とある問題はありますが、後ろばかり見ても仕方ないので、とりあえず触れないでおきます。

ということで気を取り直して今年の課題曲へ!
全体的にスコアはシンプルに見えるので、各団体がどの辺りに拘るかで印象が随分と変わるかなぁ…と

Ⅰ.トイズ・パレード
指定は4分音符120ということで、行進するのにちょうど良いテンポですね。
作曲者も述べているように、場面をストーリー化してみると楽しいでしょう。
低音にシューベルトの軍隊行進曲みたいなリズムが出てくるので、鉛の兵隊が浮かんだりしました。
前奏や第2マーチ、トリオの前、ブリッジに多様されている長い付点のリズムは印象に残りやすいので、しっかり揃えたいところ。
そしてこの曲最大の?見せ場であるLentからのaccel.。
私はストリート・パフォーマーズ・マーチが課題曲だったので、少し懐かしかったです(笑)
ゼンマイ巻きたての玩具の動きが段々と馴染んで滑らかになっていく様を表現しているような…?
うっかり爆走しないように注意ですね。
今年は一番人気になるかな…?

Ⅱ.龍潭譚
暗めの雰囲気を持ちながら、どこか温もりや懐かしさを感じる不思議な作品です。
各楽器のソロが多用されているので、音色に自信のある団体は取り上げてみて欲しいですね。
ピッコロが結構イヤな目立ち方をしているので、相当なプレッシャーでしょうな(笑)
6/8拍子の中間部は伴奏の同音連打が印象的です。
どれだけ走っても目的地にたどり着けない主人公の不安や焦燥か…
文学作品にインスピレーションを受けての曲ですので、第六感?に訴えかけれるような演奏が出来れば面白そうですね。

Ⅲ.僕らのインベンション
バスクラ万歳!な出だしですが、大編成だとファゴットやコントラバスもユニゾンなので…?
英題はOur “Nice” Inventionということで、日題には無いNiceがわざわざ強調されている辺り謎解きのような感覚になりますね。
拍子が頻繁に変わるのでリズムにも注意したいですが、この曲の主題は音そのものが持つエネルギーだと思われるので、その辺りを如何に表現するかが重要となりそうです。
5/8拍子の部分、旋律と伴奏が対話しているようでほっこりします。
最後はバストロならばlow Dと但し書きがあります。
先の冒頭もそうですが、フル編成だと小編成対応で録音されている参考演奏とは随分と違う印象になるかも。
技術的にも音楽的にもやりがいのある素晴らしい作品だと思います!

Ⅳ.吹奏楽のための「エール・マーチ」
曲名の通り、聴く者を前向きにさせてくれる心地よい行進曲です。
マーチなのに裏拍の刻みがほぼ無いので、スネアのテンポは非常に重要です。
全体的にオーケストレーションが薄めなので、実際に吹いてみるとイメージとは違う音がしそうな予感…
また、旋律の音域がやや高めなので、フレーズ内での音のバランスもとりにくいかもしれません。
格調高く、むやみに音量に頼らない表現が問われるマーチなので、Ⅰに比べると近年のコンクール事情的には敬遠されるかもしれないですね。

Ⅴ.吹奏楽のための「幻想曲」-アルノルト・シェーンベルク讃
曲名の通りシェーンベルクの幻想曲から得た発想を吹奏楽で表現しようと試みた作品です。
弦楽器特有の表現と思われる原曲のヴァイオリンをどう吹奏楽に応用するのか…と気になってました。
クラリネットによって提示される冒頭の音列はヴァイオリンと比べるとやや音色の濃淡が描きにくいのかな?と感じましたが、全曲を支配して各楽器に顔を出すので、統一感の中にも色合いの変化が感じられます。
管楽器がキィやバルブを押す音、マウスピースに息を送るだけの音など、特殊奏法?とも言える音を用いて音色の変化を狙っている辺りは新ウィーン楽派的と言えるかもしれません。
吹奏楽の発展と開発に寄与するという課題曲Ⅴの理念を凝縮した実験的な作品です。
意外とそういうⅤって少ないので、きっと大きな意味を持つ課題曲となり得るでしょう。

Ⅳでも少し触れましたが、生演奏だと参考演奏のようなバランスには聞こえないであろう箇所が各曲にあるので、たくさんの生演奏に出会いたいな…というのが今年の課題曲の印象です。

Ⅰが一番人気になるでしょうが、マーチが一筋縄ではいかない年って意外とⅡのような作品が人気になったりするので…
あんたがたどこさが結構演奏された昨年や結果的に天国の島が勝ち進んだ2011年のようになるかもしれません。
Ⅲは難易度やや高めなので、最果ての城のゼビアや古き森の戦記くらいに留まるか、ある英雄の記憶くらいまでは伸びるか…
個人的には一番人気になって欲しい作品ですが…