労働契約法の施行 | シイタケのブログ

労働契約法の施行

 今年の3月から「労働契約法」が施行されているのだが、これについてマスコミが大きく取り上げたということはなく、またこの法律が施行されて何か労働環境がよくなったという話も聞いたことがなく、やっぱりほとんど無意味な法律だったのだなと空しい気持ちでいる。結局のところ労働契約法は判例法理を不十分な点も残しつつ明文化したという意味しかなく、それでもないよりまし、といったところであろうか。労働者に有利なように使えるところは使い、不備なところは判例法理を援用するのが労働契約法の正しい見方かな、と思う。

 実は労働契約法は、内閣が提出した法案にいろいろ修正を施されて成立した法律である。民主党の意向で法案の修正があったのである。民主党は当時、野党案としての労働契約法を別に提出していたが、これは与野党の修正合意に伴い、撤回された。内閣提出の労働契約法は形式的には、これまで積み上げられてきた「就業規則の不利益変更の要件」や解雇権濫用禁止といった判例法理を明文化するという意味があるものの、就業規則を不利益に変更することが容易になる危険性があることが指摘されていた。また、厚生労働省の素案の段階で、非正規社員の正社員化を促す規定が削除されてしまったことは、前も指摘したとおりである。この点、民主党が提出していた労働契約法案のほうは、就業規則の変更については内閣提出ものより厳格であり、とりわけ非正規社員(有期雇用労働者)に関して、締結事由、差別的取扱いの禁止、解雇の制限、雇い止めの制限などを細かく規定し、非正規社員保護の観点から評価すべき内容になっていた。ところが、与野党合意に至った労働契約法の修正案は、当初の民主党案の精神が完全に失われてしまったのであった。どうしてこんな修正案で合意に至ったのか、まったく理解しかねるものであった。内閣提出の労働契約法案19箇条に対し、民主党案は45箇条という「気合」の入ったものであったのに、修正案は内閣提出法案へのたった8箇所に関するわずかな修正で、ページ数にして1ページ半というお粗末なものである。しかも修正箇所の中で実質的に意味のある部分はさらにわずかである。結局、民主党も本気ではなかったのだろう。次回からこの労働契約法の修正箇所について少し詳しくみていくことにしたい。

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