随分経ってしまったが、
ピーター・フォークが亡くなった。
「刑事コロンボ」
大好きでした。
世代的にもですが、
当時のブームに
ガッツリ乗った口です。
少年探偵団やアルセーヌ・ルパンには
そろそろ退屈してきた頃合いで、
やや背伸びしたい盛りの
自称ミステリ好き少年にとって、
「コロンボ」は
斬新な作品でしたからね。
フーダニットやハウダニットが
推理小説の専らの楽しみだと思っていたのに、
犯人は予め分かっていて、
探偵がその犯人をどうやって追い詰めるのか、
という部分にスポットを当てる、
所謂、倒叙もの(当時こんな言葉は知らなかったが)は、
革新的だった訳です。
しかも、
明智小五郎やホームズみたく、
ずば抜けた天才に見えないところが、
何とも親近感が湧くところでした。
草臥れたオヤジが、
才色兼備で権力もある、
そんな人も羨むセレブ達の犯行を、
モノの見事に解き明かしていく。
ラストシーンでは
コロンボがヒーローか紳士にさえ見えるんですよね。
そう、
人は見てくれではない、
実力があれば認められるんだ、
との錯覚を少年に抱かせるには
十分な映像でありました。
先日、新聞を見ていたら、
三谷幸喜さんの書いた連載記事が載っていて、
案の定、コロンボへの想いを綴られていた。
「古畑任三郎」は
まさに日本版のコロンボだったわけで、
その脚本を書いた三谷さんが
コロンボフリークなのは周知の事実。
ピーター・フォークの死に際し、
三谷さんがコロンボに対するオマージュの寄稿をするのは
当然だった。
何時もは一捻りしてあるこの記事も、
今回は何のてらいもない直球の文章。
如何に三谷さんがコロンボをリスペクトしていたか、
行間から読み取れるような記事でした。
よくよく辺りを見回してみると、
個人的な知合い含め、
コロンボフリークは多く、
多くのシリーズ作の中で、
「マイベストはこれ!」という拘りが、
それぞれにあるようだ。
私にも数本、
「これ、良い!」というのがある。
初期の名作といわれる
「殺人処方箋」や
「死者の身代金」とかは、
実は余り好きではない。
犯人を激昂して追い詰める作品よりも、
どちらかというとクールなコロンボが好みだ。
中期の佳作と呼ばれる作品群がツボですね
決してエキサイトすることなく、
飽くまで理知的に、
しかし完膚なきまでに、
犯人を論破し自白へ導くというスタイル、
そこにコロンボの美学を感じるし、
そういう作品群が好みだ。
一番のお気に入りは
「別れのワイン」
コロンボファンでこれをナンバーワンに推す人、
多いそうですね。
私もその一人。
ワインへの愛情や造詣は極めて高いが、
いまいち経営に関しては無関心なワイン通が
とあるきっかけで、
という設定。
ゲストスターはドナルド・プレゼンス。
このシリーズの犯人役のゲストスターは、
役柄上だけでなく
実際も美男美女スターが多いのだが、
失礼ながら、
この方はそういった方々と比べると、
珍しい例外のケース。
先ほども書いた通り、
ピーターフォークも
決して美男子ではなく、
そんな風采の上がらない小男が、
才色兼備の犯人を追い詰めて行くという設定が、
このシリーズのカタルシスを高める要素の一つだが、
この作品については、
犯人役の容姿が一つのポイントとなるし、
ラストシーンでは
冴えない男同士、
しかしある道を究めた者同士の心の通い合いを感じさせる、
そんな演技が
逆に実に心に染みる。
佳作と呼ぶに相応しいと思う作品です。
ピーター・フォーク追悼祈念として、
その他含めて
お気に入り作品の一挙見、
やっちゃいましょうかね。