脳に直接働きかけるトレーニングがあったらいいなー。
PDの高次脳機能障害について先日より述べてきましたが、前頭葉機能障害を生じたとして、そのトレーニングはどんなことをすればよいかと考えてしまいます。

そんな悩みのヒントになるような文献だと、ぼくは思ってます。

この文献は一言でいうなら<TMTで前頭葉を活性化する!?>というものです。
良ければ参考にしてください。



高齢者におけるTrail Making Test施行時の脳循環動態について
村田伸ら             PTジャーナル第44巻第8号2010年8月 P717-720

この文献はTMTを行って脳内血液酸素動態をみているものです。要介護高齢者と非要介護高齢者の酸素化ヘモグロビンは変化があるかを比べています。

Trail Making Test(TMT)とは?
TMTall.jpg
この様なのみたことありませんか。そのTMTの文献です。
TMTは前頭葉機能評価の1つとしてに汎用されています。
http://heartland.geocities.jp/otnopocket/TMT.htmlを参考にしていただければ、バッリチだと思います。このサイトでも前頭葉損傷患者に鋭敏な検査としています。

対象
要介護高齢者群:計12名(要介護認定あり、82.27±5.3歳、MMSE20点以上、高次脳機能障害認めない、明らかな巧緻動作障害なし、通所リハ中)
非介護高齢者群:計13名(要介護認定を受けていない、MMSE24点以上、72.2±5.8歳)

方法
TMT(PartA)施行中にNIRO200を用い左前頭部の脳内血液酸素動態(酸素化ヘモグロビン:HbO2)をみている。

結果
非介護群は開始1秒前からHbO2の上昇傾向が認められ、開始7秒後にHbO2のピーク(変化率510.7±212.0Δ%)が確認された。その後、緩やかに下降するも(検査後15秒までも)HbO2は有意な上昇は継続した。
要介護群は開始9秒後からHbO2の上昇傾向が認められたが、明らかなピークや有意なHbO2の上昇が認められなかった。
TMT施行時間は要介護群204.7±95.1秒、非介護群59.4±26.4秒であり、要介護群は約3.5倍の時間を有していた。

考察
TMTは前頭葉の活動を、瞬時にかつ著しく促進させることが示された。しかし、要介護群では平均204.7病の時間を要し(健常平均84.5秒)、明らかに注意機能が低下していた。
各群で年齢差が大きく、この差が生じた理由は断定できない。


以上です。
このテストは動作性のテストなので、手を使えない人は困難です。例えば、認知症を伴うALSの場合、動作性では困難なことがみられます。ですから、数字の逆唱などを訓練中に組み込むなど工夫すると良いのかもしれません。ただ今回のスタディの要介護群の様に、うまく脳内血液酸素動態に変化が出るとは限りません。ですから、この文献の様に探究してみるべきでしょう。


学校で教わった様に<評価が治療で、治療が評価>ということは本当なようです。
他にも色々なテストがありますが、それが治療になりえるということです。