神経死滅に二つの仕組み=東大、非遺伝性ALSで関連発見―治療薬開発に道

 全身の筋力が衰える難病の筋萎縮性側索硬化症(ALS)のうち、9割を占める遺伝要因がないタイプは、脳や脊髄の運動神経細胞を死滅させる二つの主要なメカニズムが関連していることが分かった。東京大大学院医学系研究科の郭伸客員研究員や山下雄也特任研究員らが18日付の英科学誌ネイチャー・コミュニケーションズに発表した。
 二つのメカニズムは、たんぱく質の部品を正しく作る酵素「ADAR2」の働きが低下することがきっかけで起きる。今後、この酵素の働きを高める薬の開発が考えられるという。 
 このうち一つは、運動神経細胞にある「AMPA受容体」と呼ばれるたんぱく質が酵素の低下で異常なタイプになる結果、細胞に外からカルシウムイオンが過剰に流入して死滅するメカニズムで、郭研究員らが既に明らかにしていた。
 今回はマウスの実験で、カルシウムイオンの流入によって、たんぱく質分解酵素が活性化されるメカニズムを新たに解明。細胞核内に多いたんぱく質「TDP―43」が切断され、細胞核から細胞質に出て塊を作るため、やはり細胞が死に至ることが分かった。
 理化学研究所の山中宏二チームリーダーらも12日付の米生化学・分子生物学会誌電子版で、遺伝性のALS患者では運動神経細胞にTDP―43が異常に蓄積して細胞死を誘導していると発表。遺伝要因がない患者でも、極めて重要な発症要因である可能性が高いとの見方を示している。

以上です。弧発性ALSの方が圧倒的に多いため、いち早くこのような研究が進んで治療薬が開発される事をお祈りいたします。

引用:時事通信 12月19日(水)1時11分配信