精神医学というのは中枢神経系の病態を取り扱う部門で、摩訶不思議な学問ではありません。

クランケに病状を説明する際、私はこんな絵を描きながら極めて科学的に説明します。


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診察室ではこんなに丁寧には描きません💦
こんな感じかな?

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これ…分かりますよね?
高校の生物学の授業で習ったと思います。

神経細胞です。

これらがたくさん集まって神経線維を作り、神経系のネットワークを構成するのです。
電顕レベルのお話です。

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神経って肉眼で見えるものなの?
実在するの?
ってよく聞かれますが

神経は概念的なものではなく実在していますし、見えるものもあれば見えないものもあります。

神経線維が束になって太くなると肉眼で充分観察できます。

薄黄色っぽい色で、エノキダケの茎をほぐしたような感じです。
(エノキダケに比べてかなり弾性があり、ちょっとやそっとじゃ切れないくらい強靭です)

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ちなみに…
医学生時代の
解剖実習で脳をスライスした時
断面が缶詰のスライスマッシュルームに似ていて感激した記憶があります(笑)

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肉眼で見える神経で最大のものと言えば

坐骨神経

です。

坐骨神経痛の時に痛める
あの神経です。

ジャージのゴムみたいに太くて
すごーく長い神経です。
(1m以上に及ぶこともあります)

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実際の坐骨神経。
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↑ほぼ中央を走っている太い束です。



交感神経とか副交感神経って見えるの?
という質問もよく受け付けますが

交感神経幹は独立して背骨の脇を走行するので見えます!

けれども副交感神経は脊髄の中を走っているので見えません。


神経というのは、構造的相違から次の2つに分類されます。

①有髄神経
②無髄神経

①は『髄鞘』という脂質から出来た膜が何重にも巻きついている神経で、②はそれがない神経。

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この『髄鞘』は『絶縁体』の役割を果たしています。
なので、有髄神経では電気信号が伝達する際『跳躍伝導』をするのです。

したがって、無髄神経よりも有髄神経の方が伝達速度が速くなるという訳です。

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これを発見したのがアメリカの生理学者ジョセフ・アーランガーで
彼は1944年、ノーベル生理学・医学賞を受賞しています。

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本日12月5日はアーランガー先生の忌日です。