療][菱川良夫] 名誉センター長のこばなし ~がんから学ぶこと~

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一般社団法人 メディポリス医学研究所
メディポリス国際陽子線治療センター 名誉センター長
菱川良夫による講演からの小話。

今回は、「早期の乳がん」と宣言を受けた患者さんのお話です。

 

この患者さんのご主人が医師だったこともあり、がんの告知を受けた際、早期なので完治すると考えていたそうです。

 

それから間もなくして、彼女は手術を受けました。

これが数年前の話です。

 

最近になって胸の前の骨が腫大してきて、それが乳がんの転移だとわかりました。

「早期がん」が「進行がん」に変貌したのです。

 

 

この患者さんのように、早期がんで治療数年後に新たな病変が出た場合、まず抗がん剤治療を行います。

この患者さんも、既に受けられていました。

 

次に、胸の前の腫瘤に対する治療が必要です。

こちらに対しては、局所治療を行います。

 

がん治療における局所治療の代表には、手術、放射線治療、陽子線治療、重粒子線治療などが挙げられます。

 

ここで大切なのは、私が常にお伝えしているように、よく考えて治療法を選択することです。

 

今回の彼女は陽子線治療を選び、うまく治癒に持っていくことができました。

 

 

実はこのような例は、陽子線治療が得意とする症例の一つです。

 

早期がん治療数年後に、どこかに単発の転移が生じたら、まず抗がん剤治療を先行して頂き、その後の局所治療の選択肢の一つとして、陽子線治療の施設のお話を聞くようにしましょう。

 

このような知識が、あなたや、あなたの大切な人の命を守るかもしれません。

ぜひ覚えておいて下さい。