Bowden MG, Balasubramanian CK, Neptune RR, Kautz SA. Anterior-posterior ground reaction forces as a measure of paretic leg contribution in hemiparetic walking.Stroke 37(3):872-6. 2006 

 

【目的】

脳卒中の歩行におけるAP方向の床反力を使用して麻痺側下肢機能を定量化すること

 

【方法】

慢性期片麻痺患者47例(男性41例、女性6例、年齢62.4±10.2歳、発症年数4.3±3.8、左麻痺25例、右麻痺22例)が参加した。

 

取り込み基準として、発症から1年経過・介助なく50秒以内に10m歩くことが可能な者とした。参加者は、普段使用する補助具または下肢装具は許可された。

除外基準として、過去5年間に骨粗鬆症の薬またはホルモン療法を行った・既往に下肢骨折またはその骨折による疼痛がある・骨量に影響を及ぼす可能性のある疾患ある者とした。

 

下肢の重症度は、Brunnstrom Recovery stage(BRS)に基づいて分類された。

重度:BRSⅢ(n=􏰐19)

中等度:BRS ⅣまたはⅤ(n􏰐=18)

軽度:BRS Ⅵ(n􏰐=10)

 

立脚期は(1)初期接地後の両脚支持期(2)単脚支持期の前半50%(3)単脚支持期の後半50%(4)プレスイングの4つのフェーズに分類した。
 

力に関して、(1)推進力は、正のA-P GRFの積分値 (2)制動力は負のA-P GRFの積分値 (3)正味の力は、各脚の推進力+制動力の和で算出した。

推進力および制動インパルスも各フェーズ内で計算した。

麻痺側下肢の推進力(PP)は、"麻痺下肢の推進力/麻痺+非麻痺側の推進力"で計算した。

 

重症な者19人のうち8人が短下肢装具(AFO)を使用し、19人のうち11人は補助具を使用したため、装具または補助具の使用がPPに影響を及ぼしているか分析した。

 

【結果】

重症度(BRS)

麻痺下肢における推進力、正味の力、麻痺下肢での4フェーズにおける正味の力、および非麻痺下肢における推進力、制動力、正味の力相関していた(Table1)。


重症度で軽度に分類された者では、平均PPが≧49%であることを示している。
同じく中等度の者では平均PPが36%であったが、重症な者では平均PPがわずか16%であった。

 

装具・補助具

AFOあり(PP =12.07%)とAFOなし(PP =19.32%)との間に有意差はなかった(P <0.176)。

補助具使用(PP 12.45%)と使用していない(PP 21.52%)との間に有意差がなかった(P <0.74)。 

AFOも補助器具も使用していない者のPPは21.14%であった。


PP

歩行速度(r≦0.551; P≦0.000)および重症度(r≦0.737、P≦0.000)の両方と有意に相関した。

しかし、重度な者5名は、機能的に有意な0.8m / sより速く歩行し、すべてがPP25%以下であった(Figure3)。さらに、軽度に分類された3人の患者は0.8m / sよりもゆっくり歩き、全てがPP49%以上であったこれらの8人の参加者は、Figure3に黒く塗りつぶされている。

 

【個人的な意見】

私がこの研究で確認したかったのは、

制動力(paretic braking impulse)が歩行速度と重症度に関係するのかでした。

結果は歩行速度(r=-.235)重症度(r=.162)と有意差がありませんでした。

 

伊藤優也,佐々木誠,佐川貢一:脳卒中片麻痺患者における歩行周期変動の歩行・バランス能力及び下肢筋力との関連

 

https://www.jstage.jst.go.jp/article/cjpt/2011/0/2011_Bb0774/_article/-char/ja/

 

非常に勉強になりましたので、ブログで掲載させて頂きます。

 

【方法(一部抜粋)】

対象は以下の通り。

 

