本日10月17日はスペインの神経解剖学者サンティアゴ・ラモン・イ・カハール先生の忌日です。

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1906年に『神経系の構造研究』でイタリアの内科医カミッロ・ゴルジ先生とともにノーベル医学・生理学賞を受賞しています。

ゴルジ先生…
理系出身の方ならお分かりだと思いますが
あの『ゴルジ体』を発見された方です。

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ゴルジ先生です。

※ゴルジ体(ゴルジ装置とも言います)
真核生物の細胞に見られる細胞小器官の1つ。
細胞外へ分泌される蛋白質の糖鎖修飾や
リボソーム(細胞質にあって蛋白質合成の場となる小顆粒)を構成する蛋白質のプロセシングに機能しています。

膜が袋状にウネウネしたアレです!

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カハール先生とゴルジ先生の業績についてお話をします。

このお二人…共同研究をしたという訳ではありません。

なんだったらそれぞれ違う学説を唱えて
いがみ合っていたくらいです💦

まずはゴルジ先生の業績から…

生の細胞を顕微鏡で観察するとほとんど透明で
一つ一つの細胞の境界がはっきりしません。

ゴルジ先生は様々な化学物質と染色法によって細胞に色をつけようとしました。

ある時
硝酸銀と重クロム酸で細胞を処理したところ
細胞の境界が黒々と染色されることに気づいたのです。

これが『ゴルジ染色』と呼ばれる手法です。

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これはゴルジ染色されたヒトの新皮質の錐体細胞です。


このゴルジ染色を用いて
カハール先生は顕微鏡で脳を調べ、克明な観察を行ないました。


神経線維は末端で互いに途切れることなく連続して網を形成しているとする『網状説』が当時は支持されていましたが

カハール先生は自身の観察により
神経系は『ニューロン』という非連続の単位から構成され
個々のニューロンは『シナプス』と呼ばれる接合部によって互いに連絡することを発見したのです。

これを『ニューロン説』と言います。

今では当たり前の知見ですが
実はゴルジ先生は『網状説』を支持していて
それでカハール先生と対立したと言われています。

自身の発明によって
自身の説が否定され
なのにノーベル賞を受賞したゴルジ先生…
なんと皮肉なお話でしょう…💦


で、このカハール先生ですが
解剖学者として優秀だったのみならず
絵の才能がスゴくて
顕微鏡で観察してスケッチしたものをたくさん残しています。

カハール先生は幼少期より絵がお上手で画家になりたかったそうです。
ところがとんでもないワンパク坊やで
(おそらくADHDだったのでは?)
町医者をしていた彼の父親が

『画家なんかにさせたらもっと落ち着きのない子になってまうわ。安定した仕事につかせなアカン』

と考え、彼を医学部に入れた…なんて言われています。

最後に
カハール先生のスケッチをいくつかご紹介します。
緻密で美しいアートの数々…
ご鑑賞ください。


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海馬


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小脳のプルキンエ細胞


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