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「ガイヤの復讐」ジェームズ・ラブロック著  秋元勇巳監修 竹村健一訳
        中央公論新社 1600円

 10月下旬、ガイヤ理論で著明なイギリスのフリーの科学者、ジェームス・ラブロックが来日した。しかし、日本のメディアは、ニュース・ゼロで竹内薫氏が、10月24日に30秒解説したhttp://www1.ntv.co.jp/zero/weekly-blog/2006/10/以外は、完全に黙殺する冷淡な反応を示した。
 ラブロックは、1968年に初めて「生物、生命圏は、気候と大気成分を自らに最適な状態に調節し、維持している」という考えを発表し、1972年にそれをガイヤ仮説と名付けた。
端緒となったのは、火星と比べて、地球の大気組成が、生命が存在しないとして計算した結果とは、あまりにも長期間、平衡とかけ離れていることに気付いたことだ。
太陽は、地球に生命が誕生したと考えられている、38億年前と比較して、25%も熱くなっている。
生命にとって、最適の熱を、太陽から受け取っていたのは、20億年も前のことであったが、それ以後も、地球環境は、気温が、生命にとって、最適になるよう、自己調節しているのだ。
その当時、ラブロックは、ガイヤ仮説を、「ネイチャー」や「サイエンス」に投稿したが、掲載を拒否された。
 しかし、博士は、その後も自分の考えを発展させ、地球環境を、自己調節しているのは、生物や生命圏だけでなく、システム全体であるという考えに至り、「生物の進化は、物理的環境、化学的環境と密接に結びついており、それらが一つになって、進化プロセスをつくりあげ、それが地球環境を自己調節している」というガイヤ理論を発表したのだ。
つまり、博士は、地球環境を、一つの大きな生命体と、みているのである。
そして、環境汚染を、人間の視点からではなく、ガイヤの視点から見て、1980年代から、気温の上昇が、二酸化炭素の増加に由来するという説を支持し、警鐘を鳴らして来た。
その卓越した、洞察力、見識、先見の明にもかかわらず、博士が、日本で冷たい扱いを受けているのは、なぜか。
 11日夜、NHKの土曜フォーラムで、「地球環境を救う」が放映された。
私が、観た時、環境省の役人(技官のようだ)が、地球温暖化の原因が、二酸化炭素の増加によることは、ごく最近の観測データーから、疑う余地がなくなったと話していた。
しかし、私の観た限りでは、ラブロックのラの字も出て来ることはなく、水素電池や風力発電の話題は出ても、原子力発電については可否さえも触れることはなかった。
日本では、核武装の議論どころか、原子力エネルギーの利用についても議論するのが、タブーなのであろうか。
 ラブロックが、日本で黙殺される最も大きな理由は、博士が、もはや一刻の猶予がない可能性が大きい、突然の地球環境の高温化で、人類だけでなくガイヤ自体が壊滅的な打撃を受けることを避けるために、原子力エネルギーを利用するしかないことを主張しているからではないか。

 続く