Séléna Lauzière, Martina Betschart, Rachid Aissaoui and Sylvie Nadeau:Understanding Spatial and Temporal Gait Asymmetries in Individuals Post Stroke.J Phys Med Rehabil 2014, 2:3
【temporal asymmetryー時間的非対称性ー】
脳卒中患者(約6割)において、立脚期時間、単脚支持時間、両脚支持時間および遊脚期時間での時間的非対称が最も報告されているパラメータである。
最近の研究(※)は、脳卒中患者161名における時間歩行パラメータの非対称性の間の相関を定量化した。両脚支持時間を除いて、これらの時間パラメータの非対称性は、互いに高い相関を示した(r≧0.81)。
筆者は、立脚期時間、遊脚期時間および両脚支持時間が歩行制御においてそれぞれ異なる側面を表している可能性があると結論付けた。
※Patterson KK, Gage WH, Brooks D, Black SE, McIlroy WE (2010) Evaluation of gait symmetry after stroke: a comparison of current methods and recommendations for standardization. Gait Posture 31: 241-246.
立脚期時間は、両脚支持時間と単脚支持時間の2要素で構成されている。
つまり、立脚期時間と遊脚期時間(反対側の単脚支持時間)が歩行障害に関する重複情報を与えるかもしれない。
脳卒中の歩行対称性における将来の研究において、両脚支持時間の非対称性および遊脚期時間(または単脚支持時間)の非対称性を特徴的に報告することを推奨する。
遊脚期時間の非対称性は、非対称性の異なる組み合わせの結果である:麻痺側遊脚期時間の増大、非麻痺側遊脚期時間の減少
両脚支持時間の非対称性は、体重移動のタイミングであること・両脚であることから安定相と見なされるため、評価上重要である(研究数は少ない)。
【Spatial asymmetryー空間非対称性ー】
主にステップ長の非対称性に関係し、時間的非対称性よりも頻度が低い(33%〜49% VS 60%)。
ステップ長の非対称性を理解するために 、踵接地のタイミングでtrunk progression (TP) とforward foot placement (FFP) の2つに空間成分を分割することを提案した。 脳卒中患者は、非麻痺側ステップと比較し麻痺側ステップはTPが高い。しかし、FFPの非対称性は個体間で方向性が異なっていた。さらに、ステップ長の非対称性は、これら2つの成分の非対称性の合計によって決定される(※)。
※Roerdink M, Beek PJ (2011) Understanding inconsistent step-length
asymmetries across hemiplegic stroke patients: impairments and
compensatory gait. Neurorehabil Neural Repair 25: 253-258.
空間パラメータを将来の研究において報告することは、ステップ長の非対称性をもたらす生体力学的補償戦略をよりよく説明するのに役立つであろう。
【Relationship between spatial and temporal asymmetriesー空間非対称性と時間的非対称性の関係ー】
時間的・空間的な非対称性に関する理論的枠組みは、これらのパラメータが直接関係しないと規定している。これは、ステップ長比とスイング時間比(r = 0.47)、ステップ長比とスタンス時間比(r = 0.58)との間に有意差は認めるがやや低い相関データによって支持されている。
スプリットベルト式トレッドミルでの歩行運動適応に関する最近の研究では、時間的パラメータを空間パラメータとは無関係に適応させることができている。
この結果は、時間的および空間的歩行パラメータには異なったメカニズムが関与するという仮説を支持する(※)。
・Malone LA, Bastian AJ, Torres-Oviedo G (2012) How does the motor system correct for errors in time and space during locomotor adaptation? J Neurophysiol 108: 672-683.
・Malone LA, Bastian AJ(2010) Thinking about walking: effects of conscious correction versus distraction on locomotor adaptation. J Neurophysiol 103: 1954-1962.
・Malone LA, Bastian AJ(2014) Spatial and temporal asymmetries in gait predict split-belt adaptation behavior in stroke. Neurorehabil Neural Repair 28: 230-240.
次回はQuantification of Gait Symmetry ー歩行対称性の定量化ーについて
まとめられたらと思います。
