ここで跳躍のほとんどが決まるでしょう。
一般に言われている方法である
「3歩手前からストライドを狭めて腰を低くし、踏み切り板を強くたたいて跳ぶ」
というものですが、はたしてこれは正しいのか?

まず「3歩手前からストライドを狭めて」と「腰を低くし」という部分。
恐らくこれは世界のトップレベルのスピードをもつ人が
何とか上へ跳ぶため、前方回転を抑えるため、ということだと思います。
でも私のような100mを12"5くらいで走るものがそんなことをしたら
元々ないスピードをさらに削る行為となるので不要。
(↑高いスピードを維持することが大事!)
ただし、前者は少しニュアンスをかえて「ピッチを上げて」というのは意識しています。
「腰を低く」はダメ。これから腰を上に持ってこうっていうのに
下げていたら余計な運動になりますから。

(↑人間の移動動作で最もエネルギーを使うのが上下動です!)
それにこの行為を行うと、明らかにスピードは落ちます。
ではどうやって上に跳ぶの?というと
次の「踏み切り板を強くたたいて跳ぶ」をちょっと変えてみます。

「跳躍」という一瞬の動作をもう一度考えてみると・・・
普通、垂直跳びのような跳躍により、その値なりバネの強さを計りますが
あのような膝を曲げた状態から体を伸ばしてエイッという動きは走り幅跳びでは使用しないんですよね。
走り幅跳びの跳躍は膝を伸ばし固定したままでの跳躍。
走るときも同じです。はっきり言ってこれは難しいです。
(↑上下動が一番エネルギーを使うからね!)
でもこれが出来れば踏み切りに余計な力は要らないのです。
しかも無駄な動きをしない分エネルギーを余計に使わずにすむのです。
だから、上体を持ち上げてやろうという力はほとんど必要ないんです。
水平方向のエネルギーに垂直方向の動きのきっかけを与えるだけで
体はスーパーボールのようにポンッと浮くのです。
感覚で言うと「トンッ」って感じです。

踏み切り板をたたくようにすると足の接地時間が長くなるでしょう。
つまりブレーキがかかります。
踏み切りの瞬間、その足に体重の数倍の力がかかると言われていますが
そのぶんエネルギーをロスしているってことですよね。
身体にわずかながらブレーキをかけることは無駄としかいえません。
新たな力(よいしょぉ、という力)を加えるよりも元々の大きな力を利用した方がはるかに楽で、しかもエネルギーロスがない。
つまり最終的に勢いは後者の方があるということになります。
ちょっとした動きで反発力を生むのです。

さらに冷静に考えてみると、、、
強く地面をたたいたって上には跳べません。
(↑そうそう、たたいたって体は浮かないよね!)
その後の動き(蹴る動き)のほうが遥かに影響します。
また、より上に跳ぶためには音を立てない方が効率的に行えます。
(↑エネルギーが音に変わっちゃうからね)
踏み切ったときに「バンッ」となったら効率は悪いでしょう。
「コンッ」となったら出来ているでしょう。
「コンッ」のときは体がフワッと浮くのが分かるはずです。

練習方法
私が主としてやった練習はひとつ。縄跳びです。
高校時代、私が独自で考え、ひとりでやり続けたメニューです。
やることは簡単。2重跳び、3重跳び、4重跳び、です。
3重跳びを3回以上やるには、おそらく膝を曲げて跳んでいたら無理でしょうし、出来たとしても体力をかなり使うはずです。
ところが膝を伸ばし、足首を90度に固定した跳躍だと楽に跳べます。
無駄な動きも力も無いため体力も結構続きます。
2重跳びだと202回、3重跳びだと47回、4重跳びだと3回。これが私の記録です。