「まだ仕事は終わっていない。来週からまた研究に専念したい」。山中伸弥さんは8日、京都大での記者会見で、自らに言い聞かせるように語った。

 明確な展望を持って、一生懸命働け――。米国留学時の恩師の言葉「ビジョン・アンド・ハードワーク」の実践が、スピード受賞の快挙に結びついた。

 転機は37歳で奈良先端科学技術大学院大学の助教授に職を得た1999年。米国では医学応用で脚光を浴びる前の胚性幹細胞(ES細胞)を研究したが、帰国後、理解者は少なかった。

 無名の山中さんの部屋は手狭で、研究費も最初はわずか数百万円。授賞理由に挙げられた論文の共著者となる高橋和利さん(34)(現・京都大講師)ら学生3人のちっぽけな研究室から、世界的な研究は始まった。

 朝9時の実験開始に少しでも遅刻すれば、最低30分は説教する。夜の研究室ではしばしば鍋を囲み、ビールを片手に、「成功すれば大勢の患者さんを救える」と熱く語った。妥協を許さず、「相手は世界」と言い続けた。

 業績がたたえられるたび、「まだたった1人の患者さんも救っていない」と臨床応用への熱意を語ってきた。会見では「医学や創薬で可能性がある。この賞は過去の業績というより、これからの発展に対する期待の意味が大きい」と繰り返し責任感を口にした。iPS細胞をさらに発展させるための挑戦は続く。

以上です。この熱意はスゴイ…

読売新聞 10月9日(火)7時24分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20121009-00000156-yom-sci