1)トリガーポイント(TrP)とは
まず初めに定義です。
Travell,Simonsらにより
「押すと鋭い痛みを感じる過敏になった限局性のスポットで、筋組織の触診可能な索状硬結上の結節に存在するもの」
Trpが生じると筋力低下・可動域制限・感覚異常など様々な問題を引き起こします。
主な特徴は
①関連痛を生じる
②血管や神経の圧迫により鳥肌や発汗など自律神経反応を生じることがある
③痺れの訴えから「末梢神経障害」と誤診されるケースも多い。
④ジャンプサイン:飛び上がる程の圧痛が生じる
⑤症状の再現が可能
①の関連痛に関しては、正直な所必ずしも関連痛が生じるとは限りませんので、索状硬結上の触診指標が最も重要かと思います。
索状硬結に関してですが、バンド状、少しゆでたパスタのような触り心地です。
その為には十分な触診技術が必要となると思います。
症状だけではなく、
Trpを疑う場合は、
触診でしっかりと索状硬結を捉えることが必要だと思います。
Trpの発生要因は
①筋の過負荷・使いすぎ
②長時間の同一姿勢などによる持続的な筋へのストレス
③心理的要因
④内臓機能低下
⑤皮膚の滑走不全
2)評価・触診のポイント、関連疾患について
次にTrpの評価・触診方法、関連疾患について、ご紹介させて頂きたいと思います。
①TrPの評価方法
1)筋腹上の索状硬結状の触診
2)関連痛・ジャンプサインの再現
3)主訴
4)過去の痛み、自律神経症状
5)姿勢観察:無意識にとる姿勢やしぐさ
6)仕事内容、栄養状態、精神状態
②TrPの触診方法
触診のポイントは
1)斜めの角度(25~45°程度)
2)骨に当てるように触診
③Trpと関連疾患
○肩関節周囲炎:腱板筋、三角筋、小胸筋etc
○変形性膝関節症:大腿四頭筋、ハムストリングスetc
○腰痛:腰方形筋、腸腰筋、多裂筋、腹直筋、大・中殿筋etc
○坐骨神経痛:小殿筋、梨状筋
私は臨床上、腱板筋や腸腰筋・殿筋・梨状筋へ介入することが多いです。
特に肩関節、腰椎関連疾患患者はTrpを有している方が多いです。
是非評価してみてください。
3)Trpの評価・治療の実際
私がTrpの治療に用いる方法は主に二つ
①ストレイン・カウンター・ストレイン(SCS)
②虚血性圧迫
①に関しては以前のブログでご紹介させて頂きましたので、宜しければこちらをご覧下さい。
圧痛点をTrPに置き換えてください。
②に関して説明させて頂きます。
簡単に言いますとTrpを直接徒手で圧迫する方法となります。
①問診・触診にてTrpの抽出
②骨に当てるように斜め(25°~45°)で圧迫
③強さはNRS6~8
④時間は30秒~2分程
⑤索状硬結状組織の柔軟性改善、関連痛、圧痛軽減にて終了。
虚血性圧迫とSCSの使い分けですが、疼痛閾値が低い方に関してはSCSを使うと考えていただければと思います。
そのような方に虚血性圧迫を使ってしまうと、さらなる症状悪化も考えられますのでご注意を!
今回のブログが皆様の臨床に少しでも役立てば幸いです。