公務員バッシングと「小さな政府」 | シイタケのブログ

公務員バッシングと「小さな政府」

 キャリア官僚が早期退職後に企業や関連法人に再就職し、さらに他の企業や法人に再々就職して不当な退職金を得るという「渡り」行為が批判されている。そもそも「天下り」や「渡り」も、官民の癒着をもたらし、あるいは政府の補助金(税金)の無駄遣いになるという点できわめて悪しき慣行である。天下り規制を趣旨とする国家公務員法改正はすでに行われているが、実態は改められない恐れが高く、より実効的な法改正と監視の仕組みが望ましい。天下りを規制しにくい理由として、憲法上の「職業選択の自由」が言いわけとされる場合があるが、上記の弊害を防止するための必要不可欠な権利制限として、合憲性が認められるべきである。

 ただ、私が気になるのは、公務員さえ叩いておけばそれで満足、という風潮が世の中に広がっているように思われることである。公務員は暇で、民間よりも給料をもらいすぎている、公務員さえ減らせば税金の無駄遣いもなくなる、という一方的な思い込みが広がっているかのようである。私はこの点について異議を述べたい。

 まず(職種や自治体によってばらつきがあるのは当然だが)、公務員一般の給料は、民間企業に比べてとりわけ高いわけでもない。とくにキャリア以外の国家公務員、あるいは財政難の自治体の地方公務員の給料などは、決して楽な暮らしができるほどの額ではない。そしてそのわりには暇ではなく、恒常的に残業の多い部署もある(しかも残業代の上限が設定されているところも多い)。公務員みんなが楽をしていると思うのは大きな間違いである。公務員の仕事に無駄があると主張するのならば、まずその公務員を使う立場にある国会議員や地方議会議員の中で無能な者を落選させるべきである。

 次に、公務員は憲法にも書いてあるとおり、国民全体のための奉仕者であるから、公務員が減れば行政サービスが疎かになり、結局不利益を被るのは国民だということである。今でさえ公共サービスは次々と民間企業に委託されているし(それがかえって高コストをもたらす場合もある)、公務員の中でも非正規の者(任期付職員・非常勤・アルバイトなど)が増えつつある。もちろん公務員の無駄な仕事、予算確保を目的とする「仕事のための仕事」はなくしていかなければならないが、大きくみれば公務員削減は国民にとって利益にならないということを強調したい。教育や福祉の場で、身分の安定した質の高い職員をそろえておくことはとても重要である。特に今の自民党+公明党政権においては、公務員の削減というと真っ先に国民にとって必要不可欠なセクションを無にしてしまおうとするので要注意である。

 さらに、公務員削減は公共サービスの削減につながるから、それはいわゆる「小さな政府」を志向するものであるが、これは決して一般の国民の利益にならない。よく「小さな政府か」「大きな政府か」という選択肢がマスコミや自民党系政治家から示されることがある。「小さな政府」は規制が弱く公共サービスが少ない代わりに税金が安い、「大きな政府」は規制が強く公共サービスが大きい代わりに税金が高いのですが、どっちがいいですか、というものである。一般庶民はこの選択肢を示されて、迷っている場合ではない。間違いなく「大きな政府」のほうが一般庶民にとって幸せなのである。大きな政府は利益・所得のあるところからより多くの税金をとることになるから、必然的に国家の所得再分配機能が強くなる。他方で福祉や教育にかかる費用は一人当たりそれほど違いはないから、一般庶民、とりわけ貧しい人々にとって、大きな政府はどうみてもお得なのである。もっと分かりやすくいうと、一般庶民は「小さな政府」で税金が安くなったと喜んでも、子に教育を受けさせるにあたって、あるいは病気になって入院するにあたって、あるいは収入のない老後生活を送るにあたって、結局自己負担を強いられることになるのである。トータルでいうと小さな政府のほうが損なのである。したがって、収入に応じて相応の税金を取られる「大きな政府」が一般庶民の理想形である。未だに上記のような「大きな政府か」「小さな政府か」という選択肢を見聞きするが、日本は現在、国際比較からみても十分小さな政府である。大きな政府への転換を目指すべきである(麻生総理のいう「中負担中福祉」は話にならない)。もっとも、大きな政府は多額の税金を扱うので利権や癒着が生じがちである。それは私がこれまでも述べてきた真っ当な民主的プロセスによって、排除しなければならない。

 なお、ここ一連の(最近では渡辺喜美議員が演出している)公務員叩きという事象について、私は、政治家が国民の不満の目を公務員にそらす非常に姑息なやり方だとみている。政治家は個人個人で国民に選挙という洗礼を受けなければならないが、「コームイン」というと国民にとっては抽象的存在であるため、責任転嫁しやすいのである。公務員をコントロールする責任は国民から選ばれた国会議員・地方議会議員にある。政治家は公務員悪人説を盛り上げる前に、キャリア官僚に都合よく操られないようお勉強すべきである。

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