第78回 脱・妄想 | [粒子線治療][陽子線治療][菱川良夫] 名誉センター長のこばなし ~がんから学ぶこと~

[粒子線治療][陽子線治療][菱川良夫] 名誉センター長のこばなし ~がんから学ぶこと~

一般社団法人 メディポリス医学研究所
メディポリス国際陽子線治療センター 名誉センター長
菱川良夫による講演からの小話。

がん患者さんとお話ししていると、病気のステージ(病期)を気にされている方が多いことに気付かされます。


がんであることを自覚すると、多くの人は自らの病気を本やインターネットで調べます。
その時、ステージの段階によって治療結果に違いがあることを知る為だと考えます。


統計値としてみれば、早期の治癒率は高く、進行しているものの治癒率は低くなります。

しかし、一人一人で見れば、早期でも治癒しない人がいますし、進行していても治癒する人がいます。



日本人は何事も平等にすることを好み、自分と他人を比較する人が多いように感じます。
そうすることで、優越感に浸ったり、劣等感に悩まされたりするのです。


目に見えないものを比較することは、頭の中でありもしない妄想を繰りひろげること。
これは、精神的にもの凄いエネルギーを使うことになります。



がん患者さんも、自分のステージと他人のステージを比較する人が多いようです。


病気の人にとって大切なことは、無駄なエネルギーを使わないことです。
自分の心や身体にあるエネルギーは、病気を治すためだけに使って下さい。




最後に、比較することを用いて良いイメージを持つ方法を紹介します。
それは「自分の人生を時間軸として、過去や未来の自分と現在の自分を比べる」というものです。


以下に例を挙げます。


50歳の方がいるとします。
まずは過去との比較です。例えば中学生時代の自分を思い出して下さい。
中学生の自分からみれば、50歳(今)の自分は良くやって尊敬できるかなあ...?と。


次に未来との比較。80歳の自分からみると、50歳(今)の自分はどうでしょう...?
少し神経質に仕事をしていたな。もう少し家族を大切にしてあげた方が良かったなあ...。


このようなことが、時間軸での比較です。



がん患者さんにもこれらを応用できます。


中学生の自分からは、頑張り過ぎてがんになってしまったのかなあ。
80歳の自分からは、治って良かったなあ。


このようにイメージするのが良いのではないでしょうか。



がんになっても良い人生を送れるかどうかは、本人の捉え方、考え方次第です。


センターでは、「幸せな医療の提供」の一部として、センター長の懇話会をはじめとした心のサポートを行っています。