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3月31日 新宿 朝日カルチャーセンターにて


 子供の頃、空はなぜ「そら」と言うのか、花はどうして「はな」と呼ぶのか、疑問に思ったことはないだろうか?
そういった疑問も、学校で多くのことを教えられ、憶えることを強いられ、卒業すると、今度は、職場で様々な知識、技術を修得することを要求され、多くの人達との付きあいに明け暮れているうちに、やがて忘れ去られていく。

 感性リサーチ代表取締役の黒川伊保子さんも、人生の途中まではそうであったかも知れない。
奈良女子大の理学部物理学科を卒業し、富士通に入社。人工知能の研究に従事する。
本人がいくら謙遜しても、多くの女性が苦手意識を持つ、物理を専攻、宇宙論を学び、しかも勉強一筋ではなく、プロになろうとするほどラテンダンスに没頭した彼女は、自他共に認める文武両道のスーパーウーマンとして生きてきたと思う。
その彼女も、長男が生まれ、わが子の成長を、文字通り肌で感じている時、忘れていたはずの子供の頃の疑問がよみがえる。

 空はなぜ「そら」と言うのか。
彼女は思った。「コンピューターに言葉を認識させることに人生を費やすのではなく、ヒトがなぜ、そのようなことばを発するのかを知りたい」と。
ここまでは、ある意味ではよくある話、「第二の人生」の始まりとも言えないことはない。
人工知能(AI)から、脳科学への転向という見方もできる。

 しかし、そこから先は、物理ではなく、工学の、企業の、世界で生きて来た彼女の真骨頂だった。
「クオリアの科学的価値は、一つだけ、ことばのクオリア探しだけだ。『ことばの匂い』を客観化できたら、人々の意識の質に気品を与えるブランド名や、安らぎを与える商品名を科学的に創出できる。それこそが、私の欲してきた研究である」と。

続く。