同一労働同一賃金原則をいじめないで
「同一労働同一賃金」という言葉を最近よく見聞きする。「同一価値労働同一賃金」といういわば派生語もよく見聞きする。ILO条約のひとつであり、日本もこれを批准しているのであるから、日本の労働政策として目指すべき方向であることは明らかである。しかし現実はもちろんそうなってはおらず、例えばひとつの職場で同じような仕事をしているにもかかわらず、男性が正社員でボーナスあり、女性がアルバイトで低賃金時給、というパターンはよく見られることである。「同じような仕事」ではなく女性の仕事が男性の仕事の領域の8割だったとしても、決して賃金格差は10対8ではなく、それ以上の絶対格差があるのである。
ILO条約を離れても、同一労働同一賃金原則が公平な正義の理念として国民に受け止められていることは間違いないだろう。パート労働法でも最近の改正で、均衡待遇原則」が盛り込まれたところであるし、労働契約法にも同様の理念が盛り込まれている。これはILO条約の直接の反映ではないにしても、広い意味での同一労働同一賃金原則の理念が元になっていることは間違いない。世の中で「同一労働同一賃金」をいうときは、この「均等待遇・均衡待遇」のことを指していることが多い。
ところが、この同一労働同一賃金原則について、それぞれの専門家からは評判が悪い。「契約社員の賃金を上げれば、正社員の賃金がその分削られることになるぞ」とか「かえって雇用が減ることになるぞ」とか「引き換えに正社員の解雇規制を緩めなければならないことになるぞ」など脅すのである。それらの言い分はもっともであり、同一労働同一賃金原則を政策として実行するためには、経済への影響を考慮したり、正社員の賃金が下がっても社会保障や公的サービスで手当てするといった総合的政策パッケージを考えなければならないことはもちろんである。
しかし、である。たしかに同一労働同一賃金原則の実行にはいろいろ問題があるにしても、だからといってこの原則を叩きすぎるのはいかがなものか。「おんなじ仕事してるのならおんなじ給料のはずでしょ」というのは、非正規で働く多くの労働者が率直に感じている思いである。正社員労働者は就業時間中におしゃべりに興じ、定時以降に真剣に仕事を始めて残業代をもらう。一方非正規労働者は残業できないため、時間内に仕事を終わらせるために朝から必死で働く。たまたま会社の採用方針で、ある年は正社員を採用し、ある年は契約社員を採用したが、やっている仕事はほとんど同じ。…このような状況は日本のあちこちで見られることであり、日本中の非正規労働者の多くが「あの正社員はぜんぜん働いてないのにどうして自分にはボーナスがないのか」と不満を募らせているのが実態である。いわば、同一労働同一賃金原則は、日本中のパート・アルバイト社員の秘めた思い、といってもよい。
同一労働同一賃金原則をしたり顔で叩いても、それは財界や大企業に都合のよいことを代弁しているだけということになる。公平な正義の理念の実現のために、どういう政策を積み重ねればよいか、具体的にはまず、有期雇用法制をどうするか、前向きな議論に進んでいくことを期待している。
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ILO条約を離れても、同一労働同一賃金原則が公平な正義の理念として国民に受け止められていることは間違いないだろう。パート労働法でも最近の改正で、均衡待遇原則」が盛り込まれたところであるし、労働契約法にも同様の理念が盛り込まれている。これはILO条約の直接の反映ではないにしても、広い意味での同一労働同一賃金原則の理念が元になっていることは間違いない。世の中で「同一労働同一賃金」をいうときは、この「均等待遇・均衡待遇」のことを指していることが多い。
ところが、この同一労働同一賃金原則について、それぞれの専門家からは評判が悪い。「契約社員の賃金を上げれば、正社員の賃金がその分削られることになるぞ」とか「かえって雇用が減ることになるぞ」とか「引き換えに正社員の解雇規制を緩めなければならないことになるぞ」など脅すのである。それらの言い分はもっともであり、同一労働同一賃金原則を政策として実行するためには、経済への影響を考慮したり、正社員の賃金が下がっても社会保障や公的サービスで手当てするといった総合的政策パッケージを考えなければならないことはもちろんである。
しかし、である。たしかに同一労働同一賃金原則の実行にはいろいろ問題があるにしても、だからといってこの原則を叩きすぎるのはいかがなものか。「おんなじ仕事してるのならおんなじ給料のはずでしょ」というのは、非正規で働く多くの労働者が率直に感じている思いである。正社員労働者は就業時間中におしゃべりに興じ、定時以降に真剣に仕事を始めて残業代をもらう。一方非正規労働者は残業できないため、時間内に仕事を終わらせるために朝から必死で働く。たまたま会社の採用方針で、ある年は正社員を採用し、ある年は契約社員を採用したが、やっている仕事はほとんど同じ。…このような状況は日本のあちこちで見られることであり、日本中の非正規労働者の多くが「あの正社員はぜんぜん働いてないのにどうして自分にはボーナスがないのか」と不満を募らせているのが実態である。いわば、同一労働同一賃金原則は、日本中のパート・アルバイト社員の秘めた思い、といってもよい。
同一労働同一賃金原則をしたり顔で叩いても、それは財界や大企業に都合のよいことを代弁しているだけということになる。公平な正義の理念の実現のために、どういう政策を積み重ねればよいか、具体的にはまず、有期雇用法制をどうするか、前向きな議論に進んでいくことを期待している。
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