減税日本と取り調べ可視化法案 | シイタケのブログ

減税日本と取り調べ可視化法案

 名古屋市議会の解散請求をめぐって、名古屋市長の河村たかし氏がマスコミで取り上げられることが多い。一連の紛糾のいきさつについて、私は詳しい事情は知らない。ただ、河村氏が住民税減税を掲げ、公務員の給料削減などを打ち出しているところを見ると、大衆迎合で公的サービスをカットするという、福祉国家理念には遠い政策がとられているようである。現に河村氏は保育料の値上げをするなど、福祉政策には冷たいようだ。まさに「小さな政府」志向である。また、議員報酬を下げるというのも問題で、議員報酬が少なければ、もともと選挙活動資金を持っているような地元企業・土建業者などの役員が、利益誘導のために議員になることを後押しするだけである。

 ところで河村たかし氏は民主党の衆議院議員時代、刑事訴訟法の改正法案の提出者の筆頭格であった。何会期にもわたり法案を提出し続けたが、民主党は野党時代だったので成立に至らなかった。民主党はその後政権を取ったが、数ある公約違反のひとつとして、現在、この法案を成立させる気はないようである。この改正法案は、まさに今問題となっている「取調べの可視化」を実現するもので、被疑者の取調べ状況等の録音・録画を義務付ける制度などを導入する法案である。

 一見、「小さな政府」志向と「取調べの可視化」は何の接点もないばかりか、旧来の日本共産党的な「左翼」的見地からみれば、双方を主張することは矛盾しているようでもある。なぜなら、旧来の左翼的な見方からすれば、前者については福祉国家に反するので反対、後者については民主的コントロールを強めるので賛成、ということになりそうだからである。

 しかしこの2つの志向は、実は矛盾しないで説明できる。つまり、いずれも「国家が行うことは常に疑わしい=権力は腐敗する」という考えに基づいている。すなわち、「国家の福祉政策など当てにならない、社会保険庁の有様を見れば明らかではないか、年金も医療保険も民間に解放したほうが効率的でうまくいくのだ」という考え方と、「検察権力はけしからん、録音・録画してみんなで監視しよう」という考え方は矛盾しない。このような考えの持ち主のことを、最近はやりの言葉で言うと「リベサヨ」というらしい。小さな政府志向で国民が豊かに生活できるはずがないことはアメリカや日本の現状を見れば明らかである。リベサヨは日本の一部の「左翼」のなれの果ての姿の象徴である。権力懐疑主義であることは重要だが、アナーキズムから幸せは生まれない。それに、民営化民営化と叫ぶ者ほど、国家権力と癒着している例が多いことは、ここに挙げるまでもないだろう。

 実は現在の民主党には、この「リベサヨ」が多く含まれているのである。そのため、自民党と政策の上で何が違うのかよくわからず、政策が右往左往しているのである。一部の政治家は自らリベサヨを意識しているかもしれないが、人気取りに熱心な政治家の多くはそのことを自覚すらしていないであろう。このリベサヨ政治家が、今や大変な人気である。有権者には気の毒なことだ。自民党政権、民主党政権と続き、社会保険庁を代表例として国家・政治への不信を積み上げたあげく、その不信感を利用して公的サービス削減が画策されているのである。

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