今朝、通勤電車内でインパクトのある中吊り広告を見つけました。
結核は、ひとごとではない。
こちらは電顕でみた結核菌。
ここで大切なこと…
結核は、ひとごとではない。
メッセージを発信しているのは、漫画『ブラックジャックによろしく』の主人公斉藤英二郎くん。
顔が怖すぎる💦
この広告…昨年の秋に『結核予防会』と電通が告示したものらしいのですが、全然知りませんでした。
ってか、何故今、電車の中吊りとして広告してるの？
前からありましたっけ？
結核…この疾患はこれまで何かとご縁がありました。
医学生の頃、解剖実習で充てられたご遺体が『粟粒結核』のクランケでした。
ポリクリの時、呼吸器内科で私が担当したのが肺結核の男性でした。
さらに
精神科医になって
研修医が終わって派遣された病院が、結核に罹患した精神障害者を診ることが出来る地方の公立病院でした。
小さな病院で常勤の内科医がいなくて
私が主に結核の治療を行なっていました。
私…結核が診れる精神科医です。
そんな訳で
今日は結核のお話をしたいと思います。
先ほど『粟粒結核』というワードがあったと思いますが、結核は肺にだけ起こる疾患ではありません。
肺以外の臓器にも起こるのです。
（約8割が肺結核ではありますが）
ご存知かと思いますが
結核は過去の疾患ではなく
現在でも我が国で毎年18,000人が新たに結核を発症していて、毎年約2,000人が亡くなっています。
結核菌に感染することで起こる疾患ですが
なんと！
世界人口の約3分の1がこれを保菌していると言われています。
私も前述の公立病院に勤務する前は、ツベルクリン反応で小さな発赤しか認められなかったのに（弱陽性）、1年間で強陽性に変化しました😲
※ツベルクリン反応…ツベルクリン液を皮内注射し、48時間後にその部位の発赤・腫脹などの反応を見て、結核菌の感染の有無などを判断する検査法。
これが結核菌です。
（赤い桿状の菌です）
こちらは電顕でみた結核菌。
結核菌の検出および結核の診断は比較的容易にできます。
ここで大切なこと…
結核菌を保有しているイコール結核患者ではないということ。
先ほども述べましたが、世の中の約3分の1が保菌していて、その中の一部の人だけが発症するのです。
どんな人が発症するのか？
栄養状態が劣悪だったり、糖尿病や癌などで極端に免疫力が低下している人に発症しやすいと言われています。
戦中〜戦後の時代であればまだしも
栄養失調なんてない今の時代において
過度なダイエットのし過ぎで結核を発症する若年者も少なくありません。
さらに世界の結核患者の約20%が喫煙に起因しているというデータもあります。
最後に肺結核の症状について。
最初は咳や痰、発熱など、感冒のような症状が出現します。
これらはなかなか軽快しなくて長引きます。
やがて、食欲低下、体重減少を来し、寝汗をかいたり胸痛が起こったりもします。
さらに進行すると血痰が出たり、喀血します。
呼吸困難に陥ることもあります。
初期は普通の風邪と区別がつかないでしょ？
感冒が長引く時は胸部レントゲンやCTを撮って貰ってください。
咳が続く時は安易に鎮咳薬など使わないで受診してください。
マスクも忘れずに❗️