奴はデッカイ雲になって彼女の太陽を隠した。

僕は彼女に「どうしたの?」しか言えなくて、彼女は「大丈夫、ごめんね。」しか言わない。

ついこの間まで、奴も優しくて明るいバックバンドだった。
ついこの間まで、楽しくて温かいアメリカン・ビューティーがそこにあった。

誰が悪いかは何となくしかわかってない。奴かな?僕かな?わかっているのは彼女は一つも悪くないって事だけ。

奴は彼女の笑顔が見たくないのかな?

奴も彼女も元通りになって欲しい。
牛や豚や鶏なんかが殺されて、内臓をえぐり出されて、肉を引き裂かれて、焼かれたり、煮込まれたりして、運ばれてきて、その大部分がはしょられて、それを知るにはあまりに環境が悪くて、はしょられてない部分は楽しんでる人すらいる。

沢山の犠牲の上に一人がやっと成り立ってて、その一人のお陰でギリギリ活動している人や動物や植物がいる。

存在意義っぽい物をかき集めて、それを眺めながら曖昧に死を恐れてみたりして、たまには、死にたくないのに死にたくなる。

用意したシナリオは誰にも見られず吹き飛んで、良い事も、悪い事も起きやしない。

それでも、必死に呼吸して、食うもん食って、出すもん出して、夜が明けたら目を覚まして、雨が止んだら傘をとじて、それで、そーまでして生きる価値のある人間がこの世にいるのだろうか?生きる価値のない人間は死ぬべきなのだろうか?

いつだって命は流動的で、その姿は誰の目でも捉えられるし、必勝パターンも切り札もないのに、見て見ぬフリをすることは、長生きのコツの一つなのかもしれない。
麻薬の売人になりたいわけでもない。

泣き虫なピエロは家に帰っても化粧を落とさずに握手しすぎた手を必死に洗ってるけど、そんな汚れはもう綺麗にならない。

何となく見透かしたつもりになって、嘘が交じってるって決め付けては、何となく一方的に苛立って、俺はジョージだなんて寂しさを紛らわせる。

一人にして欲しいって言いながら、あの娘からのメールを待ってる。

矛盾して何が悪い?って開き直ってる。

溜めないようにしてたストレスは見てないだけで、実はパンパンで、気付いた時にはもう爆発寸前。