高田耕太郎・他:小型三次元加速度計を用いた歩行評価の臨床的有用性の検証.慈恵医大誌.331-8.2004


【はじめに】
簡便で長時間の運用が可能である小型三次元加速度計を用いた歩行評価の試みは文献上散見されるが、床反力波形と比較して、特に時間因子について統計学的に検討した論文は見当たらない。

【目的】
1.小型三次元加速度計より測定された加速度データの再現性を検討すること

2.臨床的有用性がすでに確率されている歩行評価機器の1つである床反力計と小型三次元加速度計を同時に測定しそれぞれの波形を比較検討すること

3.1および2を加味し小型三次元加速度計の歩行評価における臨床的有用性を検討すること

【方法】
対象は健常成人(年齢:40.2±18.8歳、性:男性4名・女性5名)とした。
測定機器には小型三次元加速度計と床反力計を用いた。

測定方法は、各被験者が床反力計が設置された約15mの直線歩行路上を2回ずつ歩行し
小型三次元加速度計と床反力計を用いた同時に測定した。
加速度計は腰背正中に付属のポーチとベルトで装着し、サンプリング周波数50Hzに設定した。
床反力計はサンプリング周波数100Hzとした。


データ解析方法は、定常歩行となる歩行開始3歩目以降の連続する2歩行周期を対象とした。
解析項目は1.加速度データの再現性、2.加速度波形からの時間因子の測定、3.加速度波形から測定された時間因子の妥当性とした。
それぞれ解析内容は、以下の通りである。
1.級内相関係数(ICC)で統計学的に検討した
2.踵接地と爪先離地の特徴的な波形を抽出した後に、歩行周期および左右立脚期を求めた
3.2で求めた時間因子と床反力波形から求めた時間因子の一致性について、級内相関係数による信頼性分析により統計学的に検討した

【結果】
1.加速度データの再現性(Table1)
ICCは信頼区間95%で
上下方向がα=0.62〜0.98、前後方向がα=0.46〜0.99と一致性が高かった。
しかし
左右方向はα=0.16〜0.93であり、かなりのばらつきが生じていた。



※級内相関係数(ICC)について
ある検査の検者内または検者間信頼性(再現性というときもあります)の指標として用いられます。全てのICCは,0~1の範囲をとり,一般に0.7程度以上のとき,高い信頼性があると判定します。
(日本理学療法士学会EBPT用語集より引用)


2.加速度波形からの時間因子の測定
Fig.3は加速度波形(縦軸:加速度、横軸:時間)と床反力波形(縦軸:鉛直成分波形)である。



グラフの見方は、
加速度が左・上・前向きが正、床反力が左・上・後向きが正、
Rt.右、Lt.左

Fig.3より床反力波形と比較し、踵接地と爪先離地と一致すると予想される加速度波形を抽出したものが
Fig.4である。Fig.4より立脚時間(Stance phase)および歩行周期(Gait cycle)を求めた。



その結果
被験者間では差があるものの、同一被験者内においてはほぼ一定の値となった(Table2.3.)。





3.加速度波形から測定された時間因子の妥当性

Fig.5より
加速度計および床反力計で求められた立脚時間は
ICCはα=0.95となり統計学的に高い一致性を示した。





Fig.6より
加速度計および床反力計で求められた歩行周期は
ICCはα=0.96となり統計学的に高い一致性を示した。





最近「加速度計」についての質問を受けることがあったので調べてみました。
加速度計装着について
・山崎信寿:加速度計による歩行障害の計測と評価. 第20回日本人間工学会前刷, 1979.や小田典雄:マイコンを応用した簡易歩行分析.総合リハ,1982で
L2、L3の高さに加速度計を装着するべきであると報告しています。

・加速度の前後・上下方向は再現性が良好で使用できる。

・またFig.7のようにstance phase終了の目安である爪先離地を同定するためには相応の歩行速度が必要であるらしく、極端に遅いと判別困難かもしれないとのこと。
ここはビデオを使ったら大丈夫かな。