非常に勉強になったので、掲載させて頂きます。
田中 和哉・他:脳卒中片麻痺患者における脚 clearance 戦略についての一考察 第 2 報
~麻痺側立脚期の身体重心位置が pre-swing 時の重心移動速度に与える影響~.第48回日本理学療法学術大会.2012
【目的】
歩行が循環運動であることに着目し空間的だけではなく時間的相互作用があると考え、麻痺側立脚中期(以下MSt)での重心位置低下や下肢関節の屈曲角度増大が麻痺側のPSw時の重心移動速度にどのような影 響を与えるかを検証した。
【方法】
対象は当院入院中の脳卒中片麻痺患者 8 名(男性 8 名、平均年齢 66 ± 7.9 歳、身長 161 ± 5.5cm、体重 59 ± 6.8kg)とした。 歩行自立度は監視 5 名、自立 3 名で、下肢 Brunnstrom stage はIIIが 2 名、IVが 4 名、Vが 2 名であった。測定には 3 次元動作解析システムVICON370(OXFORD METRICS社製)を用い、サンプリング周波数 60Hzの赤外線カメラ 6 台で計測した。 マーカは臨床歩行分析研究会推奨の DIFF15 マーカの位置を参照に、左右の肩峰、肘頭、手関節中央、上前腸骨棘と大転子 を結んだ線の下から 1/3、膝関節裂隙、足関節外果、第 5 趾中足骨骨頭及び右上後腸骨棘に貼付し、10 歩行周期分を計測した。 得られたデータを DIFF 形式に変換し歩行速度、下肢関節角度、身体重心位置を算出した。解析は、麻痺側 PSw での身体重心移動速度と MSt(足関節中心上に股関節中心が来る相)の麻痺側下肢関節角度及び身体重心高位、側方・前後偏位量を比較検討した。それぞれの相関を Pearson の相関係数を用い、有意水準は 5%未満とし、統計処理を行った。
【結果】
歩行周期全体の中で麻痺側 PSw 時に重心移動速度が全例で低下する傾向が見られた。麻痺側 MSt 身体重心高位と PSw で の歩行速度において、8 例全例で正の相関が認められた(r=0.69 ~ 0.89、P<0.05)。麻痺側 MSt の重心前後位置や側方移動 量と麻痺側 PSw での歩行速度には一定の相関関係は認められなかった。また、麻痺側 MSt での麻痺側下肢関節角度と麻痺側 PSw での歩行速度においては、一定の相関関係は認められなかったものの個人内においては、股関節伸展・外転、膝関 節伸展、足関節底屈に単独で正の相関関係が認められるものがみられた。
【考察】
脳卒中片麻痺患者の歩行周期全体の中で、PSw で最も歩行速度が低下していたことに関しては、健常者を対象とした研究と相違していた。このことは、clearance を確保するため機能的脚長差を生み出すなどの戦略が要求されたことが原因と考えられる。また、本来両側支持期である PSw は運動エネルギーが最大となる相であり、この相で位置エネルギー・運動エネルギーともに低下が見られることは脳卒中片麻痺患者の歩行のエネルギー効率低下を来たしている要因と考えられる。 麻痺側 MSt の重心高位と麻痺側 PSw 時の歩行速度に相関がみられたことに関しては、重心位置をより高位に保つことで PSw 時に過度な重心上方移動が要求されず、スムーズなエネルギー伝達や重心移動が可能となったものと思われる。また、下肢関節角度と一定の相関が見られなかったことに関しては、重心を高位に保つ機構がそれぞれの被験者によって異なっていたことが理由として考えられる。
田中 和哉・他:脳卒中片麻痺患者における脚 clearance 戦略についての一考察 第 2 報
~麻痺側立脚期の身体重心位置が pre-swing 時の重心移動速度に与える影響~.第48回日本理学療法学術大会.2012
【目的】
歩行が循環運動であることに着目し空間的だけではなく時間的相互作用があると考え、麻痺側立脚中期(以下MSt)での重心位置低下や下肢関節の屈曲角度増大が麻痺側のPSw時の重心移動速度にどのような影 響を与えるかを検証した。
【方法】
対象は当院入院中の脳卒中片麻痺患者 8 名(男性 8 名、平均年齢 66 ± 7.9 歳、身長 161 ± 5.5cm、体重 59 ± 6.8kg)とした。 歩行自立度は監視 5 名、自立 3 名で、下肢 Brunnstrom stage はIIIが 2 名、IVが 4 名、Vが 2 名であった。測定には 3 次元動作解析システムVICON370(OXFORD METRICS社製)を用い、サンプリング周波数 60Hzの赤外線カメラ 6 台で計測した。 マーカは臨床歩行分析研究会推奨の DIFF15 マーカの位置を参照に、左右の肩峰、肘頭、手関節中央、上前腸骨棘と大転子 を結んだ線の下から 1/3、膝関節裂隙、足関節外果、第 5 趾中足骨骨頭及び右上後腸骨棘に貼付し、10 歩行周期分を計測した。 得られたデータを DIFF 形式に変換し歩行速度、下肢関節角度、身体重心位置を算出した。解析は、麻痺側 PSw での身体重心移動速度と MSt(足関節中心上に股関節中心が来る相)の麻痺側下肢関節角度及び身体重心高位、側方・前後偏位量を比較検討した。それぞれの相関を Pearson の相関係数を用い、有意水準は 5%未満とし、統計処理を行った。
【結果】
歩行周期全体の中で麻痺側 PSw 時に重心移動速度が全例で低下する傾向が見られた。麻痺側 MSt 身体重心高位と PSw で の歩行速度において、8 例全例で正の相関が認められた(r=0.69 ~ 0.89、P<0.05)。麻痺側 MSt の重心前後位置や側方移動 量と麻痺側 PSw での歩行速度には一定の相関関係は認められなかった。また、麻痺側 MSt での麻痺側下肢関節角度と麻痺側 PSw での歩行速度においては、一定の相関関係は認められなかったものの個人内においては、股関節伸展・外転、膝関 節伸展、足関節底屈に単独で正の相関関係が認められるものがみられた。
【考察】
脳卒中片麻痺患者の歩行周期全体の中で、PSw で最も歩行速度が低下していたことに関しては、健常者を対象とした研究と相違していた。このことは、clearance を確保するため機能的脚長差を生み出すなどの戦略が要求されたことが原因と考えられる。また、本来両側支持期である PSw は運動エネルギーが最大となる相であり、この相で位置エネルギー・運動エネルギーともに低下が見られることは脳卒中片麻痺患者の歩行のエネルギー効率低下を来たしている要因と考えられる。 麻痺側 MSt の重心高位と麻痺側 PSw 時の歩行速度に相関がみられたことに関しては、重心位置をより高位に保つことで PSw 時に過度な重心上方移動が要求されず、スムーズなエネルギー伝達や重心移動が可能となったものと思われる。また、下肢関節角度と一定の相関が見られなかったことに関しては、重心を高位に保つ機構がそれぞれの被験者によって異なっていたことが理由として考えられる。