「知る権利」と憲法改正
原子力規制委員会が、記者会見から共産党の機関誌「赤旗」記者を排除した事件は、原子力規制庁がその方針を撤回することで収束した模様である。この事件は一般紙やネットでも大きく話題になった。排除方針撤回は当然のことである。図らずも赤旗の宣伝効果があったのではないか。
この事件を起こした「原子力規制委員会」は、今年6月に成立した原子力規制委員会設置法に基づいている。興味深いのは、その25条に、下記のような規定があることである。
(情報の公開)
第25条 原子力規制委員会は、国民の知る権利の保障に資するため、その保有する情報の公開を徹底することにより、その運営の透明性を確保しなければならない。
…なんと「知る権利」が明文化されている。私の知る限りでは、「知る権利」が法律に明文化されたのは、初めてのことだろうと思う。行政機関の情報公開法においても、「知る権利」という言葉はどこにもない。「知る権利」を明文化せよとの願いはかつてからあったらしいが、国は一貫して頑なにその明文化を拒んできたのである。
ところが、親玉の情報公開法ではない、行政機関の設置法で、ひょこっと知る権利が明文化された。国会審議でこのことは盛り上がらなかったのだろうか。そもそも、法案作成段階で、関係省庁や内閣法制局はどのような審査をしたのだろうか。
その、記念すべき原子力規制委員会設置法に基づいて設置された原子力規制委員会が、これまでほかの官庁では見られなかった「赤旗排除」をやってのけたのである。だからこそ、この事件は興味深い。
これはつまり、いくら権利を明文化しても、それを全うしようという当局の志がなければ、画餅となるということを表しているのだろう。
憲法改正を企んでいる政治家はよく、「新しい権利」を憲法に盛り込むのだという。そのように述べる政治家の顔ぶれを見ると、とてもその「新しい権利」を擁護しようという意気込みがあるとはとても思えない。つまり新しい権利を盛り込むというのは、憲法改正の口実なのである。「新しい権利」の多くは、よく知られているように、現行憲法において根拠付けがすでに図られている。「新しい権利」を尊重するかどうかは、政治家本人次第なのである。
もちろん、新しい権利の明文化が意味を持たないと言っているわけではない。明文を根拠に司法判断に訴えることもできるのだから、明文化にも一定の意味はある。しかし今回の赤旗排除事件は、「権利が明文化されているその当局がその権利を尊重しない」という、象徴的な事件であった。
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第25条 原子力規制委員会は、国民の知る権利の保障に資するため、その保有する情報の公開を徹底することにより、その運営の透明性を確保しなければならない。
…なんと「知る権利」が明文化されている。私の知る限りでは、「知る権利」が法律に明文化されたのは、初めてのことだろうと思う。行政機関の情報公開法においても、「知る権利」という言葉はどこにもない。「知る権利」を明文化せよとの願いはかつてからあったらしいが、国は一貫して頑なにその明文化を拒んできたのである。
ところが、親玉の情報公開法ではない、行政機関の設置法で、ひょこっと知る権利が明文化された。国会審議でこのことは盛り上がらなかったのだろうか。そもそも、法案作成段階で、関係省庁や内閣法制局はどのような審査をしたのだろうか。
その、記念すべき原子力規制委員会設置法に基づいて設置された原子力規制委員会が、これまでほかの官庁では見られなかった「赤旗排除」をやってのけたのである。だからこそ、この事件は興味深い。
これはつまり、いくら権利を明文化しても、それを全うしようという当局の志がなければ、画餅となるということを表しているのだろう。
憲法改正を企んでいる政治家はよく、「新しい権利」を憲法に盛り込むのだという。そのように述べる政治家の顔ぶれを見ると、とてもその「新しい権利」を擁護しようという意気込みがあるとはとても思えない。つまり新しい権利を盛り込むというのは、憲法改正の口実なのである。「新しい権利」の多くは、よく知られているように、現行憲法において根拠付けがすでに図られている。「新しい権利」を尊重するかどうかは、政治家本人次第なのである。
もちろん、新しい権利の明文化が意味を持たないと言っているわけではない。明文を根拠に司法判断に訴えることもできるのだから、明文化にも一定の意味はある。しかし今回の赤旗排除事件は、「権利が明文化されているその当局がその権利を尊重しない」という、象徴的な事件であった。
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