Kristel Knaepen et al:Temporal and spatial organization of gait-related electrocortical potentials.Neuroscience Letters 599(2015)75-80

 

【目的】

本研究の目的は(1)歩行中に平均して皮質電位が特定できるかどうか(2)この電位が歩行周期と時間的関係があるか(3)どの電位源がこの電位を構成するか?を調べることであった。

 

【方法】

対象は健常者10名(男女比3:7、平均年齢28.2歳、SD4.1歳)とした。

対象者の歩行速度はトレッドミルで決定した。

実験プロトコルは5分間の座位、5分間の静止立位、20分間のトレッドミル歩行から構成された。

 

平均電気皮質活動の時間的および空間的特性を脳波記録データを記録し、試行にわたって平均し算出した。

被験者の左踵接地を検出方法は、左踵に敷いた圧力センサーから行い脳波データと同期した。

 

【結果】

Walking-RestおよびWalking-StanceではS1、SA、M1が有意に活動が高まっていた。

 

 

それぞれの歩行周期別に有意に活動が高かった部位は以下の通りである。

初期接地(図のPeak1)では帯状皮質、島皮質、前頭前皮質、体性感覚連合野(SA)および視覚野

 

荷重応答期(図のPeak2)では一次体性感覚野(S1)、体性感覚連合野(SA)、一次運動野(M1)、聴覚皮質、帯状皮質

 

立脚後期と前遊脚期移行時(Peak3)では帯状皮質、体性感覚連合野(SA)、前頭前皮質

 

プッシュオフではS1、M1、SA、補足運動野(SMA)、帯状皮質

 

 

【個人的な意見】

今回の研究は、健常人における初期接地なので当然踵接地ですが。

脳卒中患者さんではどうしても踵接地ができない方の脳活動はどうなってるんでしょうか。まだまだ踵接地ができない理由が遊脚期にあると思われがちですが(もちろん遊脚期にもあると思います)バイメカ的な観点から考慮すると、初期接地時の脳活動より立脚後期・前遊脚期での脳活動をまずは考えるべきでしょうか。

絶対脳活動を観察すべきという根拠がまだ集まっていませんね。熟考します。

Kara K. Patterson et al:Changes in Gait Symmetry and Velocity After Stroke: A Cross-Sectional Study From Weeks to Years After Stroke.Neurorehabilitation and Neural Repair 24(9).2010

【はじめに】
脳卒中後に歩行の質をフォローアップしたという論文はほとんどない。

【目的】
歩行の質の劣化が脳卒中後長期にわたって発生するかどうかを歩行特異的な評価(歩行速度と歩行対称性)を用いて調査すること。

【方法】
対象は脳卒中片麻痺患者171人とした(後ろ向き、データベース)。
速度と対称性(スイング時間、立脚期時間、およびステップ長)の3項目は、各被験者で計算した。 それぞれを0〜3、3〜12、12〜24、24から48そして> 48ヶ月と5グループに割り当てた。

神経障害の度合いはNIHSSの評価シート、下肢の運動障害はCMSAの評価シートを用いた。







【結果】
非対称性はスイング時間、立脚期時間、ステップ長においてグループ間で有意差が認められた(P<0.01)。


しかし
歩行速度、神経障害の度合い、下肢の運動障害にはほぼ有意差を認めなかった。








HaoYuan Hsiao et al:Baseline predictors of treatment gains in peak propulsive force in individuals poststroke.Journal of NeuroEngineering and Rehabilitation (2016)

 

【背景】

麻痺肢の推進力は歩行速度にとって重要であり、損傷した神経システムの回復を反映している可能性がある。麻痺肢推進力の改善における広い個々の変量が麻痺推進力をターゲットとした介入後に観察された

 

【目的】

特定のベースライン特性は介入よる結果を予測するために使用することができるかを検証すること。

 

【方法】

対象は慢性期脳卒中患者19名とした(発症後6.3±9.2年;女性5名;右麻痺5名;快適歩行速度0.77±0.32m/s)。

取り込み基準は、単一の皮質・皮質下病変、少なくとも6ヶ月経過、装具なしで介助なく6分間歩行可能な能力、指示理解に十分な認知機能を有する、膝関節伸展位での足関節背屈が中間位まで可能、股関節伸展10°まで可能な者とした。

除外基準は、既往歴に複数回脳卒中を有する、小脳病変、下肢の関節置換、歩行能力が制限される骨または関節疾患、安静時脈拍が40〜100回/分の範囲外、安静時血圧90 / 60〜170 / 90mmHgの範囲外、半貧血、過去6ヶ月間に説明できないめまい・胸痛・息切れを有する者とした。

 

歩数評価は、ベースライン(介入前)および12週間の歩行トレーニング後(介入後)に行った。スプリットベルト式トレッドミルで快適歩行速度(SS)と最大歩行速度(FS)で歩いたときに、8カメラ運動解析システム(Motion Analysis Corp)を介して運動データおよび運動学的データを収集した。本研究では、最大前方床反力(AGRF)のピーク値は体重に正規化され、30秒の試行期間でストライドで平均した。

ベースラインの速度変調時の変化は、快適歩行速度と最大歩行速度のベースライン測定値の差を計算した。

治療利益は、快適歩行速度での訓練後とベースライン測定との差を計算した。

 

トレーニング
少なくとも4分間維持できる最大歩行速度でトレーニングした。参加者は週3回、合計12週間のセッションを行った。セッションは6分間の歩行トレーニングで構成された。参加者は、機能的電気刺激有・無を交互に1分周期で、セッション1〜5をトレーニングした。セッション6は、機能的な電気刺激無しでトレーニングした。

 

【結果】

歩行速度における治療利得は、介入後の麻痺肢推進力の変化と関連していた(p <0.01)。

快適歩行および最大歩行におけるベースラインの推進力は、麻痺肢推進力の治療効果と相関しなかった

しかし、

ベースライン速度変調時の麻痺肢推進力の変化と麻痺肢推進力の治療効果の間には強い相関が認められた(p <0.01)。

 

【個人的な意見】

あくまで慢性期脳卒中患者を対象としてですが、

10m歩行テストで快適および最大歩行での推進力の変化を見ておくと、

今後の推進力改善を予測できるだろうということになります。

臨床上、TLA(Trailing Limb Angle)や足関節底屈モーメントなどが測定可能でしょうか。面白い文献でした。