歩行周期変動(標準偏差/ 平均値×100)は、連続する1歩行周期時間から平均値と標準偏差を求め、それを元に CV を算出した。測定について、運動麻痺による遊脚期の内反尖足やそれに伴う足尖の引きずりによる測定誤差への影響を考慮し、センサーは非麻痺側下肢の足尖部へと取り付けた。

 

他の評価項目に関して、Functional Ambulation Classification (FAC) による分類、10m最大歩行速度、バランス能力の評価指標として Berg Balance Scale (BBS) を測定した。

 

【結果】

自立群と監視・介助群における CV の平均値は

自立群 3.0±1.7%, 監視・介助群10.4±10.0%であり、自立群と監視・介助群との間に有意差を認めた (p<0.01). 

 

CV と FAC (r=-0.532, p<0.01)、10m最大歩行速度 (r=-0.586, p<0.01)、麻痺側下肢筋力 (r= -0.496, p<0.01) との間に中等度の相関を認め、BBS (r=-0.744, p<0.01) との間には高い負の相関を認めた。

また、CV と非麻痺側下肢筋力 (r= -0.237, p=0.136) との間には有意な相関を認めなかった。

 

 

Chitralakshmi K. Balasubramanian et al:Variability in spatiotemporal step characteristics and its relationship to walking performance post-stroke.Gait & Posture 29 ;408–414.2009.

 

【はじめに】

歩行の変動性は、移動性障害を評価するための定量可能な尺度であることが示唆されている。しかし、脳卒中後の歩行障害に対しても用いることができるかどうかは不明である。そこで、本研究の目的は、歩行の変動性が脳卒中後の歩行パフォーマンスの尺度として使用できるかどうかを判断することである。 

 

【方法】

対象は、脳卒中患者94人(年齢=61.4±11.4歳,性別=男69名,サイド=左半球51名,歩行速度=0.63±0.32m/s)と同年代の健常高齢者22人(年齢=66.2±10.0歳,性別=男6名,歩行速度=1.29±0.21m/s)とした。

 

歩行の変動は、GAITRiteを用いて測定し、ステップ長、ストライド幅(Stride width;歩隔?)、プレスイング・スイング・ストライド時間それぞれの標準偏差を計算した。その他の評価項目として、Fugl-Meyer Assessment(下肢)、動的歩行指数(DGI)、および非対称指数を用いて評価した。

 

【結果】

変動性は、健常歩行と比較して脳卒中患者の歩行においてステップ長、スイング・プレスイング・ストライド時間において増加することを明らかとなった(p <.001)。

 

麻痺側スイング時間変動性は、非麻痺側スイングに比べて増加した(p <.001)。さらに、パフォーマンスが悪い(重度な運動麻痺、非対称的な歩行およびバランス不良)ことに関連して、ステップ長の変動性が増し、一方でストライド幅の変動が減少した。

 

脳卒中後の歩行障害を定量化する指標として

スイングおよびプレスイング時間変動性の増加

ステップ長および歩行周期変動性の増加

ストライド幅の変動性の減少を用いることができる

 

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Table 1が非常に勉強になりました。(DGIのカットオフ値でSTVを見てますね)

 

【個人的意見】

CV (標準偏差/平均)を用いて変動性を評価することは、平均値が低い場合に変動性の増加する可能性があります。 

 

変動の差は、ある歩行速度を達成するための戦略(すなわち、歩幅ーケイデンスの組み合わせ)の違いに起因する可能性がある。 しかし、ストライドの変動性はストライドの歩幅とケイデンスとは無関係である可能性があると示されてます(※)。

(※)

Maki BE. Gait changes in older adults: predictors of falls or indicators of fear. JAm Geriatr Soc 1997;45(3):313–20.

 

Grabiner PC, Biswas ST, Grabiner MD. Age-related changes in spatial and

temporal gait variables. Arch Phys Med Rehabil 2001;82(1):31–5.

 

一般的に歩行速度が交絡しますが、今回の研究では片麻痺者と健常者の速度のばらつきに違いはなく(p = .268)、観察された歩行の変動パターンに寄与しないことを示唆しています。