ドストエフスキーの「カラマーゾフの兄弟」の光文社から昨年出た新訳本が、26万部を突破し、古典

文学としては異例のベストセラーとなっているそうだ。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070822-00000115-san-soci

ミステリーとしてのおもしろさはもちろん、男女の愛憎や幼児虐待、テロリズムなど現代にも通じる

テーマが、混とんとした時代を生きる現代人の心をとらえているらしい。

旧訳本も相乗効果で売り上げを伸ばしているということで、私が読んだのは、新潮社版だった。

私も、帯に書いてあった金原ひとみさんの「上巻を読むのに4ヶ月、中下巻を3日でいっきに」という

コピーを励みにして読んだ口だ。

 私は、三回ぐらい繰り返して読んでみたが、「神と人間という根本問題」というテーマがどうもピンと

来なくて、彼の他の作品からアプローチしようと、今は「悪霊」を、少しずつ読んでいる。

「神と人間」と大上段に構えられるとよく分からないが、「ミステリー」と言えば確かにその通りで、

「男女の愛憎」と言われれば、この上なくよく書けてると思う。

「テロリズム」については、この小説に関しては、もちろん時代背景としてはあったが直接は関係ない

し、「幼児虐待」というのも、語り口には出てくるが、ストーリーの中では子供についてのエピソードは

あるが、「虐待」についてはない。

 一番有名なのは、「大審問官」の章で、以前に私が書いたのはここについて書いた。

http://blogs.yahoo.co.jp/ryuuzei/archive/2007/05/06

異端尋問の真っ只中の中世スペインに現れたキリストに、ローマ・カトリックの枢機卿が

 「世の中の大多数の人間というのは、生きるためになんらかの偶像を必要とするから、建前はともかく

なんらかの偶像を施政者が用意しないと、とんでもない偶像を崇拝しだしてしまう」と、主張する有名な

シーンだ。

これも、宗教学者、人類学者も含め、胡散臭い人物が跋扈する、占いやスピリチュアルのブームの現在、

優れて現代的テーマと言えるのだろう